7-2 2度目のお休み
「ニノマエさん、一週間という時間はなかなか進まないですね。」
「そうですか?自分は凄く早く感じましたよ。」
「ふふふ。そう言ってもらえると嬉しいです。
では、ニノマエさん、今回もよろしくお願いしますね。」
「はい。では行ってきます。って、『行ってきます』を言える事ってとても気持ちいいですね。」
「そうですね。私もニノマエさんに言えることが凄く嬉しいことですよ。」
「そんな事言って~。では行ってまいります。」
「はい。(ホントに興味深いヒトですね。)」
ドアを出て、寝室に戻って来た。
久しぶりに感じるけど、こちらでは時間が過ぎていない。
今は午前1時か…。皆寝てるかな?
渡したいものがあるけど、それは取っておこう。
俺も二度寝かもしれないけど寝る準備をする。
今回は大奮発して、向こうからキングサイズのポケットコイルマットレスと羽毛布団セットを持ってきたんだ。それとみんな用にもダブルサイズのマットレスと羽毛布団セットも。
ベッドメイキングをして、ふかふかになったベッドに寝る。
うん。寝心地が良い。
今日は何しようか、と考えているうちに深い眠りに入っていった。
「・・・さま、・・ズ様、起きてください。カズ様。」
なんだ?誰だ?
「ん。どうした?」
「カズ様、一体どうしたのですか?このベッドは?」
「あぁ、ディートリヒか。今、何時?」
「まだ3時ですが、そう言えば今日お戻りになられる日という事を思い出して、部屋をこっそり覗きましたら、何だかふかふかの布団が見えましたので…。
もうお帰りになられたのですか?」
「あぁ。行って戻って来たところだよ。
あ、そう言えば皆にはまだ言ってなかったな。どうしよう。ちゃんと話した方が良いよな。」
「そうですね…。でもそれは追々でよろしいのではないですか?」
「しかし、下着とかもいっぱい買ってきたよ。」
「え!本当ですか?では、皆さんに来てもらいましょう。」
「でも、まだ3時だよ。もう少し寝るか、明日の夜にした方が良いんじゃない?」
「でも…、早く着たいです…。」
「じゃぁ、内緒でディートリヒだけ着てみる?」
途端に笑顔になる。うん、可愛い。
「では、カズ様が一番好きなモノを着させてください。」
「え!?それは困る。」
「何故ですか?」
「だって、適当に買ってきたから、誰に似合うのなんて考えて買ってこなかったんだ。」
「もう、カズ様ったら。
では、適当でよろしいので5つほど出してもらえますか?」
バッグの中から本当に適当にMサイズのシルクのナイトドレスやナイトウェアを出す。
うわ、ディートリヒさん、真剣な目線だ。
「では、今日はこれで。」
彼女は裸になり、ピンクのナイトウェアを着る。
うん。似合っているね。
「ディートリヒ、可愛いよ。」
「カズ様、これを着る時はお情けをもらうというタイミングになるのですよね。」
「お情けは無いよ。愛し合うことはあってもね。」
「ふふふ、そうでしたね。なにかこれを着れば、カズ様に大胆に迫る事ができますね。」
「でも、今日はやめよう。みんな渡していないのに、ディートリヒだけ特別になると、みんなが悲しむからね。」
「ほんとにカズ様は、皆さんの事を愛していらっしゃるのですね。」
「そうだね。みんな全力で愛していきたいよ。」
「では、愛し合うことは残念ですが、もう一つだけお願いがあります。」
「ん、何?」
「その布団で一緒に寝させていただいてもよいですか?」
「それなら問題ない。じゃぁ、みんなが起きる時間まで一緒に寝ようか。」
「はい。」
それから数時間後、しっかりと睡眠をとった俺たちはリビングに移動する。
すると、ナズナが目を見開いてディートリヒを見ている。
「お館様、そ、その、ディートリヒさんが着ている服はなんでしょうか…。」
あ…、着替えさせるの忘れてたーーーー!
