楽しい死後の世界へようこそ!!
ユキナ
まさかの敗北感…
どうも、最近死んだ秋永 上総です。
死んでしまい死後の世界にやって来ました。
死後の世界初日で色々と死にかけました。
まあ、もう死んでるんですけどね。
何でしょう、何処からか、女性の声が聞こえる。
私が気絶する前に聞いた声。
「大丈夫ですか?どこか辛いところはありませんか?」
「は、はい、大丈夫…です…ご迷惑をおかけしました。それと、ここは何処ですか?」
「ここはですね、私の家ですよ」
「えっ!ほんとーにご迷惑をおかけしてすみません!!ナイチンゲールさんでよろしかったですよね?」
私は少し彼女の顔色をうかがって言った。
「そんなに警戒しなくても取って食おうなんて思ってませんよ」
微笑む彼女を見て私は少しほっとした。
ほっとしたとたん、お腹がすいて、ぐぅー、っとお腹が鳴った。
「ウフフ、下に行きましょうか。お腹がすいているでしょうから」
口に手を当てて微笑むナイチンゲールさんを見て、私は顔が赤くなった。
階段を下りていると、一階から嗅いだことのない匂いがした。
その匂いは、食欲をそそるいい匂いだった。
「あっ!おはようございます秋永さん、ナイチンゲールさん勝手に台所借りてますよ。あと、ご飯作っておきました」
「ありがとうございます。ジブリールさん」
「ジブリールさん、ちょ、ちょっと危ないです!」
包丁を私達に向けたまま、こちらにジブリールが駆け寄ってくる。
それを見たナイチンゲールさんは、私の後に背後霊のように隠れた。
「見てください、秋永さん、私料理してみたんです」
「ちょっと、本当に危ないから、ストップ、ストップ」
「エッ!?あっ」
「ウソ?ましで!?」
ジブリールは、マットに足を滑らせ包丁が飛んでくる。
飛んだ包丁は、秋永の心臓をグサッとひとつきにし、そのまま死んだように倒れた。
「あっ、えーと、手が滑っちゃいました。てへぺろ」
「てっおい!この駄目天使!何がてへぺろ、だ!殺すきか」
「えー、嫌だなー。もう秋永さん死んでるじゃないですかー」
この駄目天使反省してないな。
目をピクピクさせて、ジブリールを見る。
「まあ、そんなことより、ご飯にしましょうよ」
一発本気でこの天使を殴ってやりたい。
私は、胸に刺さった包丁を抜き、怒りを抑えて席についた。
「それでは、ジブリールちゃんの手作り料理のシチューと焼きたてのパンです、どうぞお目仕上がれ」
「へっぽこ天使なのに料理の見た目は完璧だ」
「ジブリール様、ありがとうございます。では、いただきます」
ナイチンゲールさんは、ためらいもなく目の前のシチューを飲んだ。
「じゃあ、私もい、いただきます」
目の前にいるこの駄目天使が作ったシチューを恐る恐る、口に運ぶ。
「んっ!」
これは、口の中に入れた瞬間すっと消えて、シチューの美味しい味は、口の中に残っている、それでいてしつこくない味わい。
負けた…まさか料理で敗北感を覚えるなんて…。
「どうですか、私の料理は。」
「正直美味しい…だから何でかむかつく」
「えー何てですかー美味しいなら良いじゃないですかー(笑)」
この駄目天使、無茶苦茶煽ってくるな。
まさかこいつに、こんな特技があるなんて知らなかった。
「わ、私だって、これぐらい、作れるんですから!」
楽しい死後の世界へようこそ!! ユキナ @asandoonu2158
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