第22話 キュリオが生き返らせてあげるっす

「でも、チャリっちの攻撃受けたにしては、五体満足すぎるっすねー。だいたいみんな…… まぁ、まったく姫様に頼まれて様子見に来てよかったっすよ、まさか死んでるとはねー」


 キュリオはなんか思い出したくないようなものを思い出した顔をしてる。

 てか、姫様!? 姫様と言ったか、キュリオのやつ! こいつ、お前だけ美味しい役割を全うしやがって。

 しかし、姫様に頼まれたのか、俺は会わせてもらえてないのに、まさか俺のことを…… うーん、どうだかな。


「私もさっき来たばかりで、攻撃は当ててないと思うんですが? あ、入る時バナナの皮あったのできっと転んじゃったのかもしれないですね♪」

「ウィヒヒヒ、そんな人現実にいるんすか? でも大賢者様このバカならありえるっすね! どうせ、エロいことでも考えて、滑って転んだんでしょう」


 こんのクソロリガキが!

 アホ毛を揺らしながら、ケラケラと笑いやがって。そのハートどこかに巻きつけてぶら下げてやろうか!

 まぁ、なまじ大きく外れてもないからタチが悪い。


「まぁ、とりあえずは蘇生っすね。本人に聞けば色々わかるでしょー。念のため、周りも警戒しておきましょっかねー。チャリっち、お願いしてもいいっすか?」

「はいなっ♪」


 ふぅ、頼りになるのかならないのか。

 キュリオは、螺旋状の杖を左手で持ち、右手を広げながら、ビスビスと目の色を輝かせていく。

 俺のことを一点に見つめ、構築式が展開されていく。

 俺の真上には、幾何学模様で彩られた二重螺旋構造がとぐろを撒きながら形成されていっている。

 綺麗な魔法だ。チャリスも見張りなんてそっちのけで後ろから魔力を垂れ流して、垂涎の目で見てきている。

 まぁ、どうなることかと思ったが、ひとまず、何とかなりそうだ。

 俺は、小さいながらも大きな魔力を操る姿を見ながら、キュリオとの出会いを追懐していた。


   ◇◇◇


「わぁ、見てくださいよぉ! リテラ様、綺麗な町ですねぇ」


 チャリスと出会って1年くらい経っただろうか、俺らはフローセンスという町に来ていた。

 町の中央には、摩天楼のように大きく聳え立つ白い建物が見え、まぁまぁ大きな町のようだ。


「あはぁ、ここはなんだか神秘的で魔力に溢れてますねぇ」

「うむ、チャリスさん、ここは森じゃない、今までのような村でもない、これまでの教訓を思い出すんだ、町中で安易に魔法は使わないんだぞ」

「はいですー」


 チャリスはあれから、少しずつ村とかに寄っては『人類』の生活をごく少しずつ、少しずつではあるが、理解してきている。

 まぁいくつかの村は半壊させ出禁になったり、何故か崇拝されたり、『悪魔の子』と呼ばれるようになったりと、いろいろあった。

 不幸中の幸いで怪我人は防げてるし、俺は全身全霊を持って村の復旧に携わってきて、なんとか事無きを得ているわけだが。

 あー頭がいてー、二日酔いか? 今までの苦労の累々か?

 それにしても、昨日の夜ついた時はライトみたいなのがたくさんあるなと思ったけど、明るくなって改めて見てみると確かにここはクリスタル状のものが多い。そこから魔力が漏れ出ている。


「とりゃっ!」


 急に声がしたので見てみると、チャリスのローブが男の子に捲り上げられており、白い柔らかそうな太ももがクリスタルに反映されきらめいている。

 おぉ少年よ、夢を抱け。今日は黒か、バリエーションが増えてきたな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る