どうやら俺は夜を安全に過ごすことは出来ないらしい。
モノレールに乗り、天王洲アイル駅まで来た。
何だこれ、すげぇや。
人の数も凄いけど、何なんだこの乗り物。
凄い高い位置で走ってるし、モノレールって言うのにレールが無い。
なんかゴムタイヤだかで走っているらしいが、いまいち分からない。
でもこの不思議な感じ、流石東京都言った所だろうか。
俺はモノレールの余韻に浸りながら道を歩いていた。
「涼真くん、空港で作ったsuicaありますか?」
空港を出る前に、切符売り場で切符を買おうとしたところ駅が多すぎて何が何だか分からなかった。
俺が困っていると心々音が「これ、作りましょう」と言い指を指して来たのは一つのカード。
suicaというカードの中に現金を入れる事が出来て、これで改札を自由に抜ける事が出来るとの事。
懸念点は北野などの田舎では使えないとの事。
だが、東京に居る間はとにかく電車を使う事が多いので持っておいた方が良いとの事。
空港で作ったsuicaを使い、俺は天王洲アイル駅の改札を抜けた。
3分ほどして電車、りんかい線が来た。
青のラインが特徴のこの電車、俺は凄く好みだ。
三人で電車に乗り込み、席が空いていたので俺は座ろうとしたが心々音に呼び止められた。
「次の駅がホテルの最寄り駅です。一分ほどで着くので立って居ましょ」
「疲れた」
「駄々こねないでください」
座りかけだった腰を上げ、俺はドア付近のつり革を掴んだ。
程なくして、品川シーサイド駅に着くというアナウンスが流れ、電車が止まった。
目の前の扉が開き、俺はキャリーケースを抱え降りた。
東京の方でも田舎の方なのか分からないが、テレビで見るような人が大量!という状況では無く、人の数はまばらだった。
「案外人はいないんだな」
「まあ、時間も時間ですからね」
「つかれたぁー」
改札を抜け、エスカレーターを使い地上に出ると太陽によって空気が熱されたのか分からないがもの凄く暑くなっていた。
ゆるふわ系と言われ心々音に買って貰った服を少し改良して、上は半袖、下はゆるふわ系の長ズボンを履いていた。
「あっつ……」
「一気に暑くなりましたね……」
「ぼえぇ……」
「まあ、ホテルはすぐ近くなので行きましょう。あそこの信号を渡った先の建物です」
心々音が先導し、俺とみるくは置いてかれないように暑さに悶えながら着いて行く。
心々音が言っていた信号機の下の横断歩道を渡り、ホテルに着いた。
心々音が「チェックインしてきますので待って居てください」と言ったので、俺とみるくは待合所の椅子に座った。
「何か旅行してるって感じするね」
「ああ、そうだな」
「ねえ、楽しい?」
「そりゃもちろん、めっちゃ楽しい」
「そっか、良かった!」
みるくと談笑していると心々音が小走りで帰って来た。
「お待たせしました、行きましょうか」
「うい」
「りょーかい!」
エレベーターに乗り、4階に来た。
ここで俺の部屋のカードキーが貰えると思ったがそうではないらしい。
俺は男、一方二人は女子。
流石に部屋は分けてくれていると思っていたが心々音は一向に渡してくれない。
流石に気になったので俺は心々音の肩を叩いた。
「おい、俺の部屋は?」
「はい?」
「はい?じゃねぇよ。俺の部屋のカードキーは?」
「え?あるわけないじゃないですか」
「……は?」
「私たち三人で一部屋ですよ?」
「……」
えっと、お父さん。
俺はどうすれば良いのでしょうか。
俺は女子二人と夜を過ごすみたいです。
片方は幼馴染、もう片方は今必死にアプローチされている女性です。
俺は生きて帰れるでしょうか、捕まらないでしょうか。
心配です。
心々音はカードキーを指で挟むと、口元に当て目元を見る限り笑っていた。
「一緒に夜を過ごしましょうね?涼真くん?」
「……拒否権は?」
「無いですよ?さあ、部屋に入りましょう!」
「二人とも早く部屋行こうよ……暑い……」
俺は心々音に手を引かれ、部屋に消えて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます