第13話 ..............。

「雪花お兄さん、休憩しよ?」

「え、あ、もうこんな時間か」


 今日は土曜日。


 絵里ちゃんは朝から僕の家に来ていて、一緒にというか僕の膝にいつものように絵里ちゃんが座り、僕が勉強をしている。


 朝から初めて、もうお昼を過ぎようかという時間帯になってしまった。


「絵里ちゃん、ごめんね。お腹空いたでしょ」

「うんうん、大丈夫。雪花お兄さんの真剣な顔見ていたら時間なんてあっという間だったから」

「そうなの?」

「うん。すごく格好良くて見惚れていたんだもん」

「あ、え、そうかな。ありがとう」


 絵里ちゃんのこういう純粋に褒めてくれるのは嬉しいと同時になんだか気恥ずかしい。


「今、ご飯作るから待ってて」

「ありがとう。雪花お兄さん」

 

 手早く、料理の準備を済ませ作っていく。


 卵、結構余っちゃっているし親子丼でいいか。作る事、三十分程度で完成する。


「いつみても、雪花お兄さんの料理は美味しそうだよね」

「ありがとうね。じゃあ、いただきます」

「いただきまー......」


 丁度その時、インターホンが鳴った。


「行ってくるね」

「うん」

 

 なんだか、嫌な予感はしたのだ。


 そもそも確認しなかった僕も悪い。


 玄関を開け、そこにいたのは


「あ、雪花。こんにちわ」

「......」


 僕は無言で、玄関を閉めた。


 いたのは元カノだった。


 なんで僕の家に来たのかもわからない。


「あ、開けて。雪花。お願い」

「何のために来たんだよ」

「そ、それは、もう一度ちゃんと話し合いたいから」

「僕がお前に話すことなんて何もないから」

「そ、それはそうかもしれないけれど。私は、話し合いたいの。お願い。お願いします」


 玄関の扉をガチャガチャして、なんとか開けてもらうよう抵抗してくる。


 正直、すごくうざい。

 

 それに、家に絵里ちゃんいるし。こんな奴に合わせたくない。


「......分かった。じゃあ、来週の月曜の放課後。お前の家で」

「ほ、本当に?ありがとう」

「今日はもう帰ってくれ」

「......うん。分かった」


 玄関からひと気が遠ざかるのを確認してからリビングに戻る。


「ごめんね、遅くなっちゃって」

「..................雪花お兄さん」

「ん?何かな」

「さっき、随分長かったけれど誰が来ていたの?」


 背筋がぞくっとした。


 絵里ちゃんの声音がいつもより数段低く冷たかったように感じた。


「え、えっと。まぁ..............元カノだよ」

「......そうなんだ。元カノ、なんだね」

「うん。元カノだけれど」

「お兄さんさ、聞いてもいい?その、元カノの事」


 ............これはどうも、長くなりそうな感じがした。

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