4-5


外はいつの間にか雨が降っていた。


文化祭も放送で少し早めのお開きとなることが告げられた。

何が何だかわからなかったけど、気まずい雰囲気になったのは確かだった。


だから、今日は解散となった。


やっぱり私は、雨が降っていないときしか、詩編先輩とは一緒にいられない運命らしい。





家に帰って、さっきの出来事についてグルグルと考えてみたけど、結論は出なかった。


でも、これだけは言える。

詩編先輩とさっきの女の子は何らかの関係があった。

その間柄は、決して遠くないということ。


拗れていたけど、少なくとも拗れるぐらいには親密な関係性だったということ。





それを思うと、

何故だか、悔しかった。

何故だか、悲しかった。


どうして自分は詩編先輩のことをあまり知らないのだろう。

どうして自分は詩編先輩のことを知ろうとしなかったのだろう。




ああ、もう駄目だ。

自分の気持ちに嘘はつけない。



詩編先輩のことを知りたい。

もっと詩編先輩に近づきたい。





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