1-4
それから私たちは昼休みになると、約束もしていないのに屋上で一緒に過ごすようになった。
何だろう。沈黙になっても気まずくならない空気感がいいのかもしれない。
初めて会ったはずなのに、元から知っていたような、そんな感覚さえ感じることもある。
それでも、先輩がなぜ私と一緒に過ごしているのかの疑問は解消されない。
何度か、屋上以外で先輩の姿を見かけたことがある。
ダボッとした服装。
金に近い薄い髪色。
気だるげに歩く後ろ姿。
詩編先輩は良くも悪くも目立つから、目に入らない訳がない。
校舎内で見つけた時はいつでも、先輩の周りには男女関係なく人がたくさんいた。
昼休みに、私と一緒に過ごさなくても、先輩の周りには人が集まる。
同情なのか、それとも引っ込み思案で友達のいない私が物珍しいだけなのか、どちらにせよ私はいつかきっと先輩に捨てられる。
廊下ですれ違ったって、先輩は私の方など一度も見ない。
ブルーの瞳に私の姿を写すことはない。
綺麗で、とても残酷な人。
美人な女の人たちだとか、少し不真面目そうな友達に囲まれて、楽しそうに話しているのだ。
校舎内で先輩を見つける度に、昼休み二人で過ごしているんだぞっていう優越感と、それ以上に何とも言えない虚しさに襲われた。
******
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます