第18話 懺悔。
本当にただの興味本位でしてみた。
すると、雪花は面白いように私に嫉妬してくれた。最初は、適当に今人気の配信者の玲の推しのふりをしているだけだった。
だが、見ていくうちに段々と私の知らない世界だった配信、とかゲームの世界にのめり込んでいった。
本当に、最初は嫉妬してくれる雪花が目当てだったが、いつの間にか優先度が高くなり、配信者である玲の虜になっていき、玲がやっていたゲームを初めてそこからネッ友ができ段々と私の心から雪花の存在が無くなっていき、優先順位が逆転していった。
馬鹿だったとしか言いようがない。
そして、馬鹿な私は気が付かないまま運命の日を迎えた。
「.........か…れる」
「ん、なんて言ったの?聞こえない。はっきり喋って」
「.........別れる」
「.........は?」
「お前となんて、もう別れてやる!ふざけんな」
「.........は?ちょっと待ってよ。急にどうしたの?」
今考えると、雪花の怒りは当然のものだった。
唐突でもなんでもない、自業自得。
「急にじゃねえよ!お前のその態度!もううんざりだ。我儘で可愛げがない、彼氏のことを一ミリも考えていないその態度!もう無理!別れる」
「はぁ?いいの?あんた、こんな可愛い彼女捨てて?」
「可愛かったのは、最初だけだよ。あーもういい、僕は絶対に別れるからな」
「.........本気?」
「ああ、本気だね。正直、お前と付き合ったのが間違いだった。もう二度としゃべりかけてくるなよ」
「!?はぁ?べっつにいいし。いいわ別れましょう。これで玲君に時間ささげられるし」
「あぁ、どうぞご勝手にじゃあな」
今考えると、あの時追いかけていたら運命は変わっていたのだろうかとかありもしない想像をしてまう。
無意味だって分かっているのに。
ああ言って別れてから、気付いたのはすぐだった。
ふと、携帯からの通知を確認していた。
一切の連絡が来なくなった。意固地になって、最初は別にいいと思っていたが気になり始めると落ち着かず、いつのまにか、過去の写真を漁っていった。
どれも、私と雪花は楽しそうで、笑っていた。
ふと、涙が出た。
そして、気が付いた。
私はとんでもないことをしていたと。
すぐに玲のチャンネル登録を解除した。ネッ友との縁を切った。
振り返ると、私は雪花だけでなく友達との遊ぶ約束や、交流も減っていて最後の綱であった雪花でさえ自分で切り落としていた。
現実を見たくなかった。
布団にくるまって、過去に戻れと何度も唱えた。
どうしようもなくて、雪花にLEINを送ってみたが、終ぞ既読が付くことはなかった。
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