四章 第三話
「舞刀術
東雲は、円を描くように刀を振るう。
しかし、夜月はそれを躱す。
そのまま、東雲を斬ろうと刀を振るった。
キン!
それを如月が受け止めた。
そして、東雲が夜月の首を狙って刀を振るった。
「ほう、連携か。導き手同士が連携するとは」
夜月は驚いたように言った。
「基本導き手は一人で戦っていると聞いたが」
「ある程度は息を合わせることはできる。それに、訓練も一緒にしているしな」
「なるほど。我が主もほかの奴らとよく訓練していたものだ」
夜月は二人に向かって刀を振るう。
二人は距離をとった。
「舞刀術 鬼事」
「舞刀術
二人は交差しながら夜月に迫っていく。
東雲は夜月の前方から。
如月は背後に回って刀を振るった。
だが、それでも躱されてしまう。
夜月は如月の後ろに回ると、刀を振るった。
「朱雀さん!」
東雲が叫ぶ。
如月は転がってそれを躱す。
「朱雀から先に殺せば、女のほうは簡単に殺せる」
そう夜月が言う。
「どうだろうな。俺たちは導き手だ。なめていると、痛い目に合うぞ」
「私は、朱雀さんに及ばないことは分かっています。ですが、導き手としての意地があります。そう簡単には死にませんよ」
二人が言い返す。
「ならば見せてもらおうか。その意地というのを」
夜月は離れた位置から刀を振った。
(あいつの間合いじゃないのになぜ?)
そう思ったのもつかの間、夜月の刀から雷撃が放たれた。
雷撃が二人を貫いた。
「くっ、それがお前の妖術か」
「我が妖術は雷。間合いなど、関係ない」
そう言うと、さらに雷撃を放つ。
(一瞬でこの距離を走り抜ける稲妻。それに、枝分かれしてうごきが不規則だ。だが、、、)
「斬れないわけじゃない。舞刀術 百人一首・渡り手」
如月は二撃の斬撃で稲妻を斬った。
「舞刀術
東雲のほうも、刀をわずかに当てて軌道をそらしている。
「一度見ただけで、すぐに対応するか。やるな」
夜月は如月たちに接近し、刀を振るった。
「俺がこいつの攻撃を受けきる。東雲はこいつの首を狙え」
「はい」
キンキンキンキン!!!!
如月が夜月の攻撃を刀で受ける。
そして、東雲が夜月の首を狙って走っていく。
(こいつ、たまに雷撃も放っている。刀の攻撃は防げても、雷撃までは受けられない)
「舞刀術 川下り」
東雲は雷撃を躱しながら進む。
そのまま、刀が夜月の首に迫る。
(斬ってくれ)
如月は夜月の攻撃を受けながら、そう願った。
「いい連携だ。だが、、、甘い」
ドン!!!!
しかし、東雲の刀は夜月に届かなかった。
夜月が全方位に雷撃を放ったからだ。
至近距離で雷撃を食らってしまう二人。
回避など当然できるはずもなく、雷が貫いた。
「ハァ、ハァ」
如月は血を流しながらも立っていた。
東雲のほうは、意識を失っているのか、膝をついて倒れこんでしまっていた。
夜月は、東雲に刀を振るう。
「東雲!!!」
如月が叫ぶが、意識を失っているため起きない。
(間に合えッ)
「舞刀術 かくれんぼ」
如月は『かくれんぼ』を使い、東雲と夜月の間に入った。
ガキン!
夜月が振るった刀を受け止める。
「誰も、、、死なせない」
如月は夜月の刀を押し返した。
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