秘密の味

 定期的にあるいつもの集い。お馴染みのメンバーが揃っている。


 席の順番は特に決まっていないが、仲のいい人同士はだいたい近い席の印象がある。


 これだけ集まると、最初の一杯は必ずピッチャーのビールである。座席の目の前に置かれた小さなグラスに、互いに注いでいく。


「俺は少しでいいや」


 そう言ったのは俺の正面に座っている、いつも皆のノリに合わせてかなり飲んでいる先輩の金森かなもりさんだ。今日はやけに大人しい様子で、グラスの半分にも満たない量を入れてもらっていた。


「佐藤、お前も飲むだろ」


「あ、はい」


 俺の隣に座っていた山本さんが慣れた手付きで注いでいく。学生時代も含めてお酌していた人なので、いい具合の状態にしてくれる。こんな具合で、会社でも順調らしい。


 そうして終えると、今度は俺の反対側に座っている人にも注いでいった。


 山本さんがピッチャーを置いたところで、どうやら全員に行き渡ったようだ。乾杯の音頭を取るために、俺はグラスを持ちながら立ち上がる。


「えー、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。えー、毎年の恒例行事の成功をお祈りします。乾杯!」


 適当に短く済ませた言葉に、ほぼ全員がブーイングしていた。しかし、そうしながらもグラスを鳴らして乾杯していた。俺は立ち上がったまま、テーブルの端から端まで移動していった。


 全員とグラスを交え、ようやく自分の席に座って一口飲む。気付けばお通しと小皿と箸が並べられており、誰だか分からないがとりあえず感謝しておく。


 まずは前菜のサラダが運ばれ、四人ずつ程度の間隔で並んでいく。特に他人に配慮した様子もなく、自分の箸で適量を小皿に取っていく。さっぱりとしたドレッシングらしい液体を切りながら、俺も取る。


 さて食べるか、と一口取ったところで、目の前の金森さんは少量をようやく盛っていたというところだった。


「大丈夫っすか?」


「平気だ……」


 そう言いつつも、俺にはあまりそうは見えなかった。しつこく問うのもどうかと思ったのでこれ以上は追求しなかったが、目の前で調子悪そうな様子をされてもあまり気分のいいものではない。


 仕方なく素知らぬ顔をしながら掴んでいるものを自らの口に運んでいく。さすがに高めの値段設定というだけあって美味しい。そこまでしつこくないがしっかり味があるので、お酒が捗りそうだ。


 俺は無言で食べ続けていた。追加でよそって空にする。


 あっという間に平らげ、お通しをつまみながらビールを飲んでいると、次の料理が運ばれてきた。魚をマリネのようにしたそれは、どんな酒にも合いそうなものだった。


 話しに夢中になっている他の人よりも先に、俺は皿に盛る。こうなってしまえば早い者勝ちだ。


 いざ箸を進めていくと、驚くほどにビールが進んでいった。まだ少ししか食べていないが、俺は店員を呼んで追加の酒を注文する。


「お伺いします」


「濃厚ハイボールお願いします」


「他にご注文はありますか?」


 俺が頼んだことに気付いたのか、他の人がどんどん注文していく。


 そんな中、金森さんは覇気のない声で頼んでいた。


「すいません、お冷お願いします……」


 大丈夫かな、とちらりと見ると、どんどん顔色が悪くなっている気がする。それでもこの人は誰にも心配を掛けないようにゆっくりと飲み食いしている。


 しばらくすると注文していた飲み物がやって来た。俺は手元に来るなり、止めていた箸を再び進めながら飲み続ける。


 濃厚というだけあり、ウイスキーの味がしっかりしている。ほとんどのハイボールは炭酸が強めであるが、これは微炭酸のようで水割りとも思える。好みがはっきりとするかもしれないが、俺はかなり好きである。


