第3話 吹き飛んだ四十歳の不惑

ピッー! けたたましい審判のホイッスルが体育館に響いた。

「三十九番! ファール! プッシング!」

「あっ!お父さん!」

「バカ!健太! スコアラー席に向かって手を挙げろ!」

今日は岐阜県可児市立小学校スポーツ少年団、年に一度の小学校対抗公式試合。

三八歳の加藤千幸は毎週日曜日、住んでいる桜が丘団地の高学年小学生にバスケットボールのコーチをしている。

千幸の息子、小学4年生の加藤健太は、桜が丘Bチームでポジションはトップガード。

4年生から入団でき、Aチームつまり1軍は6年生と、優れた4~5年生から選ばれた者から構成されている。

コーチはボランティアだが、子供相手にガキ大将の如く叫び走り回っているのは気持が良い。

また、社会的地位は全く関係がない同じ団地に住む父親で、純粋にスポーツ好き、子供好きなコーチ仲間とワイワイと一緒に気持ちの良い汗をかく。

これで仕事ストレスをブラッシュアップでき、活力アップできる。

そして翌日からの週始めの気合を仕切り直せる。

今日のような公式試合時には各学区のコーチたちが全試合の審判をすることと成っている。小学生相手といえども、コートサイズは二八m×十五m。百点ゴールゲームなどされた場合は、二十八mを五十往復、単純計算で一試合一四〇〇mは全力疾走していることになる。

これを十試合程度、軽く十四㎞をホイッスル口に走り回るおかげで、体重は落ち、夕食が美味く食べられ、エクスタシーの疲れを味わえる。


 桜が丘の自宅は百坪の敷地に建つ築二〇年の戸建て。2階建て4LDKで15畳のリビングは、洒落た山小屋風の吹き抜けスタイルの借家。

会社の借り上げ社宅であるため、二万円/月の廉価で住んでいる。

名古屋へJRで五十分の通勤圏の戸建て数千件の団地だ。小・中学校、スーパーマーケットも医療・歯科クリニックも有り、団地内で教育、医療、買い物など日常生活には困らない。

 住宅内道路からは、団地内のバス道路には三叉路で交わるように造られており、信号は全くない。各住宅の道路との境はブロック塀などなく、石垣に低木樹の植え込みのみと景観設計にも配慮されており、住み心地は申し分ない。

千幸の妻、富美子と息子の健太との3人暮らしでは、全部屋は使いきれない余裕の間取り。五〇坪位の家屋は南側に全室向いており、日当たり充分なのだが、ここ東濃地方の冬は寒く、吹き抜けの居間では暖房が効きにくいのが難である。


暮し面での余裕なのか、ここ桜が丘の街ではペットと暮らす家庭が多い。

また、外ネコ、街ネコが多い。

我が家の庭でも、様々のネコ一家が季節のたびに住み変わっている。


 吹き抜けのリビングの掃き出し窓に氷が張る寒さも緩んで、三寒四温の季節替わりの五月のこと。

あまたの外家族ネコたちにキャットフードをあげているうちに、一匹のキジトラネコがニャアニャアと催促していると思っていたら、ピョンと部屋の中に入って来てしまった。撫でてもオナカを見せてゴロゴロと喉を鳴らし、しばらくすると無警戒で真剣に熟睡してしまっている。

