四章 第二話
如月と東雲はすぐに刀を構えて、付喪神のほうを向いた。
その付喪神は腰に刀を差している。
そして、左の頬に刀の紋様が、右の頬に雷の紋様があった。
「二紋様か」
如月がつぶやいた。
東雲の刀を持つ手は、ガタガタと震えていた。
(そこにいるだけで、この威圧感。東雲は震えてしまっているな。俺も、意識していないと震えそうだ。水珠や朱天よりも重い威圧。二紋様の中でも別格か)
「東雲、深呼吸しろ」
「はい」
東雲は深呼吸して、震えを止めた。
「どちらもかなりの腕前と見る。女のほうは深呼吸で震えを止めた。男のほうはそもそも震えもない」
「俺はすでに二紋様と戦っているからな」
「ほう。お前が二紋様を殺したか。我ら二紋様は誰かを守りたいという思いで付喪神になった者だ」
付喪神はいつまでたっても刀を抜かない。
「舞刀術 百人一首」
先に仕掛けたのは如月だった。
素早く一閃する。
「二紋様は我一人になってしまった。悲しいことだ」
付喪神は回避して、さらに続ける。
「我は
「お前に教える筋合いはない」
如月は夜月のほうへ向かっていく。
さらに、東雲も夜月に刀を振るう。
これも回避し、夜月は言う。
「強い者の名を知りたいが、残念だ」
そう言って、ようやく刀を抜いた。
「先ほどの技の精度。男のほうは我が主より強いかもしれぬ。楽しみだ」
そして、夜月は二回刀を振るう。
如月は刀で受けることができたが、東雲は防げず、斬られてしまう。
血が垂れる。
(今の斬撃の速度。東雲が斬られても無理はない。俺でも、辛うじて目で負えたくらいだ。こいつ、すべてが異常に速い)
「東雲、おまえはすぐに止血しろ。その間は、俺が引き受ける」
「すみません、朱雀さん」
如月は東雲に指示を出すと、自分は夜月のほうを向く。
「ほう。お前は朱雀というのか」
夜月は如月に刀を振るう。
キンキンキンキン!!!!
(なんて速さだ。攻撃に転じることができない)
防戦一方だが、それでも何とか攻撃しようと試みる。
「舞刀術 かくれんぼ」
如月は夜月の刀をよけると、高速で夜月の背後に移動した。
しかし、、、
「かなり速く動いたようだが、見えている」
夜月は後ろを向くと、斜めに切りつけた。
ポタ、ポタポタ
血が垂れる。
「ハァ、ハァ」
「もう終わりか。つまらぬ」
そう言って、如月に刀を振るう。
「まだだ」
如月は『かくれんぼ』によって回避する。
「またその技か。見えていると言ったはずだ」
夜月は振り向き、刀を振るう。
如月が斬られた、、、
「外れだ」
夜月の後ろから如月の声が。
夜月の首に刀を振るう。
ヒュッ
夜月は回避し、距離をとった。
如月は、『かくれんぼ』を二回使った。
夜月が見たのは、一回目なのだ。
「舞刀術を二回使ったのか」
夜月も、何をされたか分かったようだ。
(こいつ、分析力も高いのか。所見で『かくれんぼ』を見切り、その後二回出したのも見抜いた)
「我の首を狙うとは。今迄の導き手とは違う」
夜月は一瞬で如月の前に移動し、刀を振るった。
「ちっ」
如月は刀で受ける。
斬撃の応酬が始まった。
垣根をぶち抜き、街のほうへ出てしまう。
キンキンキンキン!!!!
如月の顔に傷ができる。
それでも気にせず、如月は刀を振るった。
街の人々はすでに伝手が避難させており、誰もいなかった。
「舞刀術 鬼事」
如月は夜月を囲うようにして動き、斬りつける。
それに対し、夜月は全方位を斬りつけることで如月の攻撃を受けきった。
「くっ」
如月が苦戦していると、東雲が戻ってきた。
「すみません、手当て終わりました」
そう言って、夜月に刀を振るった。
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