「お前、よく食うなー」


「どれも美味いっすよ。いい店っすね」


「そうか。俺も食うとするか」


 山本さんがようやく箸を動かし始めた。俺と同じように気に入ったようで、無言になった。


 俺は賑やかな飲み会は嫌いではないが、静かに味を堪能する方が好きだ。飲み会に参加してもほとんどこうなってしまっている。


 だが、今日はそれだけではなく向かいの人のことも気になってしまう。


 金森さんはちびちびと水を飲みながら、少しずつ盛った料理を食べている。それでも、あまり箸が進んでいないように思える。


 そして俺がハイボールを半分飲み終えたところで、そっと席を立ってどこかへと行ってしまった。


 少し心配をしつつも、俺は新たに運ばれてきた料理に釘付けになった。


 大人数であれば定番の鍋。新鮮な野菜と肉がぎゅうぎゅうに詰められた鍋が、カセットコンロの上に置かれる。ガチャリと火が付けられ、最大火力で熱していく。


「すいませーん、ハイボールお願いします」


 同じものを追加注文していく。二つ、三つ、と何人かも俺と同じものを頼んでいた。


 ぐつぐつと火が通っていく鍋を眺めつつ、残っているものをどんどん口に入れていく。


 たまに無言で片付けているように思われていることがある。しかし、俺はただひたすら味わっているだけだ。


 それがつい他人の分まで食べてしまうこともあるだけである。


 そう言い返すと、大抵の人は笑って受け入れてくれ、このメンバーに限っては俺が多く食べることを暗黙の了解としていた。


 今日の料理は本当にどれも美味しい。早くこの鍋も味わいたい。


 そんなことを考えながら、鍋の中身をひっくり返している店員の手付きを眺めていた。少しくったりとした野菜、色が変わっていく肉、火が通っている証拠だ。


 ただの下準備を眺めているだけでも十分酒のつまみになったようで、店員が去っていくと同時に俺はグラスを空にした。いつもより早く飲みすぎてしまったかな、と少し軽くなった気がする頭で考えていた。


 沸騰に近付いてぐつぐつとしてきた鍋を眺めていると、誰かが新たに運ばれてきたグラスを俺の前に置いてくれた。


「もうそろそろ大丈夫か?」


 鍋の目の前に座っている山本さんが全体を確認しながら、カセットコンロの火を止める。肉、野菜、豆腐、汁をバランスよく入れ、順番に渡していく。最後に俺の目の前に置いてくれた。


「あざーす」


 熱々のものが湯気を出して入っている。これは期待できそうだ。


 一口箸で取り、ふーふーと少し冷ましてから口の中へと入れる。さっぱりとした醤油だしが野菜にしっかり染み込んでいるが、野菜自体は食感をある程度残した加減でちょうどいい。


 続いて肉を割る。念のために火が通っているか確認する。芯までしっかり通っているようだ。


 半分になった肉を口に運び、ゆっくりと噛みしめる。肉汁が溢れ出て俺の口を支配していく。


 それを堪能し、わずかに余韻を残したところでグラスの中身を煽る。最高、その一言に尽きる。


 鍋を何度か入れながら、俺はあっという間にグラスを空にした。


「あれ、金森さんは……?」


 山本さんが辺りを見渡してその姿を探す。そういえばだいぶ遅い気がする。


「俺見てきます」


 席を立ち上がり、店内を見渡す。あまり広くない店内で見当たらないということは、個室空間に移動したことになる。


 店の案内を見ながら、奥へと移動してトイレへと入る。


 奥の個室には、ドアを開けたまま蹲っている金森さんの姿があった。俺はゆっくりと彼の元へと近付く。


「……カナさん、大丈夫?」


 俺の言葉に無言で頷く。相当気持ち悪かったのか、胃の中のものが便器に吐き出されていた。


 狭い個室の中に入り込み、その隣でそっと背中をさする。


「今日体調悪い中来たの? それとも、ゼロ次会やってきたの?」


「……山本と、ゼロ次会やった」


「あんまり飲みすぎないでよ。カナさんお酒にそんなに強くないんだから」


 そう宥めながら、俺は洗浄ボタンを押す。中にあったものは全てきれいに流されていく。


 まだ完全に調子が戻らないこの人は、なかなか立ち上がろうとしなかった。無理に立ち上がらせて汚されても面倒なだけである。


 自分のペースでできることをやらせた方がいいと判断した俺は、そっと背中をさすりながら無言でそばにいた。


「……おい、あんまくっつくな」


「大丈夫。介抱してるって言えばいいし、今頃メインだったから夢中になってるよ。だから、俺たちのことはバレないよ」


 さすっていた手を肩に回し、そっと抱き寄せる。大丈夫だと悟ったその身体は、そっと俺にもたれかかる。相当辛かったのか、かなり埋めているように感じられる。


 そっと頭に触れていき、髪を梳きながら優しく撫でていく。素面であれば拒んでくる人であったが、今日は素直に俺の手を受け入れてくれる。その感触を求める姿はまるで子猫のようだ。


 次はいつ触ることができるか分からない感触を、俺はただひたすら堪能していた。


 この人にここまで触れるような関係になったのは、割と最近のことであった。それまでは、とても仲の良い先輩と後輩という関係だった。今でも傍から見ればそうに違いない。


 気の合う人で、俺の相談事にも乗ってくれた優しい先輩。最初の印象はただそれだけであった。


 何度も二人きりで飲んでいるうちに様々なことを知っていき、気付けば俺は惚れていた。何度か躊躇い、覚悟を決めて駄目元で告白してみれば、思っていた以上にあっさりと受け入れられた。


 それでも少し肌が多く触れ合う程度で、やっていることは何一つ変わらなかった。


 今この瞬間が、関係が変わってから最も触れ合っている瞬間である気がする。


 しばらくすると、自らの意思で俺から離れていき、立ち上がって個室から出て行った。手洗器に向かい、口をゆすいでいた。まだ気分が悪いのか、時折手に体重を掛けて身体を支える仕草を見せる。


