5-7 大人買いっ!
2日と半日で目標数を確保しました…。
辛かった…、途中で魔法を使い過ぎて、アナウンスされたことが2回ほど…。
結果、重量制限をなくしたアイテムボックスのバッグ2つが満杯、さらに3つの制限付きバッグもいっぱいとなった。
3日目の夜、3人で風呂に入りながら今後の話をする。
家の完成はまだ10日以上かかるだろうし、風呂の工事もかかるだろう。
これから10日間どうするか、このダンジョンの下層部を攻略するか、それとも何もせずゆっくりするか。
俺としては働きすぎた感があるので、ここらで長期休暇もいいな、なんて思っている。
それに、ディートリヒの防具とナズナの武具一式を換える必要もある。
「なぁ、ディートリヒ、ナズナ。
予定日数よりも早く採取できたよ。ありがとな。
それで、次に何をするのかを決めたいんだけど、2つある。
一つは、このままダンジョンの奥の階層に進む事。もう一つはシェルフールの周りを旅行すること。
まぁ、この2つの目的はディートリヒとナズナの武具を新しくするための素材を集めたいんだけど、素材を集めるって事になれば、まだまだ奥に潜る必要があるんだけどね。」
「カズ様、よろしいでしょうか。
私の武具よりも先にナズナの武具をお願いします。
彼女の武具は鋼ですので、そろそろこれより下の階層となれば一撃では難しくなります。」
「そうだな。この階層くらいであれば問題はないと思うが…、そうすると奥に素材を採りに行くには装備が貧弱すぎる。であれば武具を購入するって事になるな。
マルゴーさんの店にあればいいんだけど、無い場合は考えないといけないな…。」
「お館様、私の武具はまだこのままで良いのではないでしょうか…。」
「いや、そんな事はないぞ。現にゴーレム相手であれば一撃でいけるかもしれないが、逆にもっと強い魔物…、うーん、何かいたっけ?」
「ヒュドラやバジリスクといった毒を持っているものや、ワイバーンといった飛竜種もいます。」
「そうそう。そういう魔物も戦わなくてはいけない状況にすぐになる可能性もあるから、早めに換えておくのが良いと思う。
んじゃ、先ずは街に戻ってマルゴーさんの店に行って相談しようか。」
「はい(分かりました)。」
今晩が今回のダンジョン採掘の最終日という事で、3人でお風呂を楽しむ。
その後、夕食を摂り、たくさん運動して寝る。
翌朝、起きれませんでした…。
そろそろ体力の限界でしょうか…。おっさんとしては毎日はキツイです。
15階層のボスは今回はキャンタマを出さず、俺をホッとさせた。
その変わりにオーク・ロードの盾とか大剣とかが出るが、所詮無用の長物だ。
15階層から転移で入り口に戻りダンジョンを後にした。
街へ帰る道中も何事もなくスムーズな帰宅となる。
3人でいろんな事を話しながら森を歩いていく。
馬車を購入して移動を楽にした方が良いと提案するも、2人もこうやって歩きながら話すことが楽しいらしく、このひと時を満喫したいとの事で、馬車は却下となった。
俺としては、歩かなくて良くなるから楽になるんだけど…と言ったら、二人とも御者ができないらしい。
うーん。ダンジョンまでの往復をお願いできるタクシーのようなものはないのかね。
バスのような多な馬車で移動すれば結構多人数を移動できるから金になるのでは、と考えてしまう。
そんな考えをよそに魔物は遠巻きに俺たちを見ているだけであり、こちらに近づいては来ないので、そのまま放置して歩き続けること4時間、お昼頃に街に到着した。
俺たちはそのままマルゴーさんの店に行き、鋼材となる素材を納入した。
マルゴーさん、素材の多さに口を開けたまま何もしゃべれない…。
「ニノマエさんよ、あんたって…。」
「自分ではなく、彼女たちが優秀なんですよ。」
俺はそう言ってお茶を濁しながら、ナズナ用の武具の新調を依頼する。
「すまん。ニノマエさん、この鋼材が終わらねえと次の仕事にいけねえんだ。
今あるものであれば、それを見繕って持ってくることはできるが、お嬢さんクラスになると、在庫の中にお嬢さんにピッタリの武具は無いな…。すまん。」
何か良い手は無いか…。
俺が知っている店は、後はカルムさんの奴隷店かレルネさんの魔道具屋…。
あ、レルネさんの所には無いか?
