第40話 キュリオも混ぜてくださいっす
「確かに…… 心配っすね。チャリっちがこの穴開けたんすか?」
「おぉ、そうだな。チャリスだってちゃんと心配してあげないとかわいそうだよな」
キュリオの瞳は渦巻きを続けている。
俺らは、チャリスの開けただろうトンネルの中を下っていき、しばらくいくと先の方でボンヤリと青白い光が見えてきた。
光のところにたどり着くとおそらく地下採掘場だろう。広めの空間が広がっている。
「あは♪ さっきのもう一回やりましょうよぉ、そのままでいいんですかぁ? 撃っちゃいますよぉ?」
すでに、チャリスは、メフィレスを、圧倒しているのがわかる。
皆を聞かなくとも、目の前に広がる景色がそれを物語っている。
至る所にあったであろう、クリスタルは、弾け飛んでおり、残骸がその辺に四散し青白い光を放っている。
先ほどまであったメフィレスの威厳ある立ち姿も今の姿を見れば、別人だと錯覚するだろう。ボロボロになったジャケットローブはくたびれており、優美なシルクハットは半分焦げて無くなり、そこから覗く紫色の髪をチャリスは左手で鷲掴み、頭上に高々と上げ見上げている。
チャリスといったら、表情はこちら側からは見えないが、きっと瞳をゾワゾワさせいびつに歪んだ笑顔を向けているんだろう。
魔力は欲求の高まりによって、源泉から解放される。
それは欲求がなくなれば、魔力も相対的に枯渇していくということだ。メフィレスは、チャリスの異常な欲求の高さに、自身の欲求を保てなくなった、あいつの遊び相手をしてあげるのは並大抵のことじゃない。俺だって干物みたいになる。数分相手できただけでも誇っていいだろう。
「おっ、お前、そ、そのマーク、落ちこぼれの…… クピディだったか…… 私なんかと比べるのもおこがましい存在が……!」
「ウィヒ、これは興味をそそるっすねぇ」
「メフィレス、お前がクピディを語るんじゃねーよ」
「あはぁ、リテラ様に、キュリオちゃん♪」
チャリスの太腿がここからだと絶妙なアングルで光を反射し、ふざけたスマイルのマークも俺に向かって笑いかけてくる。
ん、その奥に見えるあのメフィレスの服の破けた胸の部分から覗いている、矢で射抜かれたハートのマーク、あれは魔王の――
「どうだぁ! 落ちこぼれがぁ! 私の指輪にもクリスタルは仕込んであるのだ、これこそ輝きの真髄、これでお前もクリスタルになれば終わりなんだよぉ」
まだ、あんな力が……
チャリスがこちらに目線を移したすきに、メフィレスは最後の悪あがきと言わんばかりに、クリスタル化を発動、チャリスの左手からクリスタル化が進行していっている。
「あふぇ♪ 本当、綺麗ですねぇ。壊したくなっちゃう♪」
「フハハ、そうだ、もっとかがや―― アピャッ」
チャリスは、自分のクリスタル化しだした腕に愛おしそうな視線をそわせながら、杖から発するプラズマで自らの腕を焼き切り、そのままの勢いで、メフィレスの体に魔法を放っていった。
メフィレス的なものは勢いよく吹き飛んでいく。チャリスは杖にまたがり、落ちてくる中から、残った片腕で首だけになっているメフィレスの髪の毛を掴み笑いかけた。
「あっはぁ…… それで、次は何があるんですかぁ?」
「ウィヒ、ズッッキューーン!」
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