4-6


翌日は恨めしいほどの快晴だった。


台風一過というやつか。

今日は文化祭の後片付けの日として設定されていた。


私は、意を決して朝から屋上に踏み入れる。

昨日の雨のせいか、屋上は濡れていて、所々水たまりが出来ていた。



そんなことを気にすることもなく、私はまっすぐ突き進む。

・・・詩編先輩の、元へ。





「やあ、今日は気持ちいいほど晴れたね。」



先輩は私に気づくなり、にっこりと笑ってそんなことを言う。


いつも通りだ。

昨日のことが、なかったみたいだ。





「詩編先輩。」


一方、私はと言うと怖い顔をしていたかもしれない。



「なぁに?」


私の呼びかけに詩編先輩が答える。

先輩の猫っ毛がさらりと風に揺れる。




「先輩は、何かを隠していませんか?」


意を決して口に出す。

本当はずっとずっと気になっていた。


心愛先輩が言っていた詩編先輩の秘密とは。

昨日の女の子が言っていた本当の詩編先輩とは。





「どうしてそんなことを聞くの?」


詩編先輩は余裕そうに私の問いかけに問いかけで返す。

まるで何を言われても動じないぞって身構えていたみたいな感じだ。




「知りたいんです。詩編先輩のこと・・・。」


まっすぐ詩編先輩を見つめて告げると、ブルーの瞳が揺れたような気がした。



「そんなに知りたいなら、読んでみるといいよ。」


手渡されたのは、詩編先輩が昔に書いた小説だった。




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