第3話

 次の日の朝。

 布団から出て、台所に向かう。


「ミントちゃん、おはよう」

「おはようございます」


「体調は大丈夫?」

「はい、お陰様で」

 カトレアさんはニコッと笑うと「そう、良かった」


 カトレアさんは朝食の準備をしながら「そうそう。敬語使わなくていいからね。私をお婆ちゃんだと思って、接していいのよ?」


「うん、では遠慮なく、そうさせてもらいます」

 と、返事をして手を洗う。


「準備、ほとんど終わったから、座って待っていて」

「ごめんなさい」

「大丈夫よ」


「あ、この借りていた薬草、返します」

「もういいの?」

「はい」


 二人で向かい合って食事を始める。

 カトレアさんがコッペパンにバターを塗りながら「今日の予定は?」


「特にないです」

「じゃあ、ここから一番近い、クレマチスの町に行ってみない? 買い出しをしたいのよ」

「はい、喜んで」


「じゃあ、準備ができたら出かけましょうか」

「うん」


 30分ぐらい、森を歩く。

「あと少しで森を抜けるわ。そうしたら、あとは真っ直ぐ北に向かえば、町が見えてくるはずよ」


「結構、遠いですねー」

「慣れれば、そうでもないわ。頑張って」

「はい」

 

 森を抜けて、更に10分ぐらい歩く──。

「ほら、見えてきた」

「ほんとだ」


 数えきれない家が所狭しと並んでいる。

 割と大きめの町だ。

「ここが町の入り口。色々と見て回りたいでしょ? ここで一旦、解散して、1時間後に集合にしましょうか?」

「はい」


 カトレアさんはスタスタと町の中へと入っていく。

 はてさて、私は何をしようか?


 とりあえず歩き出す。

 へぇー、家だけかと思ったら、木も所々に植えられているのね。


 公園もあるし、時計もある。

「そこの花柄ワンピースのお嬢さん」

 と、露店の男の店員が声をかけてくる。


「うちの店、何でも買い取りますよ。何かないかい?」

 何でも? 私の世界のお金も売れるかしら?

 露天に近づいてみる。


「いらっしゃい」

「すみません。このコイン売れます?」

 とりあえず、100Gを出してみる。

「どれどれ」


 店員は受け取ると、マジマジみている。

「見た事もないコインだね」

 やっぱりこの世界のお金は違うんだ。


「銅で出来ていることは分かるけど、使い道がなさそうだから、これなら出しても、50Pかな」

 50P?


 相場が分からないけど、使えないなら意味ないし。

「分かった、それで売ります」

 店員はニヤニヤしながら「毎度あり~」

 と言って、硬貨を5枚渡してきた。


 これがこの世界のお金か。

「他に何かあります?」

「そうね、この薬草って売れるかしら?」

 と、ハンドバックから薬草を3つ取り出す。


 店員は薬草を受け取ると「こりゃ、珍しい」

「珍しい?」


「えぇ、最近みなくなったマイフィ夫婦の薬草じゃないですか」

「マイフィさんを知っているの?」


「当たり前ですよ。昔は薬草と言ったら、マイフィ夫婦の薬草だったんですから。これ、本当に売ってくれるのかい?」

「えぇ」


「助かるよ。3個で24Pね」

 店員からお金を受け取ると、財布にしまう。

 店を後にして、公園へと向かった。


 とりあえず、ベンチに座る。

 露店で売られている野菜をみると、大体1P~3Pなのを考えると、薬草は高い方ね。


 これなら、お金を稼げるんじゃないかしら?

 ふと、時計を見る。

 いけない! もう時間だわ

 急いで町の入口へと向かった。


 その日の夜。

 布団に入り今日の整理をする。

 手持ちの薬草【1個】

 手持ちのお金【74P】


 薬草を売るには町に行かなきゃいけないけど、

 家と町を行き来するのは、面倒だし、

 出来るだけ、行き来の回数を減らしたいな。


 もっと数を増やしたいけど、

 どうやったら、複製できる数、増やせるのかな?

 明日また試してみるか。

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