第74話 爆誕!姫花ママ!
◇
姫花ちゃんからの……ペットプレイは続いた。俺はなんとか無心で取り組むことに専念し、なるべく今の自分の状況を忘れるように心がけた。
嫌という気持ちは少なからずあるが姫花ちゃんの命令だから耐えられた。だが何が嫌かって……椎名と田中さんに見られていることが本当に……死にてぇ……。
「わぁ〜純一犬はかしこいねぇ〜。姫花はかいぬしとして鼻が高い?よ〜」
「……わふ」
たったの数分が数時間に感じるほど精神が参った。早く終わってくれと思いながら俺は姫花ちゃんの気が済むまで耐える。耐える。そしてその時は訪れる。
「うん。姫花も楽しめた!」
「わ、わふぅ!」
ようやく終わるという思いで鼻息が高くなるのは致し方ない。「ペットプレイ」という呪縛からようやく解放されるのだから。
「じゃあ次は〜」
「わふぅ……」
とも思ったが、姫花ちゃんの言葉を聞いて俺は落胆と共に次もあるのかと絶望に染まる心。
上げて落とすという言葉はこういうことだと思う。
「じゃあ、つぎは少し変えて〜純一は赤ちゃんになーる〜」
そしてまた自分の携帯端末を増田にかざす姫花。
「ばぶう?(ま?)」
意外とノリのいい増田。
「すごい! 純一は赤ちゃんもできるの!?」
「ば、ばぶぅ(す、凄くないのでそんなリアクションは勘弁して下さい)」
「……」
それにほら見て? あの椎名の目。アレはカサカサと走り回るGを見た時の目だから。今にでもジェットされそうぅぅ……。
姫花ちゃんのオーバーリアクションと椎名の目線に当てられる中、唯一の救いが田中さんが哀れみの視線を向けてくることだろう……てか田中さんも俺に哀れみの視線を向けてくるよ……悲しい。
そんな増田達大人の事情など知らない姫花は自分のやりたいように動く。
「おーよちよち〜。純一はかわいいねぇ〜姫花ママのところまでおいで〜」
自分のことを「姫花ママ」と呼ぶとそばに居る増田(赤ちゃん笑)を両手を広げて抱き上げようと仕草をする。
どうやら本当に赤ちゃんプレイを要求しているようだ。ただ大の大人の増田は流石に……。
「ばぶ(ママの言うことならしょうがない)」
プライドなどなり捨ててハイハイで姫花ママの元へと向かう。
勘違いしないでよね! これは姫花ママの命令なんだから!! 悪いのは催眠アプリよ!
オネェ口調になる
そんな増田の姿を見た椎名は目が死んでいる。田中に至っては取り出した白色のナフキンで涙を拭いていた。
「わーしっかりとこれたねぇ〜。純一はえらいよ〜」
「ば、ばぶ(ヤベェ、今になってきて辞めたくなってきた)」
そんなことを思ってもここまで来たら姫花が飽きるまでは付き合うしかない。
「どうしたのかなぁ〜?」
「ばぶぅ(俺にもどうしたいのかわかりません)」
「うぅーん。もしかして……」
何かを考えるように目を瞑る姫花ちゃんの元にハイハイ(地べたに這いつくばる)で近付く
その光景は正しく「地獄」。
「! わかった! 純一はお腹が空いたんだぁ〜そうだよ、きっと!」
「ば、ばぶぶ(いや、自分お腹空いてないっす)」
「じゃあ〜ご飯にしようかぁ〜。んしょ、うんしょ……」
「ば、ばぶぅ!!?」
俺がこの後どうなるのかと冷や冷やと考えているといきなり着ていた真っ白のワンピースを脱ごうとする姫花ちゃん。そのことに赤ちゃん語で驚いてしまう。
待って、待って、これはアカンて工○。
いや本当にふざけている場合じゃない。ご飯ってそう言う意味かよ!!
姫花のあられもない姿を見ないために目を一生懸命に瞑る。それ以外何もできない増田は二人に託す。
そして増田の願いが伝わっていたのか椎名と田中の二人は目配せをし、増田と姫花の元に椎名が近付く。
「父親が帰りましたよー。おっと、誰ですかこんなところにゴミなんて捨てたのはぁ」
「ばベェ!?」
そして椎名に無情にも蹴り飛ばされる増田。
いや、ゴミじゃなくて
それでも難を逃れた増田は横たわりながらただ静かに涙する。
【用務員 修正かけてます💦】エロゲの世界に紛れ込んだ凡人。用務員となり奮闘する〜エロゲ?フラグ?ヒロイン?……知らん!! 加糖のぶ @1219Dwe9
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【用務員 修正かけてます💦】エロゲの世界に紛れ込んだ凡人。用務員となり奮闘する〜エロゲ?フラグ?ヒロイン?……知らん!!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます