4-6
翌日は恨めしいほどの快晴だった。
台風一過というやつか。
今日は文化祭の後片付けの日として設定されていた。
私は、意を決して朝から屋上に踏み入れる。
昨日の雨のせいか、屋上は濡れていて、所々水たまりが出来ていた。
そんなことを気にすることもなく、私はまっすぐ突き進む。
・・・詩編先輩の、元へ。
「やあ、今日は気持ちいいほど晴れたね。」
先輩は私に気づくなり、にっこりと笑ってそんなことを言う。
いつも通りだ。
昨日のことが、なかったみたいだ。
「詩編先輩。」
一方、私はと言うと怖い顔をしていたかもしれない。
「なぁに?」
私の呼びかけに詩編先輩が答える。
先輩の猫っ毛がさらりと風に揺れる。
「先輩は、何かを隠していませんか?」
意を決して口に出す。
本当はずっとずっと気になっていた。
心愛先輩が言っていた詩編先輩の秘密とは。
昨日の女の子が言っていた本当の詩編先輩とは。
「どうしてそんなことを聞くの?」
詩編先輩は余裕そうに私の問いかけに問いかけで返す。
まるで何を言われても動じないぞって身構えていたみたいな感じだ。
「知りたいんです。詩編先輩のこと・・・。」
まっすぐ詩編先輩を見つめて告げると、ブルーの瞳が揺れたような気がした。
「そんなに知りたいなら、読んでみるといいよ。」
手渡されたのは、詩編先輩が昔に書いた小説だった。
******
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます