6-21 マナと武器

 次はベリルの番だ。俺はベリルを見る…。

彼女はとろとろな瞳をしている。


「ベリル、どう?何か感じた?」

「はい…。ニノマエ様に触られていないのに、何故かお腹が熱いのです…。」

「いきなり、これが“愛し合う”って事なんだ。」

「はい…、私も見てるだけで気持ち良くなりました。」


 俺はベリルを寝かせ、スピネルと同じようにキスをし、ゆっくりと身体にキスをする。


「あぁ…、こんなにも気持ちが良いのですね…。凄いです…。とても甘美な気持ちです。」

「うん。これが“愛し合う”って事なんだよ。その結果、繋がるって事になるんだ。

これで分かったかい?決して“お情け”とかではなく、お互いに“愛し合う”事が如何に大切なのかという事が。」

「はい。良く分かりました。」

「じゃぁ、ベリル、スピネル、今お腹に感じる熱い気持ちを一つに集中してみて。」

「はい(はい)。」


 彼女たちはすぐにマナを集めることができた。


「じゃぁ、その次に集中したマナを身体の中で動かすんだ。」

「どうやって…?」

「今、俺がキスをした場所を感じてくれると一番分かりやすいかな。」

「あ、そういうイメージですね…。

 あ、動いていくのが分かります。」

「そう。そのイメージを忘れちゃだめだよ。

 そのマナを手に持ってきて、武具に注入する事がマナを籠めるって事なんだ。」


 彼女たちは、マナを移動することができた。

明日には武具にマナを注ぎ込む事もできるだろう。


 俺は、今日の講義をここまでにして、彼女たちを部屋に帰らせた。

彼女たちは少し不満げな顔をするが、今日のイメージを忘れない事が肝要だからと言って、半強制的に納得させた。

うん! できたよ。

俺は大人なんだ! 我慢も必要だよ。


 そうこうしていると、ドアをノックする音が聞こえる。ナズナだ。


「お館様、二人へのマナ講義、ありがとうございました。」

「うん。何とかなりそうかな?」

「はい。彼女たちも初めてですので、やはり恥ずかしいのでしょうね。」

「でも、彼女たちも大人なのかな?もう準備ができていたようだけどね。ははは。」

「でも、お館様、それで良かったのですか?」

「流石に初めてのヒトが二人、それも姉妹はいけないと思ってね。」

「はぁ…、お館様は本当に女性にお優しいのですね…。

 では、今宵は私がお館様の“お情け”をいただきますね。」


 ナズナはベッドに座っている俺を押し倒し、キスの嵐から始める。

キスも優しく、そして全身に行き、ナズナの可愛い口で俺のマイ・ジュニアを包んでくれる。


「お館様、我慢は身体に毒ですよ。」

「すみません…。善処します…。」

「ふふふ。やはりお館様ですね。」


 彼女は俺の上に乗り、お尻を俺の方に向ける。

お互いがお互いの大切な部分にキスをする…。


「お館様…、とても甘美です…。」



 今日も朝チュンでした…。

でも真っ白じゃないです。

心地よい身体の疲れです…。

50を越えたおっさんが毎日よく頑張れるな…と思うが身体は正直です…。


 今日は2回目の出張の最終日だ…。

ゆっくりしようと思ったが、ベリルとスピネルの武具を探しに行くことにした。


 先ずはマルゴーさんの店に寄る。


「ダーリン、おはようです。」

「おはよう、アイナさん。いつも通りだね。」

「なんか、日に日に女性が多くなっていくのですが、いつ、私を娶ってもらえるんですか?」

「ははは。またそんな冗談を言って。

きっと、アイナさんにも相応しいヒトが現れるからね。」

「もう、半分本気なのに…。

 で、父ちゃんだね。ちょっと待っててね。」


こういった掛け合いが温かい。


「おう、ニノマエさん。防具の件か?あれはもうしばらくかかるって言ったじゃねぇか。

 まったくせっかちなお人だな。」

「いや、頼んだ防具じゃなく、この二人の武具だけどね、マナを通りやすい武具にしてほしいんだ。」

「ん?この2人って…、竜人族かい?」

「そうだけど、良く分かるね。」

「おうよ。だてに齢食ってるわけじゃねえからな。

 で、今の武具はバトル・アックスとコンポジット・ボウか…。

 うちで扱っているものの中で一番なのは…と、ちと待っとけよ。」

「あ、出来れば戦斧よりも、もう少しリーチの長いものが良いですね。あと、弓ではなくどちらかと言えば僧侶や魔導士が持つようなものがいいですね。」

「おう、分かった。少し待っといてくれ。アイナ、ニノマエさんたちにお茶をお出しして。」

「はーい。」


 マルゴーさんが帰って来るまでの間、俺は店に飾られている武具をじっくり見ることとする。

こんなに多くの武具があったんだ。

しかし、マルゴーさんは完全に武器ヲタだな。多種多様な武器がある。


 マルゴーさんは、いろんな武器を作っている。

西洋の剣もあれば東洋の剣、海賊が使うような武器もある…。

いろんな武器が壁にかけてあったり、樽に入っていたり…。

と、壁の一番上ににかけてある長い得物に目が留まった。


「アイナさん、あの壁の一番上に飾ってある得物は何だい?」

「え、あー。あれですね。あれは、とある冒険者が頼んだものなのですが、頼んだだけで引き取りに来なかったモノですよ。」

「もしかして、数百年前のことか?」

「えぇと、私が生まれる前って言っていたので、それくらいになるんじゃないですかね。」


 うぉ、アイナさん百年は齢食っているって事か…。

いや、驚くところはそこじゃなく、依頼したのは確実に“迷い人”だよ…。

その剣は、これまでの世界の日本刀を長くしたもの、所謂“大太刀”だった。


「すまんけど、その大太刀を見せてもらっても良いかい。」

「全然かまいませんよ。

よいしょっと、はい。」


 俺は鑑定してみる。

 大太刀:オリハルコン、経年劣化防止、切れ味+3、自動修復


 はい。当たりだと思います。わざわざ経年劣化まで付いているんですよ…。

“迷い人”さんは日本人、武器ヲタで、ファンタジー大好き。だんだんと人物像が見えてきた。

しかし長い。これ抜き身だけでも3尺はあるな。抜刃はどうするんだろう…。


「よくこんなモノ作れましたね…。」

「うちの父ちゃんも、『若毛が痛い』時に作ったって言ってましたよ。」

「あ、それ『若気の至り』ね…。」

「そうなの?」

「そうです。」

「これと対になるような短い太刀もある?」

「試作で作ったものが…、多分、その樽に入っていると思いますよ。」


 だよな…。こんな日本刀、こっちの世界では誰も見向きもしないと思う。

ガサゴソと一つ目の樽を見て、次の樽を見る。そして3つ目の樽の中にありましたよ。


 太刀:オリハルコン、経年劣化防止、切れ味+1、自動修復


 しかし…、マルゴーさん…。オリハルコンを樽の中に無造作に入れるってどうよ?

取られたら大損じゃないのかね…。


「おう。待たせたなニノマエさん。そこの嬢ちゃんに相応しいものだが…、」

「マルゴーさん、これとこれ、譲ってください。」

「あ?そりゃ、俺が昔に作ったもんじゃねえか。

 よく、そんなの見つけたな。

 そいつは、昔依頼があったんだが、取りに来なくてよ、でも型がおもしれーから残しておいたんだ。」


 はい。これでベリルの武器が決まった。

というか、俺の好みで強制的にこれにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る