第2話 将軍に捕まりました
語り部の私。ただいま大ピンチでございます。魔術を使って逃げようとしたのですが、すぐに捕まってしまいました。日に焼けた肌色、紺色の長髪のエルフの武人。間違いなくシェラ様です。
前に将軍、後ろに土で出来た壁。それとですね。誰かが言う壁ドン状態です。空想上のものだと思っていました。ああ。そこの通りかかった人、私のことを気の毒そうに見ないで。あとそこの笠の人、見捨てないで助けてー……。
「久しぶりだな。ニャット。相変わらず逃げ足が速い男だ」
シェラ様。顔を近づけないでください。耳元で話しかけないでください。危うく腰が砕けそうになるので。というか何故私の名を知っているのでしょうか。直接顔を合わせた記憶はないのですが、昔の私の職場はあそこでしたし……何処かで知ったのでしょうね。
「それで語り部に何の用です?」
「礼をしたい。時間はあるか」
これ完全に把握してますね。この違和感絶対そうです。探ってますって。
「ありますが」
あれ。右に行きましたね。後ろに感触が。浮遊感は。これひょっとしなくても、お姫様抱っこでは。というか何故それをしてるのでしょう!?
「身を委ねておけ」
心を溶かすような声はやめてください。色んな意味で持たないです。
「あそこまで行くからな!」
走り始めましたね。多少加減はしてくれてはいるでしょう。まあそれどころではないですけどね!
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