 俺は隣に立ってその肩を支えた。だが、すぐに手を振り払われてしまった。


「おい……」


「立ってるだけで辛そうだったから。大丈夫?」


「だいぶ良くなった」


「ほんとは?」


 そこで黙り込んでしまった。この人をこれ以上あの場にいさせては、また吐いてしまう気がしてしまった。


 俺は一つの案が思い浮かんだ。


「ねぇ、俺が送ってあげるからもう帰ろ?」


「……もったいない」


「俺はカナさんに倒れられる方が嫌だ」


「……分かった」


「じゃ、俺が荷物取ってきてあげるから店の外でちょっと待ってて」


 俺は先にトイレから出て行き、早足になりながら皆が集まっている席へと戻っていった。


 だいぶ時間が経っており、鍋の中身はほとんどなくなっていた。


「おかえりー。金森さんどうだった?」


「今日はもう限界みたいっす。なんで、俺が送ってきます」


 自分の荷物をまとめてから、彼の荷物をまとめる。近くの席に座っている人たちは、心配そうにこちらを見ていた。


 忘れないうちに、俺は財布の中から万札を取り出し、隣りにいた人に渡しておいた。


「俺と金森さんの分の会計、お願いします。んじゃ、お先に失礼します」


 ちらほらと飲み食いしながら挨拶をする人たち。俺はそのまま去っていった。


 念のためにトイレを確認すると、金森さんの姿はなかった。少し安心したところで店の外に出ると、俺の言ったことを守ったように外の椅子に座っている姿があった。


「おまたせ。荷物持ってきたよ」


 重い頭をゆっくりとこちらに向け、上着を受け取って羽織り、バッグを掛ける。


 よろよろとした動きで立ち上がると、ゆっくりと出口へと向かった。俺はその隣に並んで歩く。


「カナさん、おじいちゃんって言われることない?」


「うっさい」


 身体を支えるついでに触れようとしたが、この調子では振り払われてしまうと思い、手を引っ込めた。


 しかし、万全の体調でない身体は真っ直ぐ歩くことができず、フラフラと横に移動しながら登っている。やっぱり見ていられない状態だ。俺はさっと隣に移動し、腕を俺の肩に回させて振り払われないようにぎゅっと手を握った。


