四章 第六話☆

*桔梗視点です




如月が運ばれていった後。

桔梗と京極が夜月と対峙していた。

桔梗にとっては初めての二紋様である。


(これが二紋様。存在そのものが異質)


桔梗は夜月の威圧に飲み込まれないように、刀をぎゅっと握りなおす。


「お前も強いな。名を聞こうか」


夜月が京極に言った。


「京極天明」

「ほう。京極家の人間か」

「京極家を知っているのかい」

「我が主が京極家だったからな。それに、我は名家くらい把握している」

「僕らのことは知っているという事かい。舞刀術 地割れ」


京極は夜月に接近して刀を振るう。


キン!


「速さは朱雀のほうが上だが、力は天明のほうが上か」

「舞刀術 三日月」

「おっと」


夜月が話している最中に、桔梗が攻撃したが、躱されてしまった。


「私もいますよ」

「鋭い斬撃か。やるな。だが、話している最中に攻撃とは、感心しないな」

「なに言ってるんですか。これは戦いです。試合じゃないんです。どんな手を使っても、最後に生き残っていれば勝ちなんです」

「なるほどな」


夜月は二人に向かって雷撃を放った。

二人は雷撃を刀で斬る。


「本物の雷なら、斬れないんだけどね」


京極が言う。


「言ってくれるな」


夜月はさらに雷撃を放ってくる。


(これが彼の妖術ですか。一瞬で私まで届く雷撃。何度も放たれては、近づけませんね。どうしましょうか)


桔梗は京極のほうを見る。


「舞刀術 天変地異てんぺんちい


京極は飛んでくる雷撃をすべて斬りつけながら夜月に突進していく。

桔梗もそれに合わせて夜月に迫る。

二人で夜月の首に刀を振るう。


「妖術 八岐大蛇」


(八撃の雷撃。防ぎきれるかどうか)


「舞刀術 満月まんげつ


桔梗は自身の周りを斬りつける。


「舞刀術 砂嵐」


京極の同様に雷撃を防いでいた。


「舞刀術 流紋岩」


さらに京極は夜月の首を狙っていく。

しかし、夜月には躱されてしまった。


「妖術 雷時雨」


夜月は天から雷撃を落とす。

地面を抉るほどの威力はある。


ドンドンドンドン!!!!


地面に穴が開いていく。


(技が多彩ですね。上から雷を落としたり、横に雷撃を放ったり。私、何もできてないですね)


桔梗も何とか夜月に接近しようとするが、雷撃に阻まれてしまう。

京極は夜月と斬り合っていた。

桔梗は自分が何をすべきか考える。


(京極さんを相手にしていて、私に意識が向いていない?)


「舞刀術 朧月おぼろづき


桔梗は残像を残して夜月の背後に移動した。

そのまま刀を振るう。


「いい速度だが、見えているぞ」


夜月は刀を二度振り、自身の周囲を斬りつけた。

京極は刀で防いだが、桔梗は防げなかった。


桔梗から血が落ちる。


さらに、夜月は全方位に雷撃を放った。

京極と桔梗は吹き飛ばされてしまう。


そこへ、、、


「大丈夫ですか」


東雲が到着した。

手当てが終わり、戻ってきたのだ。

桔梗も京極もすでに体勢を整えている。


「東雲さん、大丈夫なんですか?」


桔梗が聞く。

東雲は包帯を巻いていて、大丈夫には見えない。


「大丈夫です。それに、私だけ戦いを見ているなんてことはできませんよ」


東雲が答える。


「無理しないでくださいね」


桔梗はそう言うと、夜月に向かっていった。

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