第16話 チャリスはコネコネしてるだけなのです

 俺の今までは後悔の連続だ。

 俺は、後悔とは、行動後に、死後に、『無知』を知ることだと思っている。

 たとえ失敗したとしてもその時の知識を経験を繋がりを結集し、実行できていたなら、その先にあるのは、無知への後悔ではなく、学習だ。

 俺は無知を欲し、後悔し、無知を知り、学習する。

 それが今は楽しいんだ。


 チャリスとクマたんがはしゃいでいる中、時折、俺にもチャリスの光球やクマたんの黒紫の斬撃やへし折った枝が飛ばされてくる。


 この斬撃は飛んでくる。ただ衝撃波や光熱線のような速度はないし、何らかの物質を斬撃調に投げ飛ばしているのかもしれない。

 今まで、斬撃を飛ばしてきたやつは、金属の関連が多く、熱で対処できることが多かった。クマたんの斬撃も熱に弱い可能性がある。

 とりあえず、結界の熱性を調整してみよう。

 

 ――モニュん


 クマたんの斬撃が飛んでくる。斬撃は結界の表面で煙を上げ消えていく。

 うん、他の可能性もあるかと思ったけど、とりあえずこの斬撃も熱には弱そうだ。

 ただ、たまににしとかないと、結界の中はサウナどころの暑さじゃなくなるし、干物になってしまう。やはりこれは実用性は低い。


 あとは、クマたんは、黒の渦に入って、白い渦から出てくる。こういうのは初めてみる。

 入る時は、スパゲティ化みたいに少し引き伸ばされながら入っていくように見えるし、クマたん以外のものも一定区間抉り取られるように吸い込まれていき、蒸発していく。

 通るたびに、クマたんの魔力も補充されていっているようだ。

 原理はわからないが、あれは高エネルギーの空間、ブラックホールみたいなものなのかもしれない。ひとまずワームホールと思っておこう。

 そして、ワームホールの先、白い渦から出てくるのは、いつもクマたんだけだ。


 ――モニュん


 クマたんの移動に合わせて黒い渦に岩石を放り投げてみる。

 ……クマたんだけ出てくる。砂埃すら出てきていない。

 雷撃も飛ばしてみよう。

 ……出てくるのはやはりクマたんだけだ。

 現状の事実としては、ワームホールには入れても出てこれるのはクマたんだけのようだ。


「もっと、ムワッと、モワッと…… あはぁ、少しずつ似てきましたよぉ」


 チャリスは嬉しそうにしながらも、服はまた少しずつ千切れてきている。せっかく新調したのになぁ…… この子はすぐに白い肌を艶かしく披露してくれる……

 ふむ、それなら、これならどうだろうか?

 俺は、チャリスのセーラー服で余った布を紙吹雪のようにクマたんへ襲わせてみる。

 ワームホールから、一緒に吸い込まれた紙吹雪は出てこないが、出てきたクマたんには、何枚か布が貼り付いたままだ。

 そういえばさっき、へし折った枝も持ったまま出てきていたな。

 ひとまず、クマたんと認識される何らかの法則をクリアすればクマたん以外でもワームホールを通ることは可能のようだ。


 以上のことから、ツギハギではあるけど、クマたんと認識される法則に則った攻撃をワームホールに通すことができれば、クマたんに命中させられるかもしれない。

 予想しやすいのは、いじられてるし……


「見てください! リテラセンパイみたいな魔力ですよぉ。美味しそうですねぇ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る