第二の弟子 キュリオ奇誕

第21話 キュリオ登場っす

「あはぁ、キュリオちゃん! おはようございますー」

「まぁ…… いつものことっすね」


 おぉ! キュリオだ、やっと来た! 早く生き返らせておくれ! 殺される! いや死んでんだけど、抹消されてしまう!

 キュリオは、螺旋状の杖に寄りかかりながら、修道服の上に着たブレザーベストのようなローブをヒラヒラさせ、ため息をついている。

 頭にかぶるウィンプルからは、青いハート型のアホ毛が飛び出しており風でピクピク動いている。


「ん? なんかリテラっち変じゃないっす――」

「――もうこれくらいで! 魔キューーン!」


 あぁぁぁぁあ、打ちやがった! 爆発娘! 希望を目の前にして、打ち砕かれる俺の人生。

 さらば、異世界、カモン、天使様。


「ちょちょ、ちょっと、チャリっち――」


 黒い渦が俺の周りを包み込み、漆黒が訪れ、プラズマがところどころに迸っていく。

 最期の結界が一瞬で壊され、空間の歪みが近づいてきた時、俺の周りに光り輝く幾何学模様の結界が張り巡らされていった。


「チャリっち…… さすがに、肉体吹っ飛ばされたらもう蘇生できないっすよー」

「あふぇ♪ キュリオちゃんのかたあぁぁい」


 キュリオー、お前は天使だ。

 それに、部屋全体も半正多面体の結界で覆い、家が破壊されないようにもしてくれている。

 それなのに、チャリスは、そんな心遣いも無下にするように、至る所に黒い渦を展開し、嬉々と辺りに閃光を撒き散らしていく。

 俺は、胸の辺りからひょっこり見てるわけだが、凄まじい光景だ。2人とも成長したなぁ、まぁ一部分だけだが。

 でもなんか、頭が引っ張られるような感覚もするし、まだ時間あるはずだけど、これ天に召されそうな予兆なのかな、早くしてくれー!


   ◇


「あぁん、また、壊せなかったですー」


 チャリスは、少し疲れたのか残念そうにへたりと座り込んでいる。

 キュリオの心遣いは、容赦なく打ち砕かれ、結局、俺を守ることに専念してくれていた。


「いやいや…… 家は結局半壊してますし、まだこれ序の口じゃないっすか、ヤバいっすよ…… というより、それよりも! 遂にリテラっちをこれってますよね? れたんすね?」

「あへ? リテラ様、死んでるんですか? だから、あまり魔力の上がりが悪かったんですね」


 チャリスはしょんぼりしてるが、なんか違う気がする。


「死んでるっすよ、どうやったんすか? まぁ、この人はどうせくだらないミスをしたんでしょうが…… それでも興味あるっすね〜」

「私…… 私ですか? リテラ様を壊せたらどんな景色が見えるんですかねぇ」


 キュリオは目を輝かせてチャリスの話に聞き入ろうとしている。

 チャリスも、念願の夢を馳せているようだ。

 少しは悲しめ、お前ら! てか、さっさと生き返らせてくれよー!

 死体を挟んでガールズトークに花なんか咲かせないでくれー!

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