第2話

私は小林瑠美、パート勤めの普通の主婦だ。

旦那は小林正人、普通の会社員。

旦那とは婚活パーティーで知り合った。


私は婚活パーティーに参加している男って、なんかギラギラしている様に見えて苦手だ。

そんな中、小林正人は場慣れして無い感じだった。

私と話してる時も何故か敬語で恐縮しているみたいに見える。


そんな彼が私に一生懸命アプローチしてきた。

「瑠美さんは堀内商事の受付けに居ましたよね?」


10年くらい前の懐かしい事を言われてふっと彼の顔を見る。

「あの時、瑠美さんに何度も声を掛けようと思ったんです。でもなかなか切っ掛けが無くて・・・ 今日こうして声を掛ける事ができるなんて運命を感じます!」


10年前の事?

彼にそんな事を言われて当時の私の事、そして彼の事を必死で思い出そうとする。

でもどうしても彼の顔がうかんでこない。

運命の人・・・

ちょっと前まではそんな言葉に憧れていたが目の前に居る人がそうなの?


朧げに浮かんできた。

たしか取引先の会社の人だ。

彼は先輩社員と一緒によく来社していた。

スーツの似合わない少しオドオドした感じの人だった。


あのオドオドした感じの人が10年経ってこうなったんだ。


「瑠美さん、俺と連絡先を交換しませんか?」

今、私はフリーだし連絡先くらいいいか?

とりあえずって事で連絡先交換をOKした。


この時なんとなく『私の事をこの人は大切にしてくれる』そんな風に私は感じたのかもしれない。


私も男の人とつきあった事なんて殆ど無かったし、という感じではなかったけど『まぁいいかな』って・・・


彼は私が思ってたより積極的だった。

私の事を本当に『運命の人』とか思ってるのだろうか?

そして私だけが特別という感じが伝わってくる。

そんな交際が続いて彼が求めるまま身体を許してしまい、彼について行こうと決心したんだけど・・・


いつになってもプロポーズが無くて、「結婚する気はあるの?」って私から聞いてしまった。

彼は「俺と結婚してください!」ってやっと言ってくれる。


そして彼の気が変わる前に結婚指輪を選ぼうと百貨店の宝石売場へ彼を連れて行った。

そこでは有無を言わさず私好みのリングにする。


そして彼が帰ろうとしていたので呼び止めた。

「私の為に婚約指輪を買ってよ!」

と言ってみたら、彼は頷いてくれた。

そして私は給料二ヶ月分の婚約指輪をGetしました。

私が余りにも一方的に話すから、お店の人に笑われてしまいなんだか恥ずかしかった。

多分この時点で私と彼の立場は決まっていたんだと思う。


こんな風に私の理想的な家庭造りは始まった。

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