四章 第四話
「舞刀術 花札・五光」
五連撃を放つ。
夜月も刀で受けるが、少し後ろに下がってしまう。
「すさまじい威力だ。我が受け止めきれぬとは」
そう言うものの、夜月の顔にはまだ余裕がある。
如月はさらに夜月に刀を振るう。
キンキンキンキンキンキン!!!!!!
どちらもが引かず、刀から火花が散る。
「久しいな。これほどの相手と相まみえるのは」
「ハァ、まだ、、、余裕があるじゃないか」
「我は付喪神。体力の限界など、、、ない」
如月に切り傷が増えていく。
「ハァ、ハァ」
(血を流しすぎた。視界がぼやける)
夜月が如月に近づき、刀を振るう。
ザシュッ
夜月の腕が斬り飛ばされる。
「フゥ――――」
「ほう、その雰囲気。極限状態に至ったか」
極限状態。
如月が水珠との戦いで一度至ったことがある。
死が近づいているからなのか、本人の限界以上の力を発揮する。
あの時は、意識がほとんどない状態だった。
だが、今は、、、
(動きが遅く見える。あれほど早かったこいつの動きが、今は普通に見える。それに、痛みがほとんどない)
意識があり、夜月の動きに完全に反応できていた。
さらに、痛覚が鈍くなっている。
「我が主も、今日極限状態に至ったことがある。周りが遅く見え、痛みをあまり感じないと言っていた。本当のようだな」
如月は夜月を押していく。
周りの家屋を壊しながら、如月は刀を振り回して突き進んでいく。
「我がここまで押されるとは」
「舞刀術 百人一首」
夜月の目を斬りつける。
「斬撃の速度も上がっている」
夜月の言うとおり、如月は夜月を斬ることはできていた。
ただ、再生が速くすぐに治ってしまうが。
夜月は距離をとった。
「妖術
夜月は刀を振るって、前方に八撃の雷撃を飛ばす。
途中で折れ曲がったり、枝分かれしたりする。
「舞刀術 百人一首・渡り手」
如月も二連撃の斬撃で防いだ。
夜月はさらに雷撃を飛ばす。
「舞刀術 鬼事」
如月は雷撃を躱しながら夜月に近づいていく。
そして、刀を振るう。
夜月は飛んで躱し、距離をとる。
「妖術
夜月が刀を振り下ろした。
すると、空から複数の雷撃が落ちてくる。
「舞刀術 かくれんぼ」
一瞬で夜月の前まで移動する。
「舞刀術 百人一首」
そして、首に向かって刀を振るう。
わずかに後ろに下がり、それを回避する夜月。
「すべて回避するか。だが、そんな長く極限状態ではいられまい」
(くっ、急に痛みが戻ってきた。腕が、、、上がらない)
夜月の言ったとおり、極限状態が終わる。
これ以上は、危険ということだ。
如月は膝をついてしまう。
「なかなか楽しかったが、終いか」
如月に刀を振り下ろす。
キン!
「随分とやられたねぇ、如月君」
そこへ、京極の声が聞こえた。
見上げると、本当に京極がいる。
「私もいますよ」
桔梗の姿も見える。
「二人が二紋様と戦っていると報告を受けて、駆け付けたんだ」
「東雲さんは今手当てを受けていますよ」
京極と桔梗が言う。
「如月君も手当てを受けるんだ。僕にもう、『守れなかった』なんて言わせないでくれ」
そう言うと、京極と桔梗は夜月のほうを向く。
如月は、伝手に運ばれていった。
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