「はな、せっ」


「だーめ。そんなフラフラだと危なっかしいよ。酔っ払いって見られるだけだから安心して。それとも、俺に背負われてく?」


「っ……」


 俺もさすがに背負って自宅までの二駅分を歩く体力は残っていないが、注目されることをする気はないようで大人しくなった。


 階段を登り終え、平らな道を歩き出す。繁華街はまだまだ騒がしいが、そこまで混雑した様子ではない。


 信号を二つ通り過ぎただけですぐに閑静な道へと入っていき、俺たちは二人きりとなった。


 いつもよりも遅い足取りであるが、なんとか歩けている状態だ。金森さんは俯きながら歩いており、特に話そうとする素振りも見せない。


 何度か二人でこの道を通って帰ってきたこともあったが、急ぎ足で家に向かっていた印象しか残っていない。


 たまにはこうしてゆっくりと歩くのも悪くないと思った。


 微妙な高低差の続く真っ直ぐな道のり。街灯が並んでおりそこまで暗くはないが、夜はほとんど人が通らないために少々物騒にも感じられる。


つかさぁ……」


 不意に俺の名前を呼んできた。人前では名字で呼ぶくせに、酔って二人きりになるとこうして呼んでくる。二人きりであればいつもこうされたいものだ。


「なーに?」


「疲れた。歩けない」


「えっ……」


 そう言うと、歩くのを止めてしまった。細い身体はそこまで重くないものの、引っ張っていくには限界があった。


 しばらく立ち止まって考えた結果、俺はこの人をおぶって歩くことにした。持ち上げると改めて軽い身体は、ぐったりとして俺の身体に密着していた。


 さらに速度を落としたまま、俺はひたすら前に進んでいる。


「カナさん、山本さんとどれだけ飲んできたの?」


「いっぱい……」


「それじゃ分かんない」


「……ウイスキーいっぱい」


 かなりの量のウイスキーを飲んだのか相当強いものを飲んだのだろう。山本さんはかなり飲む人で、ザルというよりも枠である。そのペースできっと飲まされていたのだろう。


 前に俺も一緒に飲んだことがあったが、そこそこ強い自信があったにも拘わらず酔い潰れてしまった経験がある。


 それに加えてウイスキーとくれば、むしろ普通にしていられる方がどうかと思う。


 金森さんはウイスキーの飲み方にはかなり拘りがあるようで、適量を酔わない程度に飲んでいるのを見る。


 今日はその飲み方とは正反対だったのだろう。


「美味しかった?」


「今度、司とも行きたい……。あいつはダメだ」


「なんで?」


「ゆっくり味わえないし、司の方が楽しい」


 どうして、こんなときだけ俺のことをこうして言ってくるのか。一気に酔いが覚め、自分の胸がドキドキしていることが分かる。


 普段からそんな言葉を聞いていたい。


 そんな思いが集って身体に表れている。


 簡単に伝わってほしくないが、実行してもらいたい。


 同時にそんなことも浮かんでいた。


 そんな俺の感情を全て押し込め、きちんと受け取ってもらえる言葉を考える。そして思い付いたことを口から出していく。


「今度、俺もそのウイスキーのところに連れてって。カナさんと行きたいよ」


「ん……」


 これは合意という意味なのだろうか。どうせ日程調整があるだろうから、改めて話すことになるだろうが。


 再び沈黙が訪れる。気付けば目的地まであと少しのところまで来ていた。


 交番の角を曲がり、急に建物が密集する狭い道を歩いていく。いくつか建物を通り過ぎたところで、薄緑色の建物が見えてきた。俺の家である。


 俺のバッグから鍵を取り出し、鍵を開けて中へと入る。真っ暗な室内を転ばないように慎重に歩いていく。


 部屋の灯りを点け、ようやく見えるようになったところで、奥の部屋にあるソファへと向かった。


 そこへ金森さんを座らせる。ぐったりとしており、起きているのかどうか見ただけではよく分からなかった。


 荷物を身体から離しながら俺は問い掛ける。


「カナさん、起きてる?」


「水……」


「わかった」


 身軽にしてからキッチンへと向かい、コップに水を注ぐ。零さないようにしつつ運んでいき、求めた本人の手に持たせる。


 冷たい感触が刺激したようで、今までの様子からは考えられないしっかりとした力で握っていた。


 顔を少し上げ、ぐいっと水を一気に飲んだ。だが、それでもまだ足りなかったようで、空になったコップを無言で差し出してきた。


 俺はそれを受け取り、再びキッチンへと戻っていく。同じように入れてから運んでいき、再び持たせていく。


 だいぶ落ち着いたようで、少しゆっくり飲んでいた。そして半分ほど飲んだところで口から離してしまった。


「あー、零さないでー」


 傾きかけたコップを奪い取り、ソファが濡れるのを防いだ。この人は半分寝かけているようだ。


 手にした飲みかけのコップと交互に眺め、どうしたものかと考える。


 とりあえず、俺は一気に水を煽って中身を空にすることにした。それを手に取ったままキッチンへと戻る。


 途中で抜け出したため、何だか物足りない感じがする。何かないかと探してみる。


 すると、やけに小洒落た包みを見つけた。全く思い出せないでいたので開けてみることにした。


 そこには、テディベアの形をしたボトルが入っており、よく見るとウイスキーが入っているようだ。


