第9話 日常
「お邪魔しまー」
「雪花お兄さん!!」
インターホンを押し、僕だと確認するとどたどたと中から聞こえるくらい急いでこっちに来て、ドアを開け飛び込んでくる。
「こんにちわ、絵里ちゃん」
「こんにちわ、雪花お兄ちゃん」
そういって、僕の胸にすりすりと顔をこすりつけている絵里ちゃんに自然と笑みがこぼれる。
「雪花お兄ちゃん、中に来て?」
「うん」
絵里ちゃんに連れられ中に入る。
「今日は何して遊ぼっか」
「今日はねー、ゲームしたい」
「うん、いいよ」
「っていうか、ゲームしかしてないけれど」
「そうだね」
絵里ちゃんはいつものように僕の膝の上に座る。
毎回座られるから、慣れてしまった。
それにしても、絵里ちゃんて発育いいよなぁ
「絵里ちゃんってそういえば、何歳なの?」
「......女性に年齢を聞くのは、良くないよ?雪花お兄さん」
「ご、ごめん」
「ふふっ、ごめん、意地悪しちゃった。今年で十六になるかな」
「絵里ちゃんは、二個下だったのかぁ」
「そうだね」
......もう少し下だと思っただなんていえない。
「むっ、今、雪花お兄さんもう少し下とか思った?」
「あ、いや、あの。......絵里ちゃんが可愛いからもう少し下かなって」
「え、えへへ。そうかな」
危ない、子供っぽいって捉えられなくてよかった。
絵里ちゃん、小さくて可愛くて、でもその......胸は大きくて本当にモデルというかアイドルみたいだ。
「雪花お兄さん?目がえっちだよ?」
「ごめん」
「......いいよ。雪花お兄さんなら」
「えっ」
「さ、ゲームしよ」
「う、うん」
「むふふ」
楽しそうに僕の膝で足をバタバタさせている絵里ちゃんは本当に可愛い。天使みたい。
「そういえば、雪花お兄さん」
「んー何?」
「再来週くらいに、面白いことが起こるかもね?」
「え、何?」
「んー、秘密」
そう言って、鼻に人差し指を当て「ふふっ」と小悪魔のように微笑む絵里ちゃんに少しだけドキッとしてしまう。
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい。美穂さん」
「お帰り、お母さん」
いつの間にか、美穂さんが帰ってきたみたいだ。
「今日は、何食べたい?」
「あ、僕も手伝いますよ」
「雪花君はお客さんでしょー?ゆっくりしてて?」
「大丈夫です。僕、美穂さんと一緒に料理したいなーって思ってたんですけれど」
「雪花君、それはずるいよー。もぅ」
「むぅー。私も一緒にするー」
「じゃあ、三人でしよっか」
嬉しそうにそうほほ笑む美穂さん。
僕の袖を掴み、楽しそうに笑う絵里ちゃん。
この光景を見守っていきたいと心から思った。
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