兄妹劇 『青い鳥とお菓子の家』

〈キャスト〉


 ※ヘンゼル……陸田 舜


 ※グレーテル……空野 響


 ※兄妹の父親……山口 努


 ※義母及び魔女……川崎 糸子


 ※語り部……海原 薫



〈ただいまより、兄妹劇『青い鳥とお菓子の家』を上演いたします。最後までごゆっくりご観覧ください〉


 ※開演ブザー


 ※語り部の話にあわせて、演者が芝居をする。


 ☆☆☆


 双子の兄妹のヘンゼルとグレーテルは、貧しくてもとても仲良しです。


 よく、お金持ちになったらどんな豪邸に住みたいかを話し合っていました。


 ところが、病弱なお母さんが死んでしまい、すぐに新しいお母さんを迎え入れたものの、やはり、双子は懐こうとはしませんでした。


 ある晩のことです。ヘンゼルはお母さんと、お父さんが話しているところを聞いてしまいました。


「あの双子がいたんじゃ、これから食べていくことができないよ。あんた、思い切ってあの子たちを山に捨てに行こう」

「そんなっ!! あの子たちはおれの大切な子供たちだ。山に捨てるなんてとんでもないことを考えるなら、離婚するぞっ!!」


 そもそも、新しいお母さんは、近所のお婆さんから無理やり押し付けられたような存在でした。お父さんにとって、大切なのは新しいお母さんより、双子たちだったのです。


 ところが、お父さんに強く言われたことでカッとなったお母さんは、お父さんが仕事に出かけている間に双子を連れ出し、山に置いてきぼりにしてしまいました。


 ですが、頭のいいヘンゼルは、道道に印を書いたたくさんの小石を撒いてきたので、双子は無事に家に帰り着くことができました。


 さぁ、新しいお母さんはヤケになって、次の日も双子を山の奥の奥まで連れて行ってしまいました。


 小石はお母さんが拾い上げて、適当に捨ててしまいます。そうして二人にこう言いました。


「いいかい? 実家のお婆さんが具合が悪いんだ。青い鳥を探して連れ帰ってくれたら、家にいてもいいよ」


 さぁ、二人は困ってしまいました。青い鳥なんて、この辺では見たこともないのですから。


 つづく


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