第四幕 舌切り雀はあざといのか?
第21話 おれたちの日常
授業中、どうしたら糸子さんのために芝居をうまく演じられるかを考えていたら、先生にチョップされた。
あのさぁ、先生はあれだけど、みんなおれの頭をチョップするために近くにいるんじゃないかなぁ? とか、わけのわからない妄想に駆られてしまう。
最近の劇場部はもっぱら糸子さんの若さを保つためだけにはざまで芝居を披露してきた。しかも、台本の出来は薫のオマージュしだいでころころ変わる。
オマージュからフロマージュというのも、どこか一致しているような気もする。
今日は、愛しい愛しい糸子さんと、部活が終わってから会うことになっている。……みんなも一緒だけども。
いつもの喫茶店『
この前、うっかり告白してバッサリと振られた身としては、なんとなーく気まずさがある。女の子にはざまで告白するなんて、最低野郎決定だ。
ああもう、授業よ、早く終われ!! なんて念じたから授業終了のチャイムが鳴ったわけではなく、時間だから鳴っただけのことだ。
「努、今日の放課後なんだけどさ――」
「そういや、薫さ。今日は舜の誕生日ではなかったかい?」
舜と響はおなじクラス。薫とおれは別のクラス。なのにわざわざ出向いてきてくれた薫なんだが、めずらしく記憶力がよかったおれの頭へと、薫はチョップする。
「よく覚えてたな。実は今日、『
「うわぁ!! 気づいたのはいいけど、おれ、誕生日プレゼントなんて持ってきてないぞっ」
おれはあたふたとカバンの中をあさるが、出てきたのはなにかの割引券と、クリップ数個、なぜか輪ゴム。それを見て笑う薫。
「努はブレないなぁ。そのモブっぷりがたまらなくおもしろい」
はぁ。モブをほめられてもなぁ。プレゼント、どうしよう。
つづく
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