「ちょっとレルネさんの店に行こうか。確かあそこにも良いモノがあった気がする。」
「はい(はい)。」
俺たちは食事処で昼食を食い、レルネさんの店に行った。
「こんちわ~邪魔するで~」
「邪魔するだけなら帰ってんか~」
「ほな、さいなら、ってちゃうわ。」
ルカさんといつもの掛け合いをしてレルネさんを呼んでもらった。
「おう、イチよ。久しいの。ソース以来じゃの。」
「ははは。便りが無いのは元気な証拠って事ですよ。」
「そんなものじゃの。して、今日はどうしたのじゃ。」
「ええ、ここにいる狐族のナズナのマナを測って欲しいんですができますか?」
「すまんの。ヒト族以外のマナは測れんのじゃ。」
「そうですか…。では、彼女にふさわしい武器とかってあります?」
「狐族ということは隠者関係の職か?」
「ええ、斥候をやってもらっています。」
「そうか、それじゃ少し待っとれ。」
いつものように奥から台帳を持ってきて、いろいろと調べてくれる。
「お、これなんかどうじゃ。“キャン・デケイン”じゃ。」
あの…、そのステッキ前にも出しましたよね…。それにナズナは魔女っ娘ではありません…。
「レルネ様…、遊んでますね。」
「うぬ、冗談じゃ。なかなか良いものじゃと思うんじゃが…。さらに色違いもあるぞ。」
もう一本あったんかい!それも赤白青のトリコロール。
まんま理容室前で回っているあれじゃねえか。
「良いモノかもしれませんが、魔法撃ちではないですから。」
「そうじゃった。斥候だったの。」
店も暇なんだろうな…。この店、よく潰れないよな…。
「ふむ。ほかになにかあったかの…。
珍しい形のものがあったような…、無かったような…、おぉこれじゃ。」
レルネさんは奥に行き、一つの武器を持ってきた。
「これはの、“ショウテル”という武器じゃ。」
刃の部分がS字にカーブしている両刃の剣だ。
長さは、45㎝くらいか。
俺は手に取って鑑定してい見る。
ショーテル:オリハルコン、切れ味+2、軽量化、耐久性向上、自動修復 と出た。
結構良い品だ。それにオリハルコン。確か『海のトリ〇ン』で主人公が持っていた短剣と同じ名前だ。
「レルネ様、これは凄い品ですね。」
「そうじゃろ。でな、これにマナを流すとな…、」
レルネさんがマナを剣に流すと刀身が黒ずんだ。
「なんだ?これは?」
「うむ、この剣にの、マナを入れると黒ずみ耐久力が増すんじゃ。」
ビジュアルに訴えてくるのか!ブラック何とかとか銘名されるんだろう…、まさに厨二病的発想。
まぁ、厨二病はこの世界には無いので、これは“買い”だろうな。
「レルネ様、これいくらしますか?」
「ふむ、金貨4枚じゃの。」
「金貨四枚!(4枚~)」
あ、ディーさんとナズナ、ハモってるわ。
でも、それくらいするんじゃないの?
「レルネ様、それ候補にお願いします。あと、彼女はどちらかと言うと“刺突”も特異なんですよ。」
「ふむ。それなら…、これかこれじゃの。」
レルネさんは2つの武器を持ってきて俺に見せる。鑑定してみると、
スティレット:ミスリル、刺突+2、耐久性向上、魔力付与
ソードブレーカー:オリハルコン、刺突+1、軽量化、硬質化、耐久性向上
ふむふむ。どちらも凄い。あとはナズナが使いやすいものを選ぶか。
「じゃぁナズナ、この3本でどれが一番使いやすいか、実際に持ってみて。」
「は、はい…。」
ナズナはそれぞれの剣を持ち、振ってみる。
右手に持ち構えて振る。その後左手で持ち構えて振っている。
ん?何か違和感を感じる…。
「ナズナ、何故右と左で振っているんだ。」
「はい。私は右でも左でも触れるように鍛錬しておりますので。」
「それだ!」
俺はいきなり大きな声を上げ、皆にびっくりされた。
「別に1本じゃなくてもいいんだよな。2本持って戦うこともできるんだよな?」
「は、はい。それも鍛錬しましたので。」
「レルネ様、じゃ、オリハルコン製の2本でいくらになりますか?」
「ほう、イチよ、そう来よったか。斥候を両刀とするか。面白いの。
では2本で金貨7枚じゃな。」
「7枚ぃ~!」
ディーさんは目を見開き、ナズナにあっては遠い国に行っている。
でも、普通これくらいするんじゃないの?
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