近所の飼いネコかと思っていたが、コタツの中で寝泊まりするようになった。どうもオナカに子供を宿している様だ。

「この家で子供を産ませてちょうだい」

このネコが家に図々しく寝泊まりする魂胆が判ってきた。

ネコを飼うつもりではなかったので、可哀想だが我が家での寝泊まりは禁止として夜には庭に出て行ってもらった。

「ニャアニャア、ニャアニャア」

トラちゃん(適当に名前をつけていた)は部屋に入りたがる夜が続き、富美子も健太も心が締め付けられる日々が過ぎた。

街樹の桜もそろそろ葉桜が目立ち、入れ替わるように花水木の花が咲き始めて来た、五月。

数週間後の冷たい雨の日、トラちゃんの声に混じって子猫の合唱が庭の松の木の下から聞こえるではないか。

「近所に体裁悪いから、あんたチョット見て来てヨ!」

千幸は富美子に促されて、そっと松の木の根元を覗いてみた。

雨でビチャビチャなトラちゃんが、四匹の赤ちゃんトラネコに雨がかからない格好で母乳をあげているではないか。

早速、5匹を抱き家の中に連れて来た。

トラちゃんは瞬きをパチパチと千幸の顔を見て、

「ありがとう」と嬉しそう。

身重の彼女を家から閉め出した非情な人間は、この加藤千幸なのに。

「ネコは嬉しいこと、楽しいことしか覚えていない。恨んだりすることはないようだ」

そう思うと、また心が痛む想いがした。

子供は4匹ともトラ模様だ。茶トラ2匹とキジトラと黒トラ。

トラちゃんはキジトラだから、父親はきっとあの茶トラネコだろうと心当たりは有った。

庭で居座っていた警戒心の強い三毛ネコの、最初の彼氏の子供に茶トラ(勝手にチャトラと呼んでいた)が居たから、アイツが父親だろうと。

ミケ(庭に定住している三毛ネコを勝手にそう呼んでいた)はモテキでチャトラを産んだのち、別の二人の男の子供を産んでいて、一時期は庭中じゅうミケ一族でネコだらけに成った。

子供たちは各々、町内の外ネコとしてたくましくも自由に人生?を築いていったようだ。

ミケの父親違いのネコがあまた居る庭では、トラちゃん一人で4人の赤ちゃんを護り育むのは無理なのは明白だ。

この思いには、トラちゃんとひととき一緒に暮らした、富美子も健太も異論なかった。

トラちゃんの子は「プチ」「コトラ」「クロ」「チャチビ」と、これまた適当に名前を付けられて、加藤家の家族と成った。

3か月ほど子育てがてらウチのネコの暮らしを堪能したトラちゃんは、次の恋の季節らしく「この子たちをお願いします」

若いトラちゃんもモテキを謳歌しているのか、新しい男と旅立って行ってしまった。


ウチのネコとしてこの家で、この庭で育っていく「プチ」「コトラ」「クロ」「チャチビ」。

トラネコ4匹は家中を縦に横に走り回っている。一つの玉に成って取っ組み合い遊んでいる。

四本足でトランポリンみたいにジャンプしているかと思ったら、突然スイッチが入ってパカラッパカラッと馬のように走り回っている。

暴れ回ったらキャットフードを食べて、貯金箱のように4匹並んでいる。

手先をペロペロと十回以上舐めまわしたと思ったら、チョイと顔を撫でている。

トラちゃんに顔の洗い方を教えてもらったのだろう。


この先、壮絶な運命、いや宿命というか天命が待ち受けているとは知る余地もない。

富美子と健太と加藤千幸と共に、稀有で不穏な物語を歩むことと成る。


              ◆  


時代は「二四時間闘えますか!」のバブル経済絶頂期。

千幸も企業戦士、今朝は空が白けるまで自宅の居間で仕事をこなし、三時間ほど熟睡。

こんな家での毎晩デスクワークの日々では、ストレスばかりか腹回りの皮下脂肪も増え、メタボ体型一筋と成る。だから、寝不足であろうと朝食前の団地周りのジョギングとバスケットボールコーチは、フィジカル面で必要であり、また楽しみでもある。

