第10話 派遣の登録
4月だから啓蟄とはいわないが活動的になる季節になった。
今日は派遣の登録に行く日になっていた。1Fがカレー屋さんで4Fが会社だった。
「いや、なんでか覚えてるんだよね?」
とモグに言いつつ出発した。
「こんにちは~」第一印象は大切。ハキハキ、キビキビと。
「こんにちは。山口さん?何しているんですか?」
「え?!橋本さん?何してるんですか?」
「いやいや、会社ですから。山口さん登録終わってるでしょ?」
「終わってるの?」
「はい、前回、社長の秘書兼総務部長の話で行ったじゃないですか?」
「あぁ、なんかありましたね?総務部の女性はOKでしたが社長がバツってやつが……その時、橋本さんにお世話になっているのは覚えているけど…会社は覚えていない…」
「よろしいですよ。山口さんならすぐ対応しますから。今日はどちらを希望で?」
「H工業団地にフィルター製造の会社があるとタウンワークに載ってましたから、そこはどうかな~と思いまして?どう?」
「いや、このご時世に求人を出していること自体凄いです。車関係は求人も出していない状況です」
「ふ~ん、じゃそこにいこ。橋本さんが言うんだから間違いないでしょ」
「あぁ、一応、総務部の女性との面談はありますので、それが終わってから進めましょう」
「いつから進めてもいいですけどなるべく早くしてください。おいしい話があればそちらに行きますから(笑)」
「勘弁してください。山口さん。早速先方とアポ取りますから」
「はい、わかりました。じゃ~今日は何もすることはないんですかね?」
「はい、ありません」
「ズボン、新しいの買った?もらった?ばかりなのに…ラ―メン屋行きますから失礼します」
「アハハ、なんでカレー屋じゃないんですか?」
「それはあのラ―メン屋のあのラ―メン、あの接客、あの雰囲気、あの清潔さが好きだからです。カレー屋には今のところ無理でしょう……」
「さすが外食大手の店長をされていた方だ!」
「昔の話は嫌いなので帰ります」
「はい、わかりました。決まりましたらすぐ連絡します」
「はい、宜しくお願いします」
なにもせず会社を後にした。
橋本部長と山口が話しているのを聞いていた社員は、
「部長!なんですか、いまの人は?」
「うちらが逆立ちしても適わないくらい頭がいい方だ。くれぐれも言葉遣いには注意してくれ。キレだら終わりだからうちとしてはリスクを背負うことにはなるよね!」
…電話しないと山口さんから叱られる(笑)そう言って部長はその場を後にした。
橋本さんからの電話まちとなった今、本当にラ―メン食べること以外することがなくなった。
「一辛、バリカタ」
最近、モグ以外の人(モグは犬)と話さないからはなすのが下手くそになった気がしている。
それと性格のスタイルを藤山寛美さんのアホ役を真似してやっているので楽しい感じで生活できている。他人がどう思うかは藤山寛美さんを観れば一目瞭然だ。天才だ。
モグ 4【生活のために働く編】 嶋 徹 @t02190219
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。モグ 4【生活のために働く編】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます