第14話 クロぼうが明日香に囁く その1(明日香視点)
高一郎と結ばれる直前までいって以来。
私、森野明日香と高一郎の関係はぎくしゃくしてぎこちない。
以前と同じように一緒に登校して、お昼も二人で食べて、会話もしている。でもなんというか、あえてお互いの中に踏み込まないで妙に気を使っているというか、他人行儀な部分が多くなってしまったと感じざるを得ない。
加えて。
あのクズ葉……後鳥羽一葉。見張っているのだが、高一郎にちょっかいをかけるのをやめてない。高一郎も、誘惑には乗ってはいないようであるが……侮れない。
「ふぅ」
私は自室のベッド上で息をつき、乱れていた呼吸を整える。
「また『して』しまった……」
顔に手を当てて自己嫌悪におちいった。
白いネグリジェに乱れがあって、下半身と手が濡れている。つまり……『そういうこと』だ。
高一郎が悪い。ベッドに寝ると、高一郎との『直前にまでいった場面』が脳裏に浮かぶ。すると身体が火照りだしてどうにも我慢が効かなくなるのだ。
昔から性欲が強いという自覚はあった。初めてひとりで『した』のは小五の時だ。もちろん、妄想のお相手は高一郎。
それから、高一郎を想像してスルのが日課になってしまった。
甘く優しくされたり……。乱暴に荒々しくされたり……。前になって後ろになって……。上になったり下になったり……
長年しているので、バリエーションも増えてしまった。
「したい……」
ぽつりと声がもれる。
一言もらすと、欲望が塊になって私を襲ってきた。
「したい……。したいしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたいっ!!」」
ベッド上でバタバタとのたうちまわる。
暴れても暴れても欲情は治まらず、むしろ強くなって往生する。
――と、
「やあ。楽しんでるね」
不意に声が聞こえて見やる。
真ん丸目玉のクロねこが、私の部屋の真ん中で、ふふんとネコ口を丸めていた。
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