 こんなものをどうしたのかと思い返してみると、いつだか金森さんがくれたものだった気がした。小さいボトルではあるが、度数はそこそこあるようだ。


 今日はこれだけにしておこう。


 ウイスキーの入ったボトルと空にしたばかりの濡れたコップを手にし、俺はソファへと戻る。


 反対側の空いている場所に座り、ほんの少しだけ入れる。独特の香りが漂ってくる。


 ウイスキーは香りから楽しむ。確か、金森さんが教えてくれたことだった気がする。


 そう教えられても、俺は結局香りが強いという認識でしか楽しめないでいた。あまり飲んでこなかったので正直よく分からない上に、だいたい安い酒しか飲まない。


 つまりは俺には学習されていないということだ。


 それでも、真似事のように楽しんでみる。


 きっと今のようにこんなにぐったりしていなければ、感想を言わされていただろう。ちっぽけな頭で可能な限り考えてみる。だが、何も思い浮かばなかった。


 そしてようやく中に入れた液体をゆっくりと口にする。ひりつくようなアルコールが口内を刺激し、俺に触れたところが熱を持ったような感覚になる。


 そのまま喉を通っていき、身体の中の器官がどこにあるのかをはっきりと示してくれているようだ。


 これを飲み続けてまともにいられる人が信じられない。


 横で倒れている人がここまで強いものを飲んでいたとは思えないが、よく飲もうと思ったものだ。そう思いながら次を飲んでいく。


 すると、何かもぞもぞと動き出したかと思うと、俺の膝の上に重みがのしかかってきた。そこを見ると、金森さんが俺の膝を枕にして寝転んでいた。


「カナさん……?」


「司ぁ、何飲んでんだ?」


「……カナさんがくれたもの」


「ずるい」


 そんなことを言いながら俺から奪って飲もうと手を伸ばす。だが、俺が離すのと同時に途中で力尽きて倒れて落ちるのは同時であった。


「カナさん、今日はもう辛いでしょ? だいぶ喋れるみたいだけど」


「……司と飲みたい」


「ありがと」


 まるで猫のように膝の上で転がり続ける。こんな姿を見るのは正直初めてだ。


 思わず俺は頭を撫でていた。


 その感覚ですらすんなりと受け入れ、俺に甘えてきているように思える。


 これが可愛いというものなのか。


 俺もこの感覚にすっかり虜になってしまい、ずっと撫で続けていた。


 猫を撫でながら優雅に酒を飲んでいる気分だった。思わず俺の酒のペースが上がってしまう。


 空になったコップに残りを注ぎ、ボトルを床に置く。大した量ではないものの、原液を飲んでいるようなものなのでさすがに少し酔ってきた。


 すると、少し手を離したところで金森さんがゴロリと上を向いた。それに気付かずに撫でようとしたら、思い切り手を払われた。


「あいたっ」


 どうやら顔を塞いでいたようで、少し機嫌が悪そうな顔をしていた。


「ごめんごめん」


 無言のまま睨みつけるようにこちらを見てくる。俺も無言のまま見つめ返す。


 音のない時間がしばらく続いた。こうして見ると、少しは酔いが覚めたのかもしれない。


「……なぁ、俺がお前以外のやつとサシで出掛けててもいいのか?」


「は?」


 何を突然言い出したのかと思えば、らしくないことを言い出してきた。思わず声を出してしまい、俺は呆然としてしまった。


 そして急に笑いが込み上げてきた。どうにか堪えてみるが、それでも限界だ。


「おい」


「ふふっ……何を言い出したのかと思ったら。ははははっ……いててててて」


「真面目に聞いてんのに何だその態度は?」


「いたいいたい。ちょっと離して……。ふぅ」


 脇腹を抓っていた手が離され、俺は痛みから解放された。このままでいたら、痛さで悶絶して危うくソファにコップの中身をぶちまけてしまうところであった。


「で、どうなんだ?」


「俺は全然気にしてないよ。むしろ、どんどん出掛けてきてよ。それで、いいと思ったところに俺を連れてってよ」


「随分な自信だな」


「俺のところに戻ってくるって知ってるから」


「ほんとか?」


 やけに疑ってくる姿勢に理由が気になって仕方なかった。


 俺としては束縛するつもりもないし、むしろしたくない。俺はお互いに自由でありたいと思っている。


 だからなのか、この人は気にしていたのだろうか。むしろそういったことで示してほしいのだろうか。今日のこの行動はその表れなのか。


 俺は再び頭を撫でる。


「俺、カナさんが思ってるよりもカナさんのこと好きだし、ものすごく甘やかしたいんだ。あんまりストレスになってほしくないからあーだこーだ言いたくないの」


「じゃ、甘やかして」


 そう言うと、重い腕を上に伸ばして俺の身体に絡みついてきた。重みを掛けるように俺の身体を引き寄せる。


「わっ、ちょっ、ストップストップ!」


 零れそうになったコップを庇いながら、近付けようとした力を制止した。


 そして再び不機嫌そうな表情をする。


「……んだよ」


「俺まだ飲んでるから! それに……」


 金森さんに近い方の手からコップを移動させ、その指で唇をなぞる。その感覚にビクリと反応する姿も愛おしいと思える。


「それに、初めてが酔ってるときなんて嫌でしょ? だからまた今度」


「……分かったよ」


