6-22 マナの循環が原因ですね…
太刀は俺が教えることができる唯一の武器かもしれない。
ただ、竜人族のような力の強い者が持ち、力いっぱい振り回すとすぐ折れるだろうな…。
あとは、スピネルか…。
「マルゴーさん、もう一人の得物は?」
「あぁ、これらだが。」
キタよ…。フレイル。重たそうだな…。
「フレイルよりも出来ればロッドかワンドがいいな。それと付与は任せるよ。
そうそう、追加で防具を頼みたいけど、何かあるかい?」
「防具であれば、明日中にこのお嬢さん方の武具が出来上がるから、それ以降に作っておくよ。
ロッドは、これだな。」
ロッド:ミスリル、マナ増加、防御力向上
うん。マナを増加するものが入っている。
「それじゃ、マルゴーさん、大太刀と太刀、このロッドでいくら?」
「ロッド以外は“不良債権”だから、オリハルコンの素材代だけで良いぞ。
そうだな、ロッドと合わせて金貨2枚と大銀貨50枚だ。」
「分かった。じゃぁ、これ代金ね。
それと彼女たちの防具もお願いしたいんだけど、5日くらいでできるかい?」
「おいおい、イヤに羽振りがいいな…。よし、分かった。5日くれれば問題ない。」
「代金は前払いしておこうか。」
「そうだな。4人分の防具で金貨8枚ってところだ。
そうだ。鑑定を少し手伝ってくれれば、大銀貨50枚はまけてやるよ。」
「分かった。じゃぁ、武具全部で金貨10枚ね。」
その後、俺が鑑定をしている間、ベリルとスピネルが採寸に行き、空いた時間に大太刀とミスリルロッドに火属性強化を内緒で付与し店を出た。
そのまま森の手前にある平地でマナの移動と武器の修練をする。
ディートリヒとナズナは昨日の練習で、ベリルは剣撃を出すこと、スピネルはファイヤーを出せるようにする修練を行う。
ベリルに大太刀を背負わせ、先ずは抜刀から。
「ベリル、抜刀の際に剣撃が出るようにすれば次の攻撃が楽になるぞ。
大太刀の柄を握った瞬間にマナを大太刀に注ぎ込むんだ。」
「はい。……、出来ました。」
「じゃ、抜刀する際に剣撃を前に飛ばすようイメージし、抜刀する。」
「はい。それっ!」
お、剣撃は出たが真上に剣撃が上がった…。
肝心のベリルが呆けている。
「あ…、出た…。」
「うん。剣撃は出たね。後は抜くタイミングと剣撃を放つタイミングを練習して。」
「はい!」
次はスピネルだ。
「スピネル、ロッドにマナが吸い込まれていく感覚があるだろ。
そのロッドにたまったマナを火に変えて前に噴き出すイメージを持って。」
「あ、ニノマエ様、火魔法で一つ試してみたい事があるのですが、良いでしょうか。」
スピネルは、ロッドを口の前にして空気をいっぱいに吸い込み、そして吹きかける。
ゴー!!!
うわ!口から火を吹いたよ…。
俺は呆けた。
「すみません、ニノマエ様。
竜人族が使えるブレスがどこまで届くのか試してみたくて…。
でも、すごい威力ですね。」
スピネルさん、ケラケラと笑っているよ…。
火を吹く姿が、まるでス〇Ⅱキャラのダル〇ムさんの必殺技「ヨガ〇ァイヤー」まんまだ。
「お、おう!すごいな…。俺の火炎放射よりも範囲があるんじゃないか?」
「え、ニノマエ様も火を吹けるんですか?」
火なんか吹けませんよ…。
俺の火炎放射は5mまで…、スピネルのブレスは10mは行く。これで一つできたね。
「次は、ナズナのように火を何個か浮かすことができるか?」
「はい。やってみます。」
あれれ?小さな火、と言っても青白い火が10個も出ているよ。
「それを出来るだけ早いスピードで前に撃ち出すってイメージして。」
「はい!えいっ!」
すごい速さで前方に飛んで行き、前方で小さな爆発が何回も起きた…。
「カズ様…、昨晩ベリルとスピネルに何をお教えになったのでしょうか…。」
ディートリヒさんがまじめに質問してきた。
昨晩は単にマナの流れを感じるようにしただけです…。ハイ。何もしていません。
たしかに前戯はしましたが…。
「昨日は、マナの流れがどういったものなのかを説明しただけです…。ハイ…。」
「はぁ…、カズ様は本当に教えるのが上手なのですね。
そうでなければ、一晩であんなに上手にマナを扱えませんよ。
一体、どういった事をお教えになったんですか?