会社では会議やら来客やらで、本業務の新商品開発の企画や構想が練れず、自宅にアタッシュケース満杯の書類を持ち込み、毎日このような仕事に埋没の日々。

コンプライアンス云々が厳しい今なら、会社の書類やノートパソコンを自宅に持ち込むのは、機密保持上タブーなのだろう。

富美子と健太は夕食後に風呂に入り、だいたい夜十時頃には二階の寝室に上がっていく。

コトラは富美子の布団の中で寝るのが大好きらしく、寝る時間に成ると真っ先に階段をダッシュで駆け上がっていく。

妻子が寝たら、居間のコタツテーブルは千幸の自宅残業机と成る。

仕事に取り掛かると、必ず茶トラネコのプチが千幸の横に座り、顔を見るだけで「ゴロゴロ」と喜び目を細めている。頭やアゴの下を撫でようものなら、コロンと仰向けに成り白い喉から腹まで撫でろ、撫でろと催促して来る。

プチと遊んで居ると30分ほどが即刻過ぎてしまい、仕事に成らないので足でコロコロとプチを転がして相手してやりながら仕事に取り組んでいる。

2時間弱でプチは千幸の脚を枕にして寝てしまう。

コトラは富美子を、プチは千幸を、暴れん坊のクロは健太が好きなようである。

イタズラ盛りのトラネコ四兄弟のうちチャチビは、綺麗な茶トラ柄で目鼻パッチリの男前であったためか、ネコ大歓迎の桜が丘の住民のよその家ネコになっていた。


昨年、千幸は東京に単身赴任していた。

今以上に寸暇を惜しんで仕事と通勤ラッシュの企業戦士であった。

桜が丘の自宅に戻れれば、家族とネコたちとの時間も持ち、心穏やかな夕食や休日を過ごせる、と夢見した東京生活であった。

しかし時代はバブル超好景気、日経平均株価は四万円近くまで高騰。

こんな時代に企業は攻めの一手で、新規事業、事業拡大、新規商品開発など事業計画には右肩上がりのグラフ満載で、消極的な護りのニュアンスは禁句である。

春の移動で、孤独と激務の単身赴任は終わったが、昇進して戻って来た千幸を待っていたのは、激務の頭に「超」が付いていた。

週の半分近くは出張、出張中に累積された業務に加え予算と労務管理などなど。

バブル景気は終焉を迎える様相がメディアでも叫びはじめ、右肩上がり業績は方向転換を強いられてきた。開発業務も、それに対処すべき更なる競合他社との差別化、イノベーションを求められ、従来通りの開発業務では許されなくなっていた。

家庭団らんなどの淡い期待もバブルの如くはじけ、帰宅後も毎晩の自宅深夜残業。

単身赴任時よりも物理的仕事量もメンタル負荷、ストレスは倍増した日々が待ち受けていた。

しかし千幸は、激務超多忙で心身アップアップの様相は他人に見せたくない虚勢主義派であり、身だしなみは崩さず、午後七時には

「お先に失礼~♪」

と帰宅するスマートスタイルに努めた。

自宅残業でヒイヒイと満身創痍の姿は社内では見せたくない。

しかし実際は目の充血やら、持病の喘息持ちの咳込みでバレバレであったのだろう。


桜が丘の子供たちのバスケットボールコーチは、喘息予防と気持ちの百八十度切り替えによるリフレッシュを兼ね、学生時の経験を活かし小学生相手のバスケットボールコーチで毎週日曜日は思いっきり良き汗をかきストレスをリセット。

また、息子の健太には走投跳の基本的運動能力を人並み以上に付けたい思いが強かった。

また、「負けて悔しい!」という競争魂を心身に染み込ませたいのが、千幸の親心でもあり、心底の願いである。

クヤシイ想いをするたびに自身を鍛え、更に強くなる。

父親たる千幸は「健太のスーパーサイア人計画」と称して自分の信念の一つとしていた。


                ◆

                          

1996年夏。みごとにバブルははじけ、「ハゲタカ・ファンド」や銀行の「貸しはがし」などの文言がメディアでは飛び交っている。地価、企業株式時価総額を担保にして融資を受けていた会社は、資金のやり繰りに奔走の日本経済状況。

