第25話 キュリオは呆れてものも言えないっす
「で、治す方法は? ほっとくとってことは、治す手段はあるんだろ? お前の教会に行けばいいのか?」
てか、これ、用は足せるんだろうか? このままだとクリスタル化するみたいだが、これは尿が出なけりゃ尿閉だ、そいつはまずい。
尿閉にでもなっちまったら、クリスタル化を待たずに、尿毒症になってしまうかもしれん。
「あるにはあるっすけど、教会じゃなく、民間魔法でならできるっす」
「…… 民間魔法? たまに山奥の集落で使われてるような独自の構築式のようなもので発動する魔法か?」
「ウチも実際見せてもらえてないので、わかんないっすけど、おそらく…… フラートルっていう団体が運営してるんすよ」
構築式は、イメージした魔法を発動するために必要なものだが、放出、操作、変化とかいくつか分類されている。民間魔法は、魔法もどきかまだ分類できていないようなマイナーなものを指すことが多い。
今のところ、俺の取り出せる知識でも解決策は見い出せなさそうだし、それを教えてもらえるか原因を究明してみないとなんとも言えなそうだ。
「じゃあ、現状、そのフラートルってとこに頼み込むしかないんだな。無料ってわけじゃないんだよな…… ち、ちなみにおいくらくらいなのかな?」
「100万ペクーっすよ。大賢者なら安いっしょ? まぁ、1ヶ月待ちくらいみたいっすけど……」
100万? ここのお金の価値は、最初の世界の『円』と同じくらいのイメージではある。確かにそれくらいちょっと前の俺なら余裕で持っていた。
しかし、今は、チャリスによる方々への人災復興支援により、かつかつの生活を強いられている。
自然の中でも普通に生きていける野生児チャリスと生活する上ではあまりお金に関して不便を感じなかったが、なんということだ。俺は腎臓がいかれるか、クリスタルになるか待つしかないのだろうか。
「俺たち、お金ないんです……」
「大賢者様なのに?」
「僕たち…… 貧乏なんです……」
「はぁ…… そんなら、夜飲み歩いてんじゃないっすよ」
キュリオは呆れた顔でため息をつき肩をすくめている。
ぐぬぅ。ぐうの音も出ない。
だって、だってさ、辛かったんだもん!
こんな綺麗な町に来れるようになるまで、1年かかった。チャリスは、魔力を引き出せるようになった、けど、だけど抑え方を身につけるまで長い道のりだったんだ。
久しぶりにちょっと楽しんじゃおうと思っただけなんだよぅ。
「リ、リテラ様…… 私、300ペクーなら持ってますよ?」
チャリスは、心配そうに俯く俺の顔を覗き込んでくれている。
分かってる…… お前はいいやつだよ、チャリス。
俺はチャリスの頭をポンポンと軽く叩いた。
「しょうがないっすね、なら教会に来るっすよ。結構待つと思うし、個人差もあるし、治すことはできないっすけど、多少はいいでしょ」
キュリオ…… いかれたロリガキなんて思ってすまなかった。
――ドンッ!
俺たちを導こうと歩き出したキュリオは意地の悪そうな男とぶつかっていた。
「なんだぁ、教会のガキか」
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