第24話 キュリオはポキっといっときたいのです
「リテラ様、お腹痛いんですかぁ?」
「なんか普通の顔がブサイクになってるっすよ?」
こいつ、なんなんだ、初対面だよな? 喧嘩売ってんのか?
いやいやいや、今はそれどころじゃない、なんだこの現象、俺の息子が透き通ってる。綺麗だ。悟りにでも達したのだろうか? もう魔法使いになれてるし、これがいわゆる純潔を守り通した先の妖精になれるという兆候なのだろうか。
「いや…… なんだこれ? クリスタル?」
「え! なんすかなんすか? まさかまさか、クリクリ病っすか? ウチに見せてください!」
クリクリ…… 病?
――って、疑問も消化できないうちに、迫り来る青髪の小動物、ラーテルのように獰猛に俺の股間を刈り取ろうと、目をギラつかせてズボンを鷲掴んできている。
「うぎゃー、やめてやめて! 俺、そういうの雰囲気大事にしたい派なの!」
「うわぁ、やっぱりクリスタル化してるっすね…… ん、なんか少しずつ大きくなってきてる?」
くぅぅ、なんで、俺、公衆の面前で、ズボンの中をロリガキに覗かれなきゃあかんのだ。
あぁぁぁ、でもなんだろう、新たな扉を見つけられそうな気がする……
「なんです? 何かすごいんですかぁ、リテラ様」
チャリス、頼む、今は引っ込んでてくれ、俺の中で何かが始まりそうなんだ。
「…… リテラっち、これ、ちょっと、ポキっともぎり取ってもいいっすか?」
「……!? はぁぁぁ!? おまっ、バカなの!? 何言っちゃってんの!? 頭吹いてんの? ここには、男のプライドとウェルビーイングが詰まってんだよ!」
「あり、なんか小さくなってくっす……」
「リテラ様が、ドラ怒ってます……」
俺は、キュリオの張りのあるほっぺたをむんずと遠のけ、ズボンをグイッと引っ張り上げて距離を取っていった。
危ねぇ…… そんなもん始めたくねぇ、異性界転生するところだった。
「ふぅ…… で、クリクリ病? なんだ、そのふざけた病気は?」
「この地域では、1年ほど前から流行ってるんすよ。ほっとくと、だんだん全身に広がってクリスタルになっちゃうんす」
キュリオは、下を少し俯きながら不満げな視線を向け、ウィンプルから飛び出しているハート型のアホ毛をくるくるいじり回している。
てか、え? 俺妖精じゃなくてクリスタルになっちゃうの?
「なんでなるかはまだ分かってないんすよ。一緒にいると感染するとか、迫害の元に…… まぁでも旅人は罹りにくいはずなんすけどねー、夜に変な店にでも行ったんじゃないんすか?」
「失敬な! 酒は飲んだが、変て…… 俺が思う変なことはしていない」
「そうです、失敬です! リテラ様は大賢者様なんですよ。昨日の夜だって、夜の人々に見聞を広めてくると、到着してすぐの疲れてる中颯爽と出かけていったんですから!」
チャリスは、両手を腰につけ、胸を張って、えっへんと言わんばかりの表情だ。
しかしチャリスさん、それは援護になってない、それは誤爆の可能性が…… ちょっと黙ってよっか。
「へー、さすが大賢者様」
キュリオは、ニヤッと笑っている。
この野郎…… ぜってー思ってねー。
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