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それから私たちは昼休みになると、約束もしていないのに屋上で一緒に過ごすようになった。



何だろう。沈黙になっても気まずくならない空気感がいいのかもしれない。


初めて会ったはずなのに、元から知っていたような、そんな感覚さえ感じることもある。



それでも、先輩がなぜ私と一緒に過ごしているのかの疑問は解消されない。






何度か、屋上以外で先輩の姿を見かけたことがある。


ダボッとした服装。

金に近い薄い髪色。

気だるげに歩く後ろ姿。


詩編先輩は良くも悪くも目立つから、目に入らない訳がない。


校舎内で見つけた時はいつでも、先輩の周りには男女関係なく人がたくさんいた。


昼休みに、私と一緒に過ごさなくても、先輩の周りには人が集まる。



同情なのか、それとも引っ込み思案で友達のいない私が物珍しいだけなのか、どちらにせよ私はいつかきっと先輩に捨てられる。




廊下ですれ違ったって、先輩は私の方など一度も見ない。


ブルーの瞳に私の姿を写すことはない。










綺麗で、とても残酷な人。





美人な女の人たちだとか、少し不真面目そうな友達に囲まれて、楽しそうに話しているのだ。


校舎内で先輩を見つける度に、昼休み二人で過ごしているんだぞっていう優越感と、それ以上に何とも言えない虚しさに襲われた。



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