加藤千幸が勤める住設機器メーカーも、建築需要の激減にて売り上げは逆Ⅴ字状態。

好景気時は、問屋や販売代理店をインセンティブにて囲い込み、施工業者に製品を流通すれば、利益は確保できていた。

しかし、トイレやキッチンの水回り機器、外壁や内装タイル商品指定の決定者は、市場流通業者ではない。

オフィスビルや商業施設などは建築設計者または建築発注オーナー。戸建て住宅なら施主、つまり個人発注者である。

そして仕様の決定者は、家庭の主人ではなく最も長い時間家に居て、使い勝手や暮し易さニーズを握っている主婦である。

夫婦でショールームに来訪して、商品タイプやカラーコーディネート、使い勝手の質問はほとんど主婦であり、決定権も主婦にある。

男たる主人は、予算を気にするだけで口出しはしないのが実態ある。

「決めるのは妻子であり、男は金を出し口出しするな」

商品を訴求すべきターゲットは、市場中間流通業者ではなく、商品を決定する建築設計者とオーナーや主婦層である。

したがって、各業界も中間業者を極力簡素化し、納期短縮と利益確保に努めた。

メーカーと消費者・顧客の近接化によるマーケットの直接把握と生活提案商品など、いわゆる流通革命の走りが始まった。

千幸の勤める会社の戦略も、顧客マーケットの「選択と集中」方針を余儀なくされていった。

千幸は外装・内装タイルを主とした、建築設計者が仕様を施主に提案する商品の開発部門に所属していた。

仕事内容も単に他社との差別化や利益改善できる新商品を開発から、購入決定者への訴求方法開発にシフトが主と成った。

CG(コンピューター・グラフィック)を駆使して設計図面に製品を落とし込んで、建築完成時に周囲の街並みに照らし、どのような建築物と成るか。朝から夕の太陽の当たり方にて、舗道から見上げたイメージ、離れた場所からのイメージや周囲との調和感など、タイル製品仕様をバーチャル体験できるプレゼンテーションツールの開発。

また、設計しているビル内空間でのエントランス舗道建材商品、床タイル商品と壁面建材とのデザインコーディネートのCG提案。


戸建て住宅向けの商品は消費者から受注した工務店・ハウスメーカーが、建築の際に専門施工職人を必要としない建材商品の開発。

たとえば、タイル職人でなくとも外装タイルを施工でき、人件費コストダウンできるタイルシステム商品を工務店に提案する新規商品の開発。

このような業務発想の変革に各業界とも迫られ、変革が出来ない企業は他社に合併吸収または倒産の負け組となる。負け組の子会社や製品納入業者などは、資金繰り出来なく連鎖倒産がオイルショック時代より多くなっていた。

この様な悲惨なサバイバル経済状況を目の当たりにして、千幸はひとつの会社の自分への考えに気づいた。

「三年前の突然の東京への単身赴任辞令は、バブル景気の終焉への事業部方針として開発部門の技術者である私を、東京しかも全く畑違いの営業本部に送り込んだのだ。そして、二年も経たず開発部門に戻したのだ」

顧客、建築設計者や消費者に近い営業戦略を担う営業本部で少々マーケット戦略をかじった千幸は、バブル崩壊時の流通革命に伴う商品開発+業務開発が任務と成った。

業務開発とは、新たに建築設計者や住宅会社の商品開発者、工務店が住宅発注施主など顧客キーマンに、営業マンが単なる販売でなく提案、商品技術プレゼンテーションができる「場」の構築が彼へのミッションでもあったのだ。

これが、「単身赴任から戻れば、家族と夕食も休日も・・・」という淡い期待は木端微塵に吹き飛んだ事由であった。


               ◆


 1996年8月15日。今日は、一昨年前の秋に亡くなった千幸の母親の三回忌を、豊田市の兄貴の家で行うことと成っていた。

しかし、40歳に成っても何が最も重要かが分らぬ千幸は、盆休み間中は母親の三回忌をないがしろにして、妻の実家である三重県との境にある愛知県弥富市に家族とプチとコトラ連れて遊びに行くこととした。