当のディートリヒはしたり顔だ。あ、確信犯的な笑みだよ…。
結局、俺が30日過ぎると一度これまでの世界に帰ることを説明し、今回何を持ってきたのかを説明し、皆に納得してもらった。
そこから先は大品評会の始まりだった…。
先ずはみんなのサイズにあった下着を20セット渡す。
カラーもスタイルも違うモノを買ってきたので、みんな一着ずつ着てこれが良いとか、あれも良いとかワイワイ、キャッキャしている。
俺はお茶を飲みながらその姿を見て微笑んでいる。
次にディートリヒが着ていたシルクのナイトウェアをサイズごとに100着出すと、もうワゴンセールに群がるお母さん状態だ。
ただし、ベリルだけはLサイズだし、ナズナはSサイズなので、ゆっくりと選んでいる…。
問題はディートリヒとスピネルが同じサイズだという事だ…。
スピネルは背が小さいけど、胸があるからMサイズかLサイズが良いみたいだ。
「お館様、今晩からこれを着てお館様の部屋に行けば良いのですね。」
「あ…、はい。でも、ほどほどにしてくださいね。」
「ニノマエ様、私どももこんな高価なものをいただいてもよろしいのですか?」
「うん。皆俺が愛しているヒトだからね。あ、それとその服はこの世界にない素材もあるから、この家だけで着てね。」
「はーい(((はーい))。」
あれ?ベリル、スピネル…、何故ディーさんのようにクネクネし始めた?
ヤバいな…。また残念女性が増えるのか?
「さて、今日俺は家で少しトイレを修理したいから、みんな自由行動にしよう。
それと、今月分の給料を支払っておくね。」
俺は、ディートリヒに大銀貨30枚、ナズナに24枚、ベリルとスピネルに5枚渡した。
「皆は、一緒に住めるだけで良いという気持ちもあると思うけど、ダンジョンなどの探索で出た素材を売ったお金から生活費を差し引いた金額を、仕事をした対価としてお支払いする部分です。
一日大銀貨1枚しか払えませんが、もっと稼ぐことができればもっと増えます。」
「あの…、このようなお金はもらえません。」
「私(私)もです。」
「ディートリヒ、何とか言って。」
「はい、カズ様。ではみなさん、本当に使いたいお金だけ使い、後はご自身で貯めてください。そして、貯めたお金でカズ様にプレゼントしましょう。」
「あ、それなら賛成です。そうしましょう。」
何故か全員一致しているけど、服とかは買わないのか?
女の子なんだから、もっとキャピキャピすればいいんだよ。
「では、今日はお休みとします。」
「お休みとはなんでしょうか?」
「はい。今日は自由にして良い日です。
好きな事をしてください。ただし、ダンジョンとか修練とかは禁止です。」
「あの…、ニノマエ様…、何をすれば良いのでしょうか…。」
「うん…、それを踏まえて自分で考えてみてね。」
「あ、それとこれは俺からの2つ目?3つ目のプレゼントね。
少し大きいから、みんなの部屋に置くよ。」
俺は、それぞれの部屋に行き、マットレスと羽毛布団セットを置いた。
みな、ベッドの上でピョンピョン跳ねている…。可愛い、子どもみたいだ。
「ベリルとスピネルは一緒の部屋でいいのかい?」
「はい。私たちは一緒で構いません。」
「私も同じ考えです。」
「うん。分かった。じゃ、一人のほうが良くなったら言ってね。まだ部屋はあるから。
では、解散!」
皆、いろんな事をするんだろうな。
俺はそう思い、先ずは家のトイレをウォ〇ュレットタイプに交換する。
電気で動く部分は、トイレの外壁にソーラーパネルを取り付け、配線を中に入れ蓄電池に繋げる。
シャワー部分は魔道具と連結。後は試験。うん、大丈夫!ちゃんと稼働したよ。
家でも少しDIYをしていたし、家電のケーブル関係も自分でやっていたからね。
1個できてしまえば慣れたもので、2時間で5つのトイレを交換し、俺の部屋にもソーラーパネルを取り付けパソコン用に蓄電池を置いた。
ソーラーパネルを取り付けた後、気づく…。
家の壁に黒い塊が目立つ…。
もし、また家を建てるようなことがあったら、配線を通す管を入れてもらおう。
そうこうしているうちにお昼だ。
家の中には誰も居ない。皆遊びに行ってるね。いい事だ。
久しぶりに琥珀亭に行ってみる。
「こんちゃーす。」
「あ、ニノマエさん、お久しぶり~。」
「マリベルさん、お久しぶりです。イヴァンさんおすすめのランチお願いしますね。」
「はーい。」
うん。心地よい。
何の気がねなく日常会話ができ、おいしいご飯を食べる。
何事もない光景と気兼ねのない会話、時間を楽しむって事だ。
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