第58話 アクリスは色を感じるの
アクリスのおパンツ…… どうせなら見上げる角度がいいな、ってちが!
俺はベッドから降りて、アクリスが捲ろうとする手を掴み止めるが、なんとも際どいとこだった、これはこれで需要がありそうだが。
というか、アクリス越しに浴びせられる視線がチクチク痛い、目からビーム的なものを感じる、俺も知らない高等魔術を使われてるのかもしれない。
「なーにしてるんすか!? かっこよさげなこと言いながらアクリっちに何吹き込んでたんすか?」
「いや、俺は……」
「なーにが、キュリオでも多分できるよ…… っすか? ウチに何させようとしてたんすかぁ!?」
キュリオは、俺の真似なんだろうか? 考える人のような仕草をしながら、ニヒルな笑みを浮かべ、ノリツッコミしてくる。
そして、ミニヴァンさんの目が怖い。石にでもなりそうだ。
「そういやあんた、アニーのパンツもみようとしてたねぇ」
ミニヴァンさんは持ってる杖をパシパシと、もう片方の手に打ち付けている。
そして、ミニヴァンさんの目が光ってるような、もはや怖くて見れない。
「てことはだ、私のも見たいってことかい?」
ぐふおぉ…… なんだこの攻撃力は、チャリス並みの威力、来世まで遺伝子に刻まれそうなトラウマレベル。
「いや、はは…… 言葉の通り伝えたつもりだったんだが。やっぱむずいわ。本当、見よう見まねで知ったかしてすんませんっしたぁ!」
◇
俺は、キュリオと一緒にミニヴァンさんにアクリスとのコミュニケーション魔法を教えてもらった。
構築式でルールを決めて言葉を魔力で送る方法は大体一緒だったが、整形するルール決めのところで微妙に不一致が生じていたらしい。まぁ、ある意味、空気を読んだ予測変換をしてくれていたわけだが。今後は大賢者ぶるのは控えとこう。
「さっきは俺の伝え方が悪かったらしい。だが、自分を悪い子だなんて思わないでくれ。あ、念のため、パンツは見せなくていいからな」
俺は、改めて、ミニヴァンさんに教えてもらった方法でアクリスに魔力を送ってみた。
(悪いパンツが…… 好きなの? あなたは不思議な色をしてる、誰よりも濃くモヤっとした。でもここの人はみんな同じ色をしてるの。だから私は悪い子なの)
あれ、まだ少し変かな…… 今度はちゃんとやったと思ったんだが。
アクリスのゴーグルに映し出される文字を見ながら恐る恐るミニヴァンさんの目を見てみる。
「あんまり文字数が多いと、誤解釈が多くなるんだよ。アクリスからしたら一度に情報が送り込まれるわけだからね」
そうなのか、なんかどうでもいいとこばかりご解釈されているような気もするが。
なるべく、一言とかの方がいいのかな。
「みんなと違う色だっていいだろう?」
(色を変えても何も良くならないの。だから、私は関わらない、悪い子なの)
「ミニヴァンさんには関わっているんじゃ?」
(水に関心を向けてるだけなの)
「悪いか悪くないかは必ずしも自分で決めることではないだろう」
(私は人にはもうあまり関わらないの)
「めんどくさいっすよ。そんなん、関わってから考えればいいんすよ」
キュリオのいうことももっとも、アクリスはまじめすぎるのかもしれん。
アクリスは関わるな、関わらないと言いながら、関わってるようにも思うし。
アクリスなりのルールなのか、こだわりなのか。
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