第23話 キュリオはほじくりたいっす

「あぁ、こいつ! 魔族だぞ!」


 声と共に草臥れた格好の数人の子供たちが寄ってきて、ふざけたスマイルの紋章を見るや、棒みたいなものでチャリスのいろんなところをつつこうとしている。


「や、やめてくださいよぉ!」


 完全にパンツ見ようとしたこいつらが悪いだろうに、責任転嫁もいいところだ。

 俺は、チャリスを棒つつきから守ろうと間に入った。


「お前、邪魔だよ! これが正義だろ!?」


 いてっ、いてっ! 結構本気…… 子供は本当加減てものを知らん。


「コラッ! お前たち、何やってるんすか!?」


 チビっこいのが走ってきて、杖を振りながら周りにいた男の子たちを追っ払ってくれた。

 男の子たちは、奥の店影にいた呆れ顔の女の子たちの方へと合流していっていた。


「すみませんねぇ、旅の方っすよね? この町は、まだまだ孤児が多くて…… 何かのせいにしたいんすよ。でも心は綺麗な子たちなんすよ?」

「大丈夫ですよ。こういうのは慣れてますので。リテラ様もあなた様もありがとうございます」


 チャリスは、ペコリとしている。

 まぁ、悪魔の子の時よりは好待遇だった。


「あっ、傷が少しできてるっすね、ちょっと、見せてください」


 見たら、確かに手首のところから少し血が滲み出ている。

 まぁ、ツバつけとけば治りそうだが、この子は見る限り、修道女のようだし、回復系の魔法が得意なのかもしれない。

 この世界には、病院はない、基本、病気の類は教会での治療が一般的だ。まぁ、俺も大体はできるんだが、女の子に治療してもらうのを断る道理がない。


「じゃあ、お願いするわ。えっと……」

「ウチは、キュリオっすよ、この町の教会で従事させてもらってるっす」

「ありがとう、キュリオ。俺はリテラ。この子はチャリスだ」


 キュリオは、手首をとると、治療のためか傷口へ顔を近づけてまじまじと見ている。

 いてっ、いてっ、なんだ? 魔法で治すんじゃないのか?


「ちょっと、痛い系なの? 何してんの?」

「すんません、これもっとほじくってもいいっすか? 大丈夫、ちゃんと治しますんで」


 キュリオは、目を輝かせて俺を見てくる。

 なになに、この子、わかんない。なんで、そんなに純粋な目なの? そして、なんで、現在進行形で俺の傷をほじくってるの?


「いやいやいや、俺、そういえば自分でも回復できるの思い出したよ。ハハッ、ありがとうな、キュリオ。君の優しさは忘れないよ」

「なんだぁ、分かったっすよ」


 キュリオが杖を一振りすると、俺の傷はたちまち綺麗になっていった。

 なんだってなんだ? 最初からやれよ。


「神の御加護があらんことを」


 キュリオは、ニヤッとしている。

 こいつ、ぜってー思ってねー。聖職者あるまじき。冒涜だ。

 んんん、てか、なんかさっきからいつもとポジショニングが…… まさかとは思うが、このチビっ子に反応しちまったのか?

 情けないぞ、俺の俺。

 俺は、少しズボンを直すふりをしながら、ベスポジを探ってみる。

 んー、やっぱ固いな…… てか、とんがってる?

 少し、引っ張り、俺はパンツの中を覗いてみた。


「んなっ、なな…… お、お、お、俺の、俺、俺がぁぁ」


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