第23話
「ん、んぅあ」
..............あれ、ここどこだっけ。
確か..............あっ。
「おはよ、雪花君」
「おはよう、雪花お兄さん」
目を覚ますと、目の前に山があった。
「ちょ、雪花お兄さん。くすぐったい。えっち」
「ご、ごめん」
僕が動くと絵里ちゃんの胸にあたってしまい、身動きが取れない。
「雪花お兄さんは、このままじっとしててね。というか、一生このままでもいいよ」
絵里ちゃんの瞳がいつもより真っ黒だった。
僕が寝ている間にいったい何があったんだ。
「雪花お兄さんが悪いんだよ?私を、その気にさせたんだから」
「..............え?」
本当に、何があったんだ?
ちらっと、美穂さんの方へと目を向けると美穂さんもまた僕の事を瞬きをしないで、じっと見ていた。
「雪花君」
「..............なんですか?」
「私たちと雪花君はずっと一緒だよ?」
「..............へ?どうしたんですか急に」
「..............急じゃないよ、もぅ」
胸が大きすぎて、絵里ちゃんの顔は見れないがむくれているのが分かる。
でも、
「僕は、二人が僕を必要としなくなるまで、ずっと一緒にいるつもりです」
「「っ!!」」
そう言った、途端、二人は体から力が抜け、びくんっと体を揺らした。
「雪花お兄さん、それは反則」
「そうね、殺し文句だわ。そんなこといったら」
「なにされても、何も言えないよね?」
二人は目の焦点が定まらないまま僕の事を抱きしめて離さない。絶対に話さないという強い力を感じた。
そして
「ちゅ」
両方の頬に軽いリップ音がする。
二人へ顔を向けると、怪しい妖艶な顔でこちらをじっと見つめていた。
「ねぇ、雪花君」
「雪花お兄さん」
「約束ね」
「絶対、私たちから逃げないで」
「どこにも行かないで」
「ずっと、私たちの傍にいてね」
絡み取られてしまいそうな、ささやき声に僕は黙ってこくこくと頷くことしかできない。
「もし約束破ったらね?」
「絶対に、許してあげないよ?ずっと私たちの傍にいてくれるように優しく説得するからね」
僕は、このまま二人に溶かされてしまうんだなとそんな錯覚に捕らわれてしまうほどに甘美で、ずっとこのままでいたい。
「このまま一緒に寝よっか」
「今夜は、離さないから。ずっとこのままね?」
そういって、より一層強く抱きしめる。
二人の大きな胸に挟まれ、若干の息苦しさも感じるが、止めてとはとても言えなかった。
僕も、ずっと二人といたいから。
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