 あまり納得した様子ではなさそうだが、今日はもうこれ以上しないと宣言するようにゆっくりと手を離していく。


 まだ少し眠そうな表情で俺の顔をじっと眺めてきたかと思うと、突然口を開いた。


「で、今飲んでる酒の味はどうなんだ?」


「っ……」


 素面でも問いそうなことに咄嗟に言葉が出てこなかった。動揺が顔にも出ている気がしてしょうがない。


 どうせ考えても見抜かれるだろうと思い、正直に話す。


「美味しいかどうかよく分かんない。どんな風にすればいいの?」


「とりあえず飲め」


「え……うん……」


 残っていたウイスキーを一口飲んでみる。だが、結局よく分からない。


「俺にも飲ませろ」


「カナさんは今日はダメ。さっき大変だったでしょ」


「もう大丈夫」


「眠そうなくせに。そんなに飲みたいなら自力で起き上がってみてよ」


 反抗的な俺の態度に触発されて起き上がろうとする。だが、思うように力が入らないようで、頭を少し浮かせたところでまた寝転んでしまった。


 何度もそれを繰り返していたが、結局上がらなかったので諦めてしまった。


 これでようやく諦めてくれたようで、じっとして俺のことを無表情で眺めていた。


「どうしたの?」


「ウイスキーは見た目からも楽しめ。これが入ってたボトルもかなりよかっただろ?」


「う、うん……」


 突然何を言い出すかと思えば、金森さんのウイスキー談義が始まった。これはもう寝て起きるまで酔ったままだろう。


 ひどく酔っ払ったときは語り出す癖がある。その内容はそのときによって違うが、完全に寝落ちするまで止まらない。そして起きたらほとんど覚えていたことがないのである。


 正直俺も酔って聞いている状態がほとんどなので、あまり覚えていない。


「値段なんてピンキリだけどな、高いほど美味い」


「じゃあ今日、山本さんと飲んでたのはそんな高いやつだったの?」


「値段はそこそこだけど結構貴重なやつだった。あれはお前みたいなやつでも楽しめるぞ」


 だんだん上機嫌になっていく金森さん。饒舌なのがその証拠だ。


「じゃあ今度、一緒に飲みながら教えてよ」


「今じゃダメか?」


「だってカナさん飲み過ぎで倒れてた」


「いや、俺が飲まなくても教えるの」


「それじゃあ飲みながらじゃないよ」


 俺は残っていた中身を全て飲み干してこの人を見つめる。少し量が多かったようで、身体の中が一気に熱くなってきた。


 それを見ていた金森さんは余計に不機嫌になっていく。


「……んな山本みたいに飲みやがって」


「手を出しそうなものはとっとと片付けたかったので。それに……」


 俺は完全に空になったコップをソファの隙間に置き、空いた両手でこの人にべったりと触れる。


「それに、早くこうしたかったから」


「っ……」


 一見すると不機嫌なように見えるその表情に、赤みが増していったような気がする。その表情も徐々に歪んでいく。


 思わずニヤリと微笑みながらじっと見つめる。


「……ずるい」


「ん?」


「その顔だよ、イケメンめ」


「そりゃどーも」


 何度も言われていることだが、正直嬉しい。俺は頭を撫でながら視線を固定する。


 そうしているうちに徐々にうとうとし始めた金森さん。これでようやく眠ってくれるだろう。


 口数も減っていき、目を閉じている時間の方が長くなっていく。


 眠気が移ってきたのか、俺も少し眠くなってきた。思い切り欠伸をし、再び前を向く。


 あまり思考がまとまらなくなってきて俺も時々意識がなくなってきた頃、ようやく規則的な寝息が聞こえてきた。金森さんがようやく眠ったようだ。


「おやすみ……」


 じっと寝顔を眺めて観察する。触れれば再び起きてしまいそうだが、俺は触りたくてしょうがなかった。


 だが、起きたら面倒になるという理性でそれを押し込める。


 どんなに変化がなくても、いくらでも見ていられる。俺はそれくらい好きであるということを改めて自覚した。


 今だけだ、と思いながら寝顔を堪能していく。この人の寝顔だけでいくらでも酒が飲めそうだ。


 しばらく眺めていると、ようやく俺にもかなりの眠気がやって来た。


 何度目かの欠伸をしていたら、首が大きく動いた。意識が遠のき始めていた。


 完全に意識がなくなる前に部屋を暗くしようと思い、俺はそっとこの人を膝から下ろし、部屋の灯りを消してから再び同じ姿勢に戻し、目を閉じて寝る体制へとなった。



 ***



「んおっ!!」


 それは突然の衝撃だった。無理矢理意識を引きずり戻されたと思ったら、何かを投げつけられたような衝撃がした。


 俺はそれで目が覚めた。


 目の前には怒りと恥ずかしさの混じった表情の金森さんが立っていた。よく見ると服はそのままであったが、シャワーを浴びたようなすっきりとした様子であった。


「カナさん……? おはよ」


「お前、一体何したんだよ……?」


「へ? 酔って吐いたカナさんを連れ帰っただけだよ?」


「だったら、起きたときのあれは何だったんだよ!?」


 自分からしてきたことなのに、すっかり忘れているようだ。


 正直このようなことはたまにあるのでそこまでではないが、この突然の起こされ方はどうにかしてほしい。


 投げつけられた柔らかいクッションを抱きかかえたまま俺は微笑む。


