冒険劇 『ドロシーと赤い靴の冒険?』 その三
北の魔女が言っていた通り、途中でカカシがなにやらブツブツ言っていました。
「カカシさん、そんなに知恵が欲しいのなら、ホウキになっちゃえば楽になれるのに」
ドロシーがそう言って、赤い靴のかかとを鳴らしてしまうと、カカシはホウキになってしまいました。
「ありがとう、ドロシー。ホウキになってしまえば、知恵なんてなくても大丈夫だよ」
「あー、すっきりした」
こうしてドロシーはカカシをホウキにしてその場に置き去りにしてしまいました。
次に出会ったのは、心優しいライオンでした。最初はライオンに驚いてしまったドロシーですが、赤い靴のかかとを鳴らして、ライオンを強制的に群れの中に戻してあげました。
ですが、メスのライオンの群れの中で唯一のオスライオンですので、心優しいライオンはモテモテでした。
「ありがとう、ドロシー!! ぼく、がんばるよ!!」
「よかったわね。あー、すっきりした」
その次に出会ったのは、心が欲しいブリキ男でした。
「ねぇ、あなた。一緒に北の魔女をやっつけない? あの人、あたしをこの素敵な場所に連れて来たくせに、勝手にカンザスに戻すつもりでいるの。あなたに男らしい顔を描いてあげるから、それを貼り付けて。北の魔女をだますのよっ!!」
そう言うと、ドロシーは赤い靴を鳴らして、ブリキ男の顔を男らしく描いてあげたのでした。
「わあ、なんて素敵な顔なんだ。ありがとう、ドロシー」
「まだまだこれからよ。北の魔女をたぶらかしに行くの。えいっ」
ドロシーは赤い靴を鳴らすと、最初の場所まで戻って来ました。思った通り、北の魔女はすぐ側にいます。
「いい? あたし、隠れてるからうまくやるのよ?」
そう言うと、ドロシーは隠れて様子を見ます。そこへ、北の魔女がブリキ男に近づいて来ました。
「あなた、どなた?」
「おれは、おれは――」
計算違いです。ブリキ男は心がないので、なんと言ってたぶらかせばいいのかわからないのです。
「おれについて来い!! 一緒に旅をしようではないか」
ナイス、ブリキ男!! ドロシーは胸の奥で叫びます。殿方に免疫のない北の魔女は、あっさりブリキ男にたぶらかされてしまいました。
「素敵!! 一緒に旅をしましょう。もうオズにいる魔法使いなんてどうでもいいわ」
こうして、ドロシーはトトと一緒に魔法の国でおもしろおかしく暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
〈以上を持ちまして、冒険劇『ドロシーと赤い靴の冒険?』は閉演となります。ご観覧ありがとうございました。また、お帰りの際はお忘れ物のなきよう、足元にお気をつけてお帰りください〉
※閉演ブザー
☆☆☆
つづく
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