6-10 お風呂タイム

 次にエルフの郷での調合師については、なかなか難航しているが、相応しいヒトを送ることについては了解を得た。

 後日、レルネさんが戻ってくるのと一緒にこちらに来るようだ。


「まぁ、どんな人が来るかだね。」

「そうですね。でも、熱心なヒトが多いですよ。」

「熱心なだけにそれに没頭するヒトが多くなると困るんだよね。」

「髪飾りの時のように…ですか?」

「そうだ。メリハリができるヒトだと良いって事だよ。

 仕事する時はする、しない時はしないってね。」

「それですと、カズ様は残念なヒトになってしまいますよ。」

「え?」

「だって、いつもいろんな事をお考えですから。」

「そりゃそうだな。俺も残念なヒトなんだ。」

「ふふふ。では、残念な三人で屋上に行き、お風呂を堪能しませんか。」

「そりゃ良いね。じゃぁ、みんなで行こう!」

「はい(はい)!」


 屋上に来た。

 階段を上がったところにリビングのような場所がある。ここで風呂上りにゆっくりする。

脱衣場を過ぎ、一つめのスライドドアを開けると室内用のお風呂だ。


「うわぁ、凄いです!」


 初めて家のお風呂を見たナズナが声を上げた。


「ふふふ、ナズナさん。驚くのはまだ早いですよ。」


 俺は室内風呂の左にあるスライドドアを開ける。


 「うわ(うわぁ)…」


 これが俺自慢の屋上風呂だ!

周りを竹のような植物で多い、その向こう側にも低木を植えてある。

街の真ん中に発生した極上の空間だよ。


「ディートリヒ、ナズナ、驚くのはまだ早いんだよね。左を見てごらん。」


 2人が左を向くと、そこにはログハウス風の小さな小屋がある。


「お館様、これは何でしょうか。」

「これはね、“サウナ”というものだ。」

「サウナ、ですか?」

「そう。今日使ってみよう。であれば、屋外風呂を使おうか。」

「はい(はい)。」


 お湯が入るまでの間、彼女たちをリビングで待たせる。

普段は魔道具で入れるけど、時間がかかるから、俺の魔法でお湯をはる。

そして、サウナの魔道具をセットした。


「お待たせ。じゃ、入ろうか。」


 3人で裸になって露天風呂に行く。

身体を洗ってあげる。髪も洗い、タオルでくるんであげる。

2人とも、トロトロの顔だ。


「二人とも気持ちいいか?」

「はい。とても気持ちが良いです。」

「天にも昇る気持ちとはこういう気持ちなんでしょうか?」


 うん。分からない。高所恐怖症だから上に上がると怖いから…。


「お館様、では私が遊郭で教えてもらったものをいたします。」

「ナズナさん、それを私にも教えていただけませんか。」

「では、二人でいたしましょう。」


 ん?何をするんだ?

二人が自分の身体に泡を付け、俺に抱きつき身体をゆっくりと擦り始める。


 うぉ、これは某ソー〇ランドで使われている泡踊りというやつか!それとも違うのか?

完全に頭が真っ白になった。

彼女たちの身体は柔らかく、そして心地いい。その身体がゆっくりと俺と絡み合うんだ…。


「これは反則だな…。」

「お館様、ホント反則ですね。私もとても甘美な気持ちになってきました。」

「はぁ…、カズ様、こんな気持ちの良いものなんですね。

泡にまみれて絡み合うって、凄く官能的です。」


 お風呂入る前にへとへとになってしまった。

 程よい脱力感を味わいながら、露天風呂に入る。

夜風が気持ちいい。


「やはり、風呂は正義だな。」

「はい。正義です。そして官能的です。」

「毎日入りましょう。」


 すみません…。体力が持ちそうにもありません…。


「あ、そうだ。その小さな部屋に入ってごらん。」

「え。分かりました。」

「入るときは、そこにあるバスタオルを巻いて入ると良いよ。」

「分かりました。」


 ふふふ、何分持つかな?

2分、3分…、ヤバい。これ以上は…。


「おい!二人とも、大丈夫か?」

「はい。」

「暑くて汗が凄いです。」


 あれ?全然元気だぞ?

