第4話
次の日の昼過ぎ。
玄関からノックの音が聞こえる。
「あら、御客さんなんて珍しいわね」
と、カトレアさんは椅子から立ち上がると、「はーい」
と、言って、玄関に向かう。
ドアを開けると、白衣を着た30代ぐらいの、黒縁眼鏡の男が立っていた。
様子を見に近づいてみる。
「初めまして。わたくしクレマチスの町で薬剤研究をしているサイトスと申します。昨日、お宅の薬草を露店で見つけたのですが、また作られているのかと思い、伺いました」
カトレアさんは不思議そうな顔で「いえ、もう主人が亡くなってから作っていませんよ」
「そうですか……。貴重な薬草なので、手に入れたかったのですが」
「家に一つありますが、いりますか?」
「いえ、欲しいのは10個なので」
「そうでしたか……わざわざ、すみません」
「いえ、こちらこそ失礼しました」
サイトスさんはお辞儀をすると、来た道を戻って行った。
カトレアさんがドアを閉め、
「おかしいわね? 10年以上も前の話なのに」
これはチャンスかもしれない。
急いで玄関を出て、サイトスさんを追う。
「サイトスさん!」
サイトスは後ろを振り返ると「なんでしょう?」
「さっきの話、いつまでに必要なのですか?」
「期限はありませんが、頂けるなら直ぐにでも。まさか、ご用意頂けます?」
「はい、何とかしてみせます」
「それは有難い! では、ご用意できたら町に来てください。場所は入り口から真っ直ぐ北に向かってください。看板があるので、すぐに分かるかと」
「分かりました」
「よろしくお願いします」
サイトスさんはお辞儀をすると、帰って行った。
さて早速、複製してみるか。
薬草を1個、ハンドバックから取り出し、6個欲しいと思ってみる。
薬草が光出し
キュイン──ポポポンッ!
薬草が6個出てきた。
成功はしたけど、クラクラする。
今日はこの辺にしておくか。
出てきた薬草をハンドバックにしまい、家に帰った。
「ただいまー」
カトレアさんが玄関に近寄ってきて、「お帰りなさい。サイトスさんに何か用だったの?」
「うん、ちょっとだけ聞きたいことがあったんです」
「そう」
「私、ちょっと休んできます」
「具合でも悪いの?」
「うぅん、走ったら疲れちゃって」
「そう、夕御飯になったら呼ぶわね」
「はい、それまでには起きます」
その日の夜
今日の整理をする。
手持ちの薬草【7個】
手持ちのお金【74P】
依頼達成まで残り【4個】
明日には準備出来そうね!
これで波に乗ってくれれば良いけど。
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