四章 第八話
*如月視点に戻ります
如月が戻ると、東雲は座り込んでしまって動けそうになく、京極と桔梗は失神している。
さらに、夜月が京極に刀を振ろうとしている。
「させない」
如月は一気に夜月との距離を詰め、京極と夜月の間に割って入った。
ガキン!!!
夜月の刀を受け止める。
「次から次へと、、ん?朱雀ではないか。また戻ってくるとはな。次こそ殺す」
「俺の方こそ、お前を殺す。舞刀術 鬼事」
如月は夜月を押していく。
京極や桔梗、東雲から離らかすためだ。
「そこまで動けるほどに回復したとはな。大したものだ」
如月に押されてはいるものの、夜月はまだ余裕がある。
如月を斬りつける。
キンキンキンキン!!!!
速い斬撃で、如月は傷が増えていく。
包帯が血で赤く染まる。
如月は痛みに耐え、刀を振るった。
「ここまで実力差を見ていながら、なぜまだ刀を振るう」
唐突に夜月が聞いてくる。
「今のお前では、我に勝つのは無謀だと、お前もわかっているはずだ。もうお前は逃げてもいいはずだ。それほど傷だらけになってまで戦ったお前を責めるものはいないだろう。なのに、なぜ戦う」
「多くの人に死を見て、身近な人の死も知った。死というのは、つらい。悲しい。そんな思いを、誰にも持ってほしくない。だから俺は、お前を斬る」
いったん言葉をきる。
そして、はっきりと言い放った。
「それに、俺は如月朱雀。一人の導き手だ。ここで逃げることは、俺が絶対に許さない」
夜月に向かっていく。
「ここまで我を高ぶらせたのはお前が初めてだ」
夜月のほうも、如月に接近していく。
キンキンキンキン!!!!
ドンドンドンドン!!!!
如月は剣術のみ、夜月は雷撃と斬撃で戦う。
如月は斬りつけられるが、気にしない。
夜月もまた如月に斬られるが、すぐに再生する。
崩れ落ちた家屋からは、火も上がっている。
その炎が、二人を照らていた。
「なかなかしぶといな」
「お前こそ」
刀と刀がぶつかり、火花が散る。
夜月は如月から距離をとると、妖術を放った。
「妖術 八岐大蛇」
八撃の雷撃だが、枝分かれして如月に届くまでには二十を超える数になっていた。
「舞刀術 花札・五光」
五撃でさばこうとするが、足りない。
(五光でさばけないか。仕方ない、、、借りるぞ、炎楽)
「舞刀術 爆裂」
無数の斬撃を放ち、雷撃を相殺する。
如月が放ったのは、炎楽の舞刀術だ。
如月と炎楽は良く一緒に訓練していたため、如月も炎楽の舞刀術が使えるようになった。
威力は炎楽には及ばないが、それでもかなりの威力。
夜月も、如月の使った舞刀術が今までのとは違うことに気が付いた。
「それは、、、西園寺家の舞刀術。なぜ使える」
「友の見て使えるようになっただけだ」
キンキンキン!!!
再び接近して戦う二人。
「妖術 雷霆万鈞」
「舞刀術 花札・五光」
高威力の技同士がぶつかり合う。
如月は吹き飛ばされてしまう。
しかし、すぐに体勢を立て直す。
「舞刀術 かくれんぼ
舞刀術 鬼火」
『かくれんぼ』で接近し、『鬼火』で一閃する。
如月の舞刀術と炎楽の舞刀術を混ぜて戦う。
それにより、夜月の腕を斬り飛ばす。
稲妻が青く走り、火花が赤く散る。
「ハァ、ハァ、ハァ」
如月の体力は限界に近かった。
息も上がっている。
「お前のように強い奴が主の部下だったらな、、、」
つぶやくように夜月が言った。
「どういう意味だ?」
「なんでもない。主は死んでしまったのだからな。死んだ人間は戻らない」
「それが分かっていて、、、なぜ人間を襲う?」
「強くなければ何もできないからだ。弱い人間は生きている意味がない」
「そんなことはない。人間は支え合う生き物。すべての人間が強く、すべての人間が弱い。勝手に、、、決めつけるな」
キンキンキン!!!
如月と夜月がぶつかる。
だが、如月は疲労と傷で動きが鈍くなっていた。
そこへ、、、
「舞刀術 地割れ」
京極が来た。
「ごめんよ。失神していた」
京極だけではない。
東雲、桔梗も起き上がり、刀を構えた。
導き手が全員集合した。
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