第32話 私もだよ?
「むふふ、雪花おにいしゃん」
「なに?」
「私の、雪花お兄しゃんだもんね」
絵里ちゃんと体を交わしてしまった。二人で、くっついてベッドでくつろぐ。絵里ちゃんは前よりさらに甘えるようになった気がする。
「ほんとは、ゴムなんて要らなかったのに」
「そこはちゃんとしないとだめだよ。僕が大人になって社会に出てからね」
「...........ねぇ、雪花お兄さん」
「なに?」
「雪花お兄さんさ、社会に出て、仕事するの?」
「う、うん。そうだけれど」
「だぁーめ。雪花お兄さんは主夫になるの」
「...........主夫?」
「うん」
...........主夫、主夫かぁ。...........なんだか、情けないような気がする。
「男としてのプライドとか、男性が女性を養うのが当たり前みたいな古い風潮より、絵里との楽しい時間のほうが大事だよね?」
「う、うん」
「私ね、お金だけはあるんだ。今まで、使ってこなかったから。そして、これからも増え続けて贅沢しても暮らしていけるだけのお金があるの」
「で、でも」
「絵里との時間、選んでくれないの?」
「そ、それは...........」
「じゃあ、私のマネージャーにならない?」
「ま、マネージャー?」
「うん。私、企業に所属しているけれど今のマネージャーとか前のマネージャーとあんまり連絡取りたくなくて。男の人だと特に。だから、私が会社に掛け合ってみる。正直、私の扱いに手を焼いていたからありがたい申し出だと思うよ」
マネージャー兼主夫。
「今、結論付けなくてもいいの。最終的にそうなってくれればいいだけだから。ね?」
「分かった。考えておくよ」
「むふふ、ありがと」
総合的に見て、絶対に僕より生涯年収は高いんだよな。絵里ちゃん。今の時代、共働きなんて普通だし、逆に主夫もいるだろうけれど、絵里ちゃんのことは養いたいんだよなぁ。
「雪花お兄さんは、私たちの事だけ考えていればいいんだからね?」
「う、うん」
絵里笑みに、こくこくと頷くしかない。
「ただいまー」
「っ!!ま、不味いよ。絵里ちゃん。服着ないと」
「むふふ、大丈夫、大丈夫」
なんでそんなにのんびりしてるんだ。
「ただいまー、...........ってあれ?あらあら。もしかして...........した?」
「え、あ、いや、その...........しました」
「うふふ、そっか」
妖しい笑みを浮かべて僕の耳元でこう囁いた。
「次は、私に...........ね?私は自分で責任とれるから、なにしてもいいよ」
僕は、呆然と固まってしまった。
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