 それでようやく攻撃的な意識は修まったようで、見た目からもこれ以上何かをしてくる様子は見えなかった。


「俺は特に何もしてないよ。寝やすいように電気消したくらいかな」


「そっちじゃない」


「何のこと?」


 何を言いたいのかは分かっているが、俺は敢えて言わないようにした。この人に言わせたいからだ。


 無言で見つめ合う姿勢はしばらく続く。


「……ら」


「……え?」


「ひ……膝枕のことだ!! 勝手にやってんじゃねーよ」


「えー。カナさんからだったよ」


 えっ、と小さな声で驚きを露わにし、再び静止した。自分から行動するなんてあり得ないといったところだろう。


 正直俺も、こんなことは今までなかったので少々驚いた。これが本来求めていたことなのかと思わなくもない。


 俺は安心させるためにクッションを置き、立ち上がってこの人に近付く。そして、逃げようと後ずさりする身体をぎゅっと抱き締めた。


「俺、カナさんが積極的に愛情表現してくれて嬉しかったよ。ちゃんと受け止めたから」


「そ、うか……」


 ゆっくりと俺の背中に何か感触が伝わってくる。この人が抱き返してくれている感触だ。


 昨日のにおいが若干残るそこに顔を埋め、温もりをより求めて感じていく。


 朝からこんなに感じていられるなんて幸せでしかない。嬉しさに思わず抱き締める力が強くなっていた。


 すると、背中を両手で叩かれて無理矢理離されてしまった。


「お前はっ……何でもかんでも大袈裟すぎる」


「そんなつもりはないのにー」


「とにかく、俺には苦しかった。あと臭い。シャワー浴びてこい」


「臭いのは仕方ないから」


 これ以上反抗したら何を言われるか分からないので、大人しく従って着替えの置いてある方へと向かった。自分の家なのにこんな思いをするのは少々不思議な気分だ。


 一式手にして洗面所へと向かうと、使った痕跡がほぼ見られない光景が目に入った。朝日が差し込むその場所は、湿ったバスタオル以外何も変わっていない。


 律儀だな、と微笑みながら着ていたものを全て洗濯機へと放り込む。


 そうして浴室へと入ると、丁寧に掃除までされていた。思わずニヤケが止まらなくなってしまうその顔で、俺はシャワーを浴びた。


 結構神経質なところがある金森さんは、たまに俺の家を勝手に掃除してしまうことがある。そして自分の使った痕跡を残さないように、使ったところも掃除している。


 俺は別にいい、と何度か言ったことがあるが、そうしないと気が済まないとはっきり言われたときにありがたくやってもらうことにした。


 最近は、いつまでもちゃっかりしているのも申し訳ないと思い、俺自身も少しはどうにかしているところもある。


 それでも、こうして先に使われてしまったら何もしようがないが。


 そんなことを考えているうちに、洗い終えてしまった。水気をある程度拭き取ってから浴室を後にし、洗面所へと戻る。


 新しいバスタオルを使うのももったいない気がし、使われたバスタオルで身体を拭う。


 水気を拭き取ったところで衣服を纏い、鏡の前に立って髪の毛を乾かす。


 正直こういったことは手間であるが、髪の毛だけはしっかり乾かさないと鳥の巣のような頭になってしまうのでこれだけは怠らない。


 それが意外だったようで、最初この光景を見たときには盛大に笑われた。だがそれも一度きりのことで、今では忘れているときに声掛けをしてくれるくらいにまでなった。


 金森さんは意外に世話焼きだな、という印象が最近思うようになってきた。俺のことを想って言ってくれていると考えると、嬉しさしか湧いてこなかった。


 それが顔に出ていたようで、鏡に映ったその姿を見て我に返った。


 髪の毛が完全に乾いたところを確認しながら、平常心を取り戻していく。見た目は問題なさそうだ。


 バスタオルを洗濯機に放り込み、洗剤を入れてそのまま洗濯機を回し始める。


 そうして部屋に戻ると、金森さんは不機嫌そうな表情でソファに座っていた。足音で俺が戻ってきたことを認識したようで、数歩歩いたところでギロリと俺を睨んできた。


「な、何……? そんな怖い顔して……」


「お前、朝ごはんは?」


「あ……ないです……」


 どうせ飲み会で疲れきっているだろうと予測して何も買っていなかった。この人を家に連れて帰るなんて想定外だった。


「朝食は食べろって言ってるだろ?」


「はい……すいません……」


 棘の刺さるような言い方であるが、正論であると思うために全く反論できない。


 前にも叱られたことがあり、来ると分かっている日は必ず用意するようにしていた。しかし、今日に関してはさすがに予想外であったため何もなかった。


 しばらくすると、盛大な溜め息から長々とした説教が始まる。毎度同じことを言っているような気がして正直耳に入ってこない。


 立ったまま反省しているように見せかけ、頭の中を空っぽにしながらただ立っている。


 早く終わらないかな、と考えているうちに、何だか空腹感がやって来たような気がする。


 ちらりと時計の方を見ると、まだ朝食というには十分な時間であった。


「おい、聞いてるのか!?」


「聞いてるよ。だからさ、このまま一緒に朝ごはん食べに行こ」


「は?」


「食べるのが大事なら、食べに行った方がいいと思うよ。ほら、行こ行こ」


