冒険劇 『ドロシーと赤い靴の冒険?』 その二

 ドロシーが眼を覚ますと、とてもうつくしいバラが咲き誇る庭にいました。


「ここは一体、どこなのかしら?」


 腕の中では愛犬のトトがジタバタともがいています。


 ゆっくりと起き上がるドロシーの目の前に、綺麗なドレスを着た北の魔女があらわれました。


「もし、あなたがカンザスに戻りたければ、オズにいる魔法使いに会いに行くといいでしょう」


 ドロシーはカンザスになんて帰りたくありませんでした。


「ドロシー? この赤い靴を履いてかかとを鳴らすと、あなたの好きな場所に行けますよ?」

「わぁ!! 本当に!? じゃあ、あたし、日本に行ってみたいわ」

「ド、ドロシー?」

「かかとを鳴らしてー!! えいっ!! あれ? どこにも行けやしないじゃない」


 ドロシーのめちゃくちゃな願いに、北の魔女は驚いてしまいました。


「ご、ご両親に会いたいとか、そういう願いはないのかしら?」

「あたしの家族はトトだけ。おじさんもおばさんも学校の先生も、みんな意地悪だもの。カンザスになんて帰るもんですかっ」


 これには北の魔女も困り果ててしまいました。北の魔女は、なんとかしてドロシーをオズに送り込まなければならなかったのです。


「ですが、旅をすれば素敵な仲間に出会えますよ?」

「どんな仲間?」

「どんなって。たとえば、カカシやライオン、ブリキ男など――」

「やだ!! こっわーいっ!!」

「こわいって。ちょっと」

「カカシはホウキにしちゃえばいいけど、ライオンとブリキ男なんて、猛獣と変質者じゃない」


 ぐうの音も出ない北の魔女は、面倒臭くなってドロシーを強制的にオズに送り込んでしまいました。


「まったく。とんでもない魔女がいるものね」


 ドロシーは悪態をつきながら、オズの魔法使いにしぶしぶ会いに行くことになりました。


 つづく

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