宴のあとのような寂しさが屋敷の中に漂っていました。
その後も、紳士は親族たちに声を掛けて回っていました。お爺様は
その一つ一つの内容は私には分かりませんでしたが、自分宛ての遺言書を見た親族たちはそれぞれ
紳士は長い時間を掛けて遺言を伝えて回ると、フゥと息を吐いて額の汗を拭いました。そして、コートやバッグを手に取って帰り支度を始めたのでありました。
「故人の遺言は全てお伝え致しました。これにて、私は失礼致します」
ペコリと紳士は頭を下げました。
「お疲れ様でした。ありがとうございました」
私も、この大変な役割をまっとうした紳士に頭を下げて見送りました。
それで、遺言書のお
親族たちは挨拶も
あんなにも多くの親族たちが集まって
残されたのは、私とカールです。
カールは気を取り直してといったように、パチンッと手を叩きました。
「よし、それじゃあ、俺達もじいさんの遺産を探しに行こうぜ!」
私は呆れてしまいました。
親戚たちの中にも屋敷を出て、すぐに遺産の捜索に向かった者も当然居るでしょう。
しかし、故人を
本当にこのカールという男は──無神経というか
悪い人ではないのでしょう。
ただ、私はカールのそんな発言が可笑しくなって、ついつい笑ってしまったのでありました。
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