 腕を引っ張りながら立ち上がらせる。強引なその方法でなんとか立ち上がったようだったが、よろけてしまった。


 俺はすかさず全身でその身体を抱きとめる。そしてそのまま再び抱き締める。


 突然のことに驚いているようで全く動こうとしない。


 洗ったばかりの柔らかい髪が俺の鼻先をくすぐる。俺と同じにおいを発していると思うと、何だか嬉しい気分になってくる。


 逃げられないように手は全く動かさない。それでも、少しでもこの人の温もりを得たいという気持ちは変わらないので包み込むように手を広げる。


 温かい。ただそれだけが全身に伝わってくるだけで、俺の中の何かが興奮状態にあるのが分かる。


 俺は思わず滑らせるように顔をずらしていき、唇を重ねようとしていた。


 そこで金森さんは俺の状態に気付いたようで、顔を鷲掴みにされて制止された。食い込む指が全力を伝えてきて痛い。


「いい加減にしろ。とっとと朝飯食いに行くぞ」


「はい……」


 俺は金森さんから離れ、必要最低限の荷物を手にして出掛ける準備を整えた。


 それよりも早く金森さんが部屋から出て行き、その後ろを追い掛けていくようにして部屋を後にした。


 施錠をしたのを確認し、俺たちは並んで歩き出す。


 閑静な住宅街、朝はほとんど人がおらず鳥の囀りしか聞こえてこない。


「カナさん、何食べる?」


「牛丼。それ食べてから買い物な」


「え、一緒に?」


「お前、放っておくと不摂生するだろ。俺が見る」


 その言葉に思わず笑いが込み上げてきた。これはまるで、買い物デートのようだ、そんなことが頭の中を占めていた。


 条件反射のように、金森さんは俺の顔を思い切り抓ってきた。


「いてててててて」


 こういうときに力加減というものを全くしないので本気で痛い。思わずその手を制止する。


「少しは加減してよ……」


「言っても聞かないやつはこれでも足りないくらいだ」


 そう言われてふと顔を見ると、何だか少し嬉しそうな顔をしているように思えた。


 俺だけではない、同じことを思っているだけで心の中はかなり舞い上がっている。もしこれが家の中だったら、自分が抑えられなかっただろう。


 だが、ここは家の外だ。公道である。思いのままに行動したらただでは済まない。


「今度は……」


「ん?」


「……今度は、朝飯くらい作ってやる。だから……材料用意しておけ」


 嬉しそうな様子を崩さず、けれども照れを含みながらボソボソと呟く。


 俺は嬉しさが一気に爆発した。


「ほんと!? カナさんの手料理食べ放題!?」


「ばっ……。食べ放題って、そんな量作らねーから。一食分な」


「えー。カナさんの料理ならいくらでも食べられる気がするんだけどなー」


「お前、俺の料理食べたことあったか?」


 ふとそんなことを言われて我に返る。俺の家に何度か来たことはあるし、何度か泊まったことはある。


 しかし、家に置いているのは温めるだけのものだけであった。


 当然、料理を作ってもらうことはなかった。


「ない……はず」


「だったら味なんて知らないだろ? 不味いかもしれないぞ」


「カナさんが作ってくれるって思ったら、絶対に美味しいに決まってるって」


「そう、か……」


 急に黙り込んでしまい、それ以上話そうとしなかった。


 ちらりとその姿を見ると、耳まで真っ赤になっていた。あまりにも俺が絶賛と期待をしすぎたせいだろう。


 言っていることは事実に変わりないので、まだしばらく同じことしか言えないので俺は黙った。


 何度目かの角を曲がると、駅が少しずつ近付いていって急に人通りが増えてきた。休日の朝というのにそこそこ人が歩いていて少々驚きだ。


 夜とは違う景色に、真新しい何かを感じながら周囲を眺める。


 散歩する人、朝から買い物をしている人、どこかへ出掛けようとしている人。それは様々であった。


 俺たちは一体何に当てはまるのだろう、なんて考えて考えていたら、思わず笑ってしまった。


「急にどうしたんだ?」


「別に。何でもないよ。ちょっとデートみたいだなって」


「……お前の頭はどうしてすぐそうなるんだ」


 はぁ、と盛大な溜め息をつかれた。


 そうは言われても、楽しいとついそんな方向になっていく。そしてそれが口から出てしまう。


 いつもの流れであるが、この人は毎度のように真面目に聞いてくれて毎度のように呆れてくれる。


 反応が貰えるだけいい方なのかな。


「じゃあ今度、本当にデートしようよ。どこにする? 遊園地、公園、ショッピング、色々あるよ。あ、今日はまた寝たいから」


「それだったら俺だって、早く着替えたい」


「そうだったね、ごめん。じゃ、とっとと食べよっか」


 ようやく店が見えたところで、金森さんは立ち止まってしまった。


 俺は何事かと振り返ると、何かを言いたそうにしていた。


「お、俺だって、一緒にいるのが、好き、だからな!」


 照れくさそうにそう一言告げると、顔を隠すようにそそくさと店の中へ入ってしまった。


 一瞬驚きながら、この人の本心が聞けたことに喜びの笑みが溢れ出ている中で、俺も続いて入っていった。

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