第11話 サプラーイズ
「はぁー疲れた」
横を向き時間を確認すると、お昼くらいになっていた。
「お昼何作ろうかな」
一人暮らしを始めてもうすぐで三年になるが、自炊は今でも続けているのが僕の少しだけ誇れるところだ。
あの事件から結構な時間が経った。
「絵里ちゃん何してるのかなぁ」
昨日行ったばかりだというのに気になってしょうがない。
最近は絵里ちゃん、なんか忙しそうだし。聞くと「秘密」とウインクされてごまかされてしまう。
美穂さんに聞いても「うふふ」って笑ってごまかされちゃうし。
「とりあえず、作るか」
いろいろ漁って出てきたのはパスタだった。
カルボナーラかトマト缶があるからトマトパスタでもいいし、でもたらこパスタも捨てがたいなぁ。
そんなとき、インターホンが鳴った。
誰だろ。
ドアを開けると、そこにいたのは......
「わっ」
「雪花お兄さん!!」
勢いよく抱きしめられる。
「こんにちわ、雪花君」
「こんにちわってどうしたんですか?」
「んーそれはねー」
「お兄さんのお隣に引っ越してきちゃった」
「そっか、引っ越して..............引っ越してきた!?」
「うん」
そういってむふふと笑っている絵里ちゃん。
確かに最近お隣がうるさいというか、忙しくしているなと思っていたけれど。
「どうして?」
「それは、雪花お兄さんに毎日会いたいからに決まってるよ?」
「そんな理由!?」
「そんな、じゃないよ。私は毎日雪花お兄さんに会いたいもん」
「美穂さんはそれでいいんですか?」
「うん、雪花君の近くなら安心だし」
「美穂さんも一緒に住むんですか?」
「私はあの家も大切だから。でも、週に四、五回くらいはこっちに来ると思うわ」
「楽しみだわー」とほほ笑んでいる美穂さんに、最初は驚いたが今では僕も楽しみになってきた。
「雪花君、もうごはんは食べたの?」
「今から作るところです」
「私がつくろっか?」
「大丈夫です。あ、僕が二人の分も作ります。引っ越し祝いってやつです」
「わーい。雪花お兄さんの料理楽しみ」
「楽しみだわ」
そんなに期待されたら少しだけ緊張するけれど、頑張るか。
「とりあえず、玄関先ではなんですし入ってください」
「お邪魔しまーす」
「お邪魔します」
リビングまで案内して、座ってもらう。
さてと、エプロンをつけて。
「改めてみても、雪花お兄さんのエプロン姿......萌える。写真撮っていい?」
「いいけれど」
「絵里、あとで私にも送ってね」
「はーい」
ぼくのエプロン姿ってそんなにいいもんかな。自分で見ても気持ち悪いだけなんだけれど。
とりあえず、いろいろ作ってたべてもらうか。
カルボナーラにトマトパスタ。おかずにコロッケでいっか。
せっせと作り、食卓に並べる。
「わー、どれも美味しそうだよ。雪花お兄さん」
「小皿にとって食べてね」
「うん」
「妬けちゃうわ。私より料理上手だもん」
「そんなことないですよ。じゃあ、絵里ちゃん、引っ越しおめでとう。いただきます」
「「いただきまーす」」
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