第31話 キュリオは神の子って呼ばれてるっす

 俺たちは、教会に戻ると、まだ少し治療を受けようとしてる人がいたので、パンを食いながら待っていた。

 暗くなるにつれ、教会の中に等間隔で飾られているクリスタルが淡く輝きだし、古びた教会であるのも手伝いそこは幻想的な空間が広がってきていた。


「コホン、リテラ殿」


 淡く光る暗がりの奥から、神父様の声が木霊してくる。

 俺は、チャリスに行ってくるわと合図を送り、声のする方へと向かっていった。

 奥まで行くと小さな講壇のところに神父様が立っていた。

 長く白い立派な髭を携え、古びた黒色のキャソックを身に纏い、年齢とは反比例する綺麗な姿勢で立っていた。


「神父様、よろしくお願いします」

「では、クリスタルシンドロームの場所を」


 俺は、治療だしと恥じらいを受け入れ飲み込み、ズボンを下ろしクリチンを露わにした。

 しかし、神父様とはいえ、爺さんの前で股間を曝け出すことになるなんて、人生何が起こるか分かったもんじゃない。


「チッ、オホン、進行を遅らせられるよう魔法を施すぞ?」


 あれ……? 今舌打ちされた?

 俺のクリチンに構築式が展開されていく。キュリオと同じ変化系の構築式だ。


「キュリオにこれを見せたらしいな。あの子はリテラ殿のことを心配しとったぞ。なんていい子なんじゃ」

「まぁ…… みられましたね。さっきも、歩けない人のために治療を続けていましたよ。若いのに実力も素晴らしいですね」

「キュリオは、天才なんじゃ。かわいい子なんじゃ。ワシなんかとっくに飛び越えられとるよ」


 なんか節々にキュリオへの溺愛を感じるな。

 見れば、胸あたりにキュリオっぽいアイコンも刺繍されてる……

 確かに、チャリスやキュリオと比べてしまえば、神父様の魔法の腕は通常レベルといえる。


「まぁ、もっと欲求を曝け出せばいいんですよ。キュリオとか、まさにそんな感じじゃないですか」

「なんじゃあ、この無礼者は! キュリオちゃんを愚弄するか!? 神の子じゃぞ? お主なんて欲求しかないから股間がクリスタルになっとるんじゃ!」


 うぉっ! なんか地雷踏んだのか、急に怒り出したぞ、この爺さん。


「いやいや、爺さん。キュリオなんて、その欲求の塊をもぎり取ろうとしてきたんですよ? それこそ欲求と言わずなんだと言うんでしょう?」

「お前の穢れたクリスタルなんぞ、見せられたら、そりゃあこの世から消し去りたくもなるだろう? 露出狂がぁ。そりゃ欲求じゃなく浄化じゃあ!」


 やべー、爺さん働きすぎでなんか回線がぶっ飛んじまってるのかもしれん。

 残業させてるわけだし? 無料奉仕してもらってるわけだし? 俺に非があるのは受け入れよう。でもなんで股間広げながら叱責されなきゃいかんのだ。

 キュリオの失礼さと言い、この爺さんあってのものなのかもしれない。


「爺さん…… 俺は確かに過ちを犯したかもしれない。それをキュリオに導いてもらったんだよ」

「てんめぇ…… 彼氏気取りか?」


 うーん、話になんねぇ。それとも、この世界式の懺悔なんだろうか。


「キュリオちゃんはなぁ……」


 爺さんのありがたい、それはそれはお長い話が始まっていった。

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