第13話 チャリス絶対領域を会得しました

「わぁ、リテラ様♪ かわいいお洋服っ、初めて見ますー」

「うむ、それは、女子高生という」

「ジョシコウセイ?」


 色の種類も少なかったし、最初の世界での俺の学校の制服はなかなか評判だった。鮮明に覚えていたし、チャリスは、高校生…… になりたてぐらいだろうか? まぁこの際細かいことは気にしない。

 あり物で作ったにしては、チャリスの赤いツインテールがいいアクセントになっており、木のボタンもチャーミングだ。

 それにこの角度からだと風でたなびくスカートがちょうど見えるか見えないかの絶妙なバランス感を維持しており、絶対領域から覗く『ふざけたスマイルの紋章』といい、その合わせ技といったら、それはもう芸術の域を超えている。


「チャリース! ちょっとしばらく俺のことはリテラ先輩と呼んでくれ、いや、呼んでください!」

「センパイ…… ですかぁ? わかりましたよぉ、リテラセンパイ♪」


 はぁ…… 世界ってなんでこんなに素晴らしいんだろう。


 ――モニュん。


 クマたんは、相変わらず、黒から白の渦へと出入りを繰り返し、攻撃を仕掛けてくる…… なんかチャリスの方ばかり狙ってくるな。

 俺の結界の補助もたまに危ない時がある。チャリスにも少しずつ擦り傷ができてきている。

 しかしあのワープみたいなののせいで、攻撃が全然当たらないのをどうしたものか。


「チャリス、クマたんは何故かお前ばかり狙ってる、結界は張ってるが気をつけるんだぞ」

「はぁい、きっとクピディ様が私を自動追跡するようにいじってるんですよぉ。これまでも毎日12時に、そういえば最近は来てませんでしたが…… 私は追っかけられるんですー」


 毎日自動追跡だった…… か。そしたら、俺が攻撃を……

 いや、ここはチャリスの魔力コントロールの学びの場に当てよう。おそらく、これは完全に予想だが、クピディもそれがお望みなんだと思う。


「チャリス、クマたんはお前に任せるよ」

「あはぁ、やってみますよぉ」


 チャリスは杖を掲げて、構築式を展開していく。


「倒します…… クマたんを…… 憎まないとぉ」


 チャリスの上がっていた魔力は、次第に尻すぼみになっていく。

 杖からは、残り香のような煙だけが出る。


「あぁん、やっぱり自分の魔力はダメみたいですー」


 チャリスは体勢を崩しながら、飛行も危うくなっていく。


「チャリス、甘えるな、憎むことにこだわるな、本心を曝け出すんだ。まずはクマたんとじゃなく自分と向き合え」

「リテラセンパイぃ、助けてくださいぃー」


 ぬぐおぉ、助けた…… き、気持ちが揺らぐ。

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