第43話 キュリオが2番目なんですが、何か

 俺たちは、3人並んで歩きフローレンスの町を後にしていた。

 キュリオは杖を背中にくくりつけてぴょこぴょこと歩いている。


「ホームシックは大丈夫か? なんだかんだ言って、みんなのことも心配だろうに」

「小便漏らしに言われたくないっすよ。まだそれ洗ってないっすよね?」


 神父の爺さんたちはキュリオ応援活動として、お年寄りネットワークでフラートルの調査を色々していたり、クリスタルでキュリオ像を作ったりしていたらしい。

 キュリオ像は置いておいて、調査の方では、フラートルでのクリクリ病の治療に関わる利権構造は複雑そうで、クリクリ病の元凶はメフィレスだったが、メフィレスが排除されたからといって、そこの仕組み化されている部分は闇が深く、はい終わりですとはなかなかならなそうであった。

 ほとんどはじゃれ付き合いの結果みたいなものだが、現実フラートル大聖堂の惨状からどう言いがかりをつけられるかわからないし、そっちの面倒な部分は年寄りに任せておけと、キュリオはクリクリ病が落ち着いてからにすべきだと結構反対していたが、しばらく町を離れている方がキュリオの成長のためにもいいだろうということで、俺たちは共に旅することになった。

 神父の爺さんは、格好良く決めたかったのだろうが、シワシワの顔を溢れんばかりの涙で保湿しながら、キュリオからクリクリ病の治し方を教わっていた。

 最後には、涙も枯れて、血の涙でも流しそうな形相で、神父の爺さん含めたお年寄り軍団からキュリオちゃんの笑顔を奪ったら、○△◇だ、と夜1人で眠るのが怖くなりそうなことを俺は言われた。

 結局全然お忍びでもなく町の出口に着く頃には、大勢の人たちが笑顔や涙を交えながら、送り出してくれた。


「あの町は幾たびの困難を乗り越えてきたし、そんなヤワじゃないっすよ。それにウチはリテラっちに興味があるっす」

「まぁ、あの爺さん達、まだまだ生きそうだし、少なくとも俺の心の中には生涯住み着いてきそうだ…… てか、もうもぎるとかそういうのは勘弁してくれよ」

「そんなもう普通になったイチモツとかどうでもいいっすよ。それよりもあの面白さを感じられればいいっす」

「キュリオちゃんがいれば面白いですよ」

「お前らの『面白い』の定義が俺とずれてないことを切に願うよ」


  ◇◇◇


「ズッ ……キューーン!」


 俺の胸の上に光の螺旋構造が展開されていきキュリオの合図と共に振り下ろされていく。


「ん? おかしいっすね?」


 あれ? 光の螺旋構造は刺さらずポロポロと崩壊していってしまった。

 …… はっ! そうか、常日頃の防御意識が、ここにきて無駄な弊害になっているのか。

 チャリス…… はきっと無理だ、キュリオなら、お前は、ちゃんと考えることのできるやつだ。


「うーん、もっかい、いくっすよ、ってうげっ!」


 キュリオが驚き、後ろを振り向くと大きな帽子を被った女の子がキュリオのウィンプルを引っ張っている。


「アクリスちゃん♪」


 てか、チャリスさん、あなた見張りの意味知ってる?

 まぁ、アクリスが来たならより大丈夫か、な。


 

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