第2話セレクトドリーム
「どうですか、今ご覧いただいたのは先日ご購入したお客様が見た「もしも」の世界でございます。」
そう言うのはバイザー状の眼鏡をして、スーツ姿で髪の毛が緑色の男性だった。
俺は白い部屋で布団で寝ていて頭の下には少し硬めの枕を敷きその近くには大きめの機械が置かれていた。それ以外は何もない白い部屋だった。
「ええ、ここまでリアルに感じられるなんてほんとにすごいですね。」
俺は「もしも隣人が殺人鬼だったら」の世界を見た。
「ええ、今では見る夢でさえも思いのまま見ることもできます。自分の見たい夢を見ることで普段は発散できないストレスを発散でき夢を楽しめるまさに一石二鳥です。」
そう言いながらスーツの男は俺が使っていた機械の片づけをしていた。
「見たい夢を見ると時ってどうすればいいんでしたっけ?」
『それでしたら、当店、または当店が開いているオンラインショップ、お近くのコンビニでカセットが販売されています。そこでお客様が見たいカセットを購入して機械に読み込ませて先ほどお客様が寝ていた枕で寝れば見たい夢の主人公にお客様がなりまるで実際に行っているかのように夢を体験できます。もちろん夢ですので何をするのもお客様の自由でございます。好きに遊ぶのも、人を殺めることさえも。』
スーツの男性は俺に機械の説明とその他の注意事項を俺に話してくれた。
「それではお客様体験は終了ですのでこちらへどうぞ。」
俺はスーツの男性に誘導されるがまま歩き始めた。
通る通路でさえも白く枝分かれが多く慌てて迷い込んで走りでもすれば壁にぶつかりそうだ。
そして、通路を進んでいると部屋の中が鏡越しで見えるようになっていた。
その部屋の中にはさっきまでの俺と同じようにベッドで寝ている人が一部屋に一人で寝ていた。
それが数人ではなく数十人いやもっといたのかもしれない。
「結構、人いるんですね。」
『はい、人気が出たおかげで連日体験を希望するお客様が多く今では予約制をしている状況です。
・・・それでお客様どうです?今なら当日発送ができ今日から使用できます。
さらに、今機械をご購入されたお客様にはお客様の好きなカセット5本お選びできます。
もちろんカセットの値段は無しでお値段25万になります。』
スーツの男性はどこからともなく値段の詳細が書かれた紙を取り出し迫ってきた。
俺はあまりの勢いに思わず一歩後ろに下がってしまった。
「は、はは、そうですね。もともと今回は購入するで来ましたからもちろん購入させてもらいます。」
「本当ですか!?ありがとうございます!それではロビーに戻りましたら購入の手続きをしましょう。その前にこちらからお客様が見たい夢がありましたらチェックを付けておいてください。もちろんすぐに5本選ばなくても後々に選ぶこともできます。」
スーツの男性は俺にタブレットを手渡してきた。
タブレットを上にスワイプすると無数のカセットがずらっと並んでいた。
まさに選り取り見取りだった。
そのまま俺は男の後について行きながらしばらく白い通路を歩いて行った。
「お客様まもなくロビーに付きますお足もとにお気を付けください。」
白い通路を抜けロビーにたどり着くと店内には5人ほどの人が白い通路に体を向け並んでいた。店内にはカセットを買いに来たのか多くの人が店に入ってきていた。
「お客様、手続きはあちらです。」
誘導されるがまま、人混みを抜け手続きの席にたどり着いた。
「それではタブレットは一旦こちらで預かりましてこちらの用紙の太線で囲まれている部分にお名前などをお書きください。」
「はい、分かりました。」
俺は用紙をすらすらと書き終えた。
「書き終わりました。」
「ありがとうございます。玖鳥
その後はカードで金を支払って機械を購入した。
「玖鳥様それではすぐに住所の方に発送させていただきます。到着時間は今からだと夕方の5時くらいになりそうですが問題ありませんか?」
「はい、大丈夫です。」
「カセットはいかがなさいますか?まだ1本しか選んでないようですが、後は後日お選びしますか?それとも店内で選びますか?後日でしたら無料券をお渡しして購入するときに券のコードを打ち込めば料金は発生いたしませんがどうなさいますか。」
スーツの男は右手に無料券を左手にタブレットを持って俺に選択を迫った。
「それなら、後でゆっくり選びます。」
「そうですか。ならこちらの無料券4枚をお受け取りください。玖鳥様がお選びになった1本のカセットは機械と一緒に発送しますね。・・・以上で必要な手続きは終了でございます。」
それを聞いて俺はすぐに席を立った。
機械を買えて買ったその日に使えると知って俺は内心浮かれていた。
「今日はありがとうございました。」
俺は急ぎ足で店を後にした。
「玖鳥様本日はセレクトドリームをご購入いただき本当にありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
スーツの男は深く頭を下げていたようだが俺はそのことに気が付かないで急いで自分の家に帰った。
家に帰ると俺は機械が届くのを楽しみに待っていた。
いつもならすぐに過ぎる時間だったがその時はまるで時間がとてもゆっくり進んでいるように思えた。
—ピンポーン
家の呼び鈴が鳴り俺は慌ててドアに向かった。
「玖鳥様、お荷物が届いています。」
「ありがとうございます。」
俺はすぐにハンコを押して荷物を受け取り部屋の中に運んでいった。
部屋に運ぶとすぐに機械を箱から出しセッティングをした。
「よし、これで後はこのカセットを入れて寝ればいいんだよな。
結構早いけどもう寝るか。明日は特に用事もないし、早く使ってみたいしな。」
俺は外着から部屋着に着替え寝る準備を整えカセットを機械に入れ眠りについた。
もしも~だったら レモン @lemosuka
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