あ、魔道具の温度を上げるの忘れてた。


「ごめん。もっと熱くなる予定だったんだけど。」

「これ以上熱くするんですか?」

「あぁ、ちょっと待ってな。一度出て湯船に浸かって。」


 俺は温度を上げる。

ブーンという音ともに、だんだんと熱くなってきた。

石に水をかけるとジュ―という音とともに水蒸気が出る。

よし、いい塩梅だ。


「できたよ。んじゃ入って。でも、この砂が全部落ちたら出てくるんだよ。」

「はい(はい)。」


 俺は砂時計をひっくり返し、彼女たちを入れる。

そして出てきた時の準備をする。


 水を桶に用意した後、魔道具から床にお湯を流し続ける。


「ぷわーーー熱いですーー」


二人とも真っ赤な身体でサウナを出てきた。


「んじゃ、この水をかけて。」

「へ? 水をかけるんですか?」

「あぁ。とてもスッキリして気持ちいいから。」

「では…。えい!」


 二人とも身体に水をかける。


「キャー、冷たいー、でも気持ちいいー!」

「だろ。熱い身体に冷水をかけると、気持ちが良くなるんだよ。」


 二人を浴槽に入れ、少し経ったら床に寝ころばせる。

俺も寝ころんで、お湯が頭の方から流れてくる感覚を楽しむ。


「カズ様、床がポカポカしてて気持ちいいです。」

「お館様、これは何というものでしょうか。」

「これは、なんちゃって岩盤浴と流し湯の合わせ技だ。

 ほんとは岩盤浴は床だけを温かくするんだけど、生憎できなかったから、流し湯というもので床をあっためて、寝転がると気持ち良くなるんだよね。」

「はい。ポカポカしますね。」

「でも、これ続けてると寝ちゃうから。裸で寝ると風邪ひくからね。」

「カズ様、お風呂とはこんなに素晴らしいものなんですね。」

「おう!お風呂は正義だぞ。

 風呂を悪く言う奴はダメだ。それくらい気持ちのいいもんだよ。

 それが分からない奴は、俺は嫌いだな。」

「そうですね。クシュン。」

「あ、少し寒くなってきたか。じゃぁ、上がろうか。」

「はい。では、この後も温めてください。」


 はい。その後は俺の部屋でいろいろとしましたよ。

久しぶりの3人です。ナズナも2日ぶりなので、いろんな意味で積極的です。

ディートリヒさんは、ナズナの気持ちを察しているようで、ナズナに満足させようとしている。

うん。3人で愛し合うって甘美だ。


「お館様、ありがとうございました…。とても甘美です。」

「ありがとうは無しね。愛し合っている事が感謝されることではないからね。

 俺はナズナを愛してる、ディートリヒも愛してる。

 愛していることがありがとうじゃないよね。」

「ふふふ。そうですね。では、私はこれからお館様をもう一度愛しますね。えい!」


 ありゃ、2ラウンド目ですか…。

なかなか元気になりませんから、その間、俺もナズナを愛しましょう。

でも、何か忘れているような気がする…。

何だろう…。そんな事を想っていると気が散るから、ナズナやディートリヒリにも分かる。


「お館様、何か違う事をお考えですね。」

「カズ様、今は私たちだけを考えて欲しいです。」


 うん。もうこの2人にはお任せだよ。

俺もトロトロになっていく。


 3人で愛し合った後、部屋に帰るのはイヤだという事で、ここで寝ることにする。

トロトロになっていく身体ってこんなにも気持ちがいいんだな…。

これが甘美というものか…。


 気持ちがいい?

あ、思い出した!


「ディートリヒ、ナズナ、フラフラなところ申し訳ないが、ジャグジーするの忘れてた!」

「ふわ…。お館様、ジャグジーってお風呂ですかぁ…。」


 ナズナさんダウン状態だ。


「ディートリヒ、君はどうする?」

「カズ様、このまま連れて行ってください…。」


 ディートリヒさんもダウンか…。

 仕方がない。まだお湯は張ってあるので、一人ずつお姫様だっこをして、お風呂に連れていく。

おう!俺、踏ん張った!

そう言えば最近、腰の痛みもないんだよな…。


 3人でお風呂に入り、ジャグジーを付ける。

重低音が浴槽の下から響き、下と横から細かい気泡が出てくる。


「ふわぁ~。何ですか、この気持ちよさは。」

「カズ様、これはとろけますね。」

「うん。それと愛し合った後、お風呂に入るって気持ちいいな。」


「カズ様、では、終わった後の余韻はお風呂の中でしましょうね。」

「そうですね。お館様。」


 うぉ…、第3ラウンドは流石に無理ですよ…。

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