第26話 エピローグ その1 二人のその後
「こう……いち……ろう……」
「こういち……ろう……」
声が聞こえて、まぶたを開く。
まぶしい光と緑が、目に飛び込んできた。
「高一郎……」
視界に、明日香の顔がある。優しく俺に微笑んでいる。
後頭部に柔らかい弾力を感じる。起き上がってから、明日香に膝枕されていたのだとわかった。
周囲を見回す。
森の中。
ぽっかりと穴の開いた場所に光が差し込んでいて、明日香と二人でいる。
「ここは……どこだ……?」
「クロぼうの……異世界じゃない?」
「確かに」
周囲を見回して、実感する。
「私は半信半疑だったんだけど……」
「そうだな……」
会話してから、昨晩の『こと』を思い浮かべる。
俺の家で明日香に『プロポーズ』したこと。クロぼうを脅して『明日香』にも『呪い』をかけさせたこと。
そして二人とも呪いの効果で一緒に異世界に転移することを期待して、エッチしたこと。
そのエッチだが……
昨日の明日香は……それはそれはものすごかった。すさまじかった。
理性を解放して、溜まりに溜まっていた性の本能に忠実になった俺の想い人。女性という生き物の怖ろしさを垣間見た気がする。
こちらもよほどの覚悟でないとお相手を務められない……と思わせられる程だった。
その明日香は俺の前で満面の笑み。今まで心に垂れこめていた雲がすっきりと晴れたという顔をしている。
なんというか、全身、キラキラと輝いている。
「明日香……すごく元気だな」
思わず、ぽつりと感想をつぶやいてしまった。
「そういう高一郎はどうなの? 昨日は……大満足だったでしょ?」
明日香がニコニコと俺の顔をのぞいてくる。
「どうなの?」
「いやまあ……大満足。やったやった」
俺も素直に明日香に微笑みかけた。
「やったわね。夜通し思いっきり。もう十回以降は覚えてない」
「お前それ言うの、恥ずかしくない?」
「いまさら私たちの間柄で、よ。それより満足感の方が強いわ。でも……まだまだしたりない」
「えーっ!! 凄いな、女の子って。正直感嘆するわ。俺は……だいぶ疲れが残ってるぞ」
「若いのに」
そして二人で見合って、ふふっと笑い合い……口づけを交わす。
緑の森と青空が、俺たちを祝福してくれていた。
――――――――
あと少し、続きます。
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