第4話 4回目の間違い電話
あれからまた半年が過ぎた。
今はバブル全盛期で、デザインスタジオを主宰している私もクリスマスになればパーティーで多忙な日々を過ごしている。
今日のパーティーは岐阜の柳ヶ瀬にあるビストロで貸切だ。5歳ほど年上のデザイナーが主宰するクリスマスパーティーで、いま売り出し中の若手建築家や、デザインクラブの重鎮や、広告代理店のやり手営業マンなどが参加している。
時間がギリギリ遅刻か?と、友人のスタジオカメラマンと向かう途中に携帯電話が鳴る。
また知らない番号だ。
「はい。XXですが。」
「○○君?お父さんは?電話が繋がらないのやけど。」
私の返答が聞こえなかったのか?再度名前を伝える私に、上から重ねるように慌てたような大声を出す。
「いやいや、お父さんの病院を知りたいんや!」
まだ理解してないらしい。
「すみませんが、私の名前はXXです。○○さんとは関係ないですよ」
「え、でも、誰に連絡すれば、、、。」
「○○さんがこの電話番号を使ってたのは分かります。今までに何度もそう言った電話がかかって来たから。でも、すでに一年近くこの番号を使ってますので、○○さんは別の番号に変えたんじゃないですか?」
ようやく理解したらしく、謝罪の言葉とともに
「しかし、家族みんなと連絡がとれないんだけど、あなたが知ってる訳、、ないですよねぇ??」
理解しつつも、不思議という気持ちの方が強いのか。
ふと気づいて、質問をする。
「あの〜。不躾ですが、その家族の方全員連絡が取れないんですか?」
「あ、いえいえ、失礼しました。う〜ん。しかし誰に聞こうか、、。」
謝罪の後の言葉はただの独り言になり、途中で聞こえなくなり電話は切れた。
もう。こう言う切り方は無いよな。せめてどんな家族だったとか、、、。
まあ、関係ないけどな。
でも、毎回こんな電話がかかるとさすがに気になる。
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