弥富に出かける際、何故かクロは一人で外に遊びに行って帰っていなかった。

プチとコトラはキャリーバッグに素直に入り、車に乗り込んでもらったが、エンジンをかけるなり、思いがけぬことが起こった。

オットリ性格でいつもはお利口なプチが、車の中で大暴れ始めて、ネコが本気で威嚇するとき発する「ケモノ臭」を発し「止まれー!」「行ってはダメだー!」と言わんばかりの叫びだ。初めて見るプチの断末魔のような異常な泣き叫び。

後に思えば、アレはプチの動物的本能、猫特有の大凶の予感から来る、アラームだったのだ。


加藤千幸はお盆休み明けの月曜日に必要な、事業部会用のプレゼン資料作成に追い詰められていた。妻の実家の居間で、おもむろにパソコンを開き、頭は完全に仕事モードに戻し関係資料を広げて資料作成にかかっていた。

隣の部屋では、健太と従姉がスーパーファミコンに朝から没頭している。

「こんな良き天気の日は、バスケットボールなり外で遊べ!」

悶々としながら仕事に集中していたが、悶々の堪忍袋の緒が切れてしまった。

「よっしゃ!プールに連れて行ってやる!」

車で10分ほどに在る「B&G25m屋内プール」に行った。四季を通じて利用できるB&Gプールは弥富市に来るたびにしばしば行き、自分の運動がてら健太の水泳訓練を兼ねていた。

普段からハンデーを与えて水泳の競争などをしていた。

健太は後方から追ってくる加藤千幸に追いつかれると、羽交い締めされ、沈められるので、真剣に全力で泳ぎ急いでプールサイドに這い上がり逃げるのだ。

「今日は飛び込みを教えたる」

顔や頭から水中に飛び込めず、水面には足からしか着水できない、息子健太に、歯がゆい思いをしていた。

プールサイドから手を伸ばして倒れ込むように顔頭から着水する、簡単な飛び込み姿勢の見本を見せるのだが、恐怖心からか、倒れ込む途中で足が出てしまう。

一度できれば「こんな簡単なことか!」と簡単に会得できるはずなのだが。

何度トライしても、顔や頭から着水する怖さは取り除くことが出来ないようだ。

ここで「父親の凄さを自慢がてらみせてやろう」とバカな邪心が出てしまった。

エンドサイドの少し段差で高いスタートセット台から、思いっきり上にジャンプして落差のある飛び込みをやってみせた。

水深1.2mでは自分の身長より0.5mほど浅いため、水底でオデコをぶつけてしまった。

ここで止めておけばよいものの、元来の無鉄砲性格とバスケットボールで鍛錬している運動神経に過信してしまい、「惑わず」2度目の見本自慢にトライしてしまった。

「今度は水中に入ったらイルカのように水中で頭を水面方向に身体をしなってやる!」

再度、高く上にジャンプしたら、ほぼ垂直に着水してしまった。

水底に刺さるように、頭頂部を全体重がかかりぶつけてしまった。

気が付いたら仰向けの状態で水面に浮いていた。しかし手足が全く動かない。

健太が不思議そうな顔して父親を見ている。

また「お父さんのことだから、溺れた真似をして、傍に行ったら羽交い締めで沈ませる魂胆じゃないか?」と、顔に出ていた。

「健太!係員を呼んで来い・・・」と言ったきり、プール底に沈んでいった。

監視員二人がプールサイドに千幸を運び寝かせた時、経験したことがない異様さに気づいた。

自分の身体の横に「ドタッ」と音がしたので見たら、自分の腕ではないか。

首から下の身体が全く動かない! 感覚が全くない!

救急車で搬送されている時、救急隊員が病院と交信している

「首の骨、骨折のもようで顔から下全身が麻痺している」と聞こえる。


何が起きているのか分らず、興奮しているため痛みはなく、

ただ、ただ、「惑う」四〇歳の加藤千幸であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る