喜劇 『ロックンロール・ブレーメン』 その三

 ローバーがゆっくり考えている間にも、みんなのお腹は鳴り止みません。


「そうじゃ!! 今日一日だけ、家と食事を借りることにしよう!! それからゆっくりとブレーメンブドーカンに向かうとしよう」

「ローバーも話がわかるようになったなぁ⤴︎。よし、いっちょやってやるぜぃ⤴︎」


 こうして三匹と一羽は慎重に森の奥へと向かいました。トリーの言った通り、そこには家があります。ですが、家の外には見張りがギョロギョロと目を輝かせていて、なかなか近づけそうにありません。


 ですが、運のいいことに見張りの男はみんなお酒を飲んでいるようでした。


「よっしゃぁー⤴︎。おれたちツイてるねぇー。いっちょかましちゃおうぜっ⤴︎」

「なにをどうかますというのだい?」

「ワン太さん、なかなかお堅いっすねぇ。おれたちの特技といやぁー、音楽っしょ⤴︎」

「ニャン学?」

「とりあえず、ワンワン、ニャンニャン、ヒヒヒン、ケッコーって叫べばいいんっすよ。ただしぃー⤴︎、姿を見られないようにね」


 なんとも心もとない三匹でしたが、ほかにいい案が思いつかなかったので、トリーの言った通りにやってみることにしました。


「ヒヒヒヒヒーン!!」

「ガウー!! ワンワンワンワン!!」

「ギニャァー!! シャァーッ!! ニャンニャンニャンニャン!!」

「コッコッコッコッ!! ケーッコッココココッ!!!」


 突然藪の中から響いてきた彼らの声に驚き、小山の中にいた泥棒たちもあわてて出てきました。が、どこをどう探しても、声の主がわかりません。


「しょうがねぇ。とりあえずここを離れるぞっ!!」


 盗賊団は持つものも持たず、小屋から離れて行きました。


 うまうまと小屋を手に入れた一同は、まだ盗賊が残っていないか充分注意して、中に入りました。


 なんと、そこにはたくさんの食べ物が山積みになっていたのです。


「よっしゃー⤴︎。 ロックンロール⤴︎。 ベイベー⤴︎」


 トリーは一番先に大好きなともうもろしを突っついています。


「では、神の恵みに感謝して。いただきます」


 もはや、不道徳なことをしてしまった背徳感で一杯のローバーでしたが、背に腹は変えられません。ここは素直に食べ物をいただくことにしました。


 それを見て、ワン太とニャンタロウも肉を食べ始めます。


 お腹が一杯になった三匹と一羽は、それぞれが落ち着く場所で眠りにつきました。


 つづく

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