ナズナさんも聞いていたんでしょ。
私にも教えてください。」
あ、ナズナもやって来た。ごめん、とばっちり受けちゃったね…。
彼女たちがどう感じたのかは知らないけど、マナを動き感じるにはどうした方が感じるのかを説明した。
2人は俺の説明を聞き、納得したように頷く。
「確かに、その方がイメージしやすいですし、カズ様と一緒に居られるという感覚も共有できますね。」
「そうです。これは魔法学の根底を揺るがすような大発見なのです。」
「魔法学というモノがあるのかは知らないけど、これは俺だけにしか教えられない魔法かもしれないから、あんまり口外しないでね。あ、それとそこで剣撃なのかミサイル飛ばしているのか分からないベリルと、狂気的な表情で多頭ミサイル放っているスピネルにも口外しないよう、約束取っといてね。」
その後、ものの1,2時間でディートリヒも十字の剣撃の他、エアカッターの小型版のような連射できる剣撃を出せるようになっていた。
ナズナにいたっては、無属性のマナのみのバレットだけでなく、より貫通力のある土魔法をつかったバレットを20個も出せるようになっている…。
ベリルはというと、火属性を付けた剣撃をだせるまでになった。
スピネルは、ヨガ〇ァイヤーと火のバレットを最大15個まで出せるようになっている…。
皆、無双状態になっているんだが…。
「カズ様、ベリルとスピネルがお話ししたい事があるようです。」
「お、良いよ。何かな?」
「ニノマエ様、昨晩の講義によりマナを循環させるという感覚を引き出していただき感謝いたします。
つきましては、私どももニノマエ様とこれからもご一緒させていただきたいのですが…。」
「あ、その事ね。大丈夫だよ。こちらこそよろしくお願いするね。」
「本当ですか?姉様やったーですよ。」
「あ、でももう一つだけ練習してほしい事があるんだけど、良いかな?」
「はい、何でしょうか。」
「それはね、ダンジョンで火を使った技や氷を使った技を使うと、俺達にも影響が出るって事なんだ。
だから、火を使わない無属性のものも出せるようにしておくと良いよ。」
「それは、これですね。」
2人は無属性の剣撃&爆破と無属性のバレットを出し、50m先に着弾させる。
この人たちって、昨日までやる気が無かっただけ?
「よし、それじゃ合格だね。あと、みんなが習得してほしい魔法を一つ教えるね。」
「え!魔法ですか!」
みんな、瞳をキラキラさせながら俺を見ているが、どう考えても剣劇もバレットも魔法だと思うよ…。
「これは、みんなのために行うものね。
昨晩のお風呂でもお互いの姿を見たと思うけど、今のみんなが元気な姿をしっかりと頭に焼き付けて。
そして、誰かが傷ついた時、そのケガや病気などをもとの元気な姿になるようイメージするんだよ。そして、その姿を思い心の中でも声に出しても良いから『治って』とマナに呼び掛けるんだ。
それが“ヒール”だ。」
「はい(((はい)))。」
俺は、もっていたダガ―で腕に傷をつける。
ディートリヒが俺にヒールをかける…。成功だ。
ディートリヒが腕に傷をつけ、ナズナがヒールをかける…。成功。
ナズナが腕に傷をつけ、ベリルがヒールをかける…。成功。
ベリルが腕に傷をつけ、スピネルがヒールをかける…。ん?何か違うが成功?
「傷をつけるのは今日限りにして、もし街中で転んでけがした子供たちが居たら、内緒で治してあげてね。それと、スピネルだけはヒールよりも上のクラスだと思うから、治癒をかける時には周囲に気を付けて。」
みんな、眼が輝いている。そして笑顔だ。
うん。これでいい。
「じゃぁ、帰ってご飯食べようか。」
「はい(((はい)))。」
今日は月末となるから、一回帰る必要がある。
金貨も10枚ほど持って行って、向こうでいろいろ購入する。あ、ベリルとスピネルのサイズも測っておかないといけないね。
俺たちが家に戻ると一通の手紙がドアに差し込んであった。
ザックさんからだ。
ご丁寧に奥様ズのサイズが事細かに記載されているよ…。
それと妖艶な服を各サイズ100は欲しいと書いてある…。どんだけ金貨持っていく必要があるんだろう…。でも、それも楽しい。
ただ、店舗購入は無理だ…。恥ずかしすぎる…。それにこんな枚数買うとなると業者かその筋のヒトと思われるだろうな…。
まぁ、そんなこんながあり、ナズナとベリルとスピネルという3人も愛すべきヒトが増えた。
この世界で4人を笑顔にしたい!そう感じている自分がいる。
俺を必要とし、笑顔になれる世界を作る。
前の“渡り人”と同じく、俺も記憶に残るようにしたい。
やるべき事を行い、深夜に出てきた扉を開け